バルセロナの象徴「サグラダ・ファミリア聖堂」は、完成まであと２００年はかかるといわれる。建築家アントニオ・ガウディは、数多くの建物を残した。生まれ故郷カタルーニャ特有の風土と気質の中で育った彼は、優れた色彩感覚をもつ造形家だった。「破砕タイル技法」をとり入れ、有能な助手ジョゼップ・ジュジョールと組んで、色彩豊かな建物を次々と造った。大地と人間との調和を基本とし、時代を超えた芸術家、ガウディを紹介する。◆アントニオ・ガウディ（１８５２〜１９２６）サグラダ・ファミリア聖堂他

中東・イスラム・アラブについて、ヨーロッパとの関係や歴史をふりかえりながら東京大学教授・後藤明氏が解説する３回シリーズ。（１９９０年３月５日開始）◆第３回は近代の歴史の中で西欧との関係ででき上がってきた西欧的な政治の枠組みとその問題点を考える。

１９９０年１０月３日のドイツ統一は、国だけでなく離れ離れの芸術が再会する文化による統一でもあった。人類不滅の芸術品が再び元のさやに納まる日も近い。◆番組の締めくくりに言う。◆「人は芸術のために身を捧げ、死をもいとわないことがある。それが芸術に対する尊厳の表明である。歴史を超え、政治を超えて自立するベルリン美術館に今、拍手を送る。その拍手は、戦争拒否の永遠のエコーになることを私たちは忘れてはならない」◆ミトレスの市場門、レリーフバビロンの行列通り、「ダンテの神曲」挿絵素描集（ボッティチェリ作）、アレッポ・サロン（トルコ風文様）、農民の結婚衣裳、エジソンの蓄音機

日本が世界に誇る工芸品、印籠と根付け。手のひらにすっぽり入ってしまう小さな携帯用小箱は、江戸中期に男性のアクセサリーとして盛んに流行した。印籠には印判や薬を入れ、根付けは帯の滑り止め、そして緒締めの３つがセットの美の調和。江戸の職人芸と町民文化が作り出した、粋と伊達の極細美の世界。小宇宙に森羅万象を凝縮させるミクロ芸術。明治期そのほとんどは海外に流出、異郷で光彩を放ちつつ百数十年の過去から日本の愚を見返している。◆根付け、印籠〔サンフランシスコ東洋美術館〕

師匠に物真似と言われた絵師が、心を改めて山の中に入り、本物の野猿を描くことに挑戦して見事な作品を描き上げる。展覧会に出品した「野猿の図」は、大評判であったが、円山応挙は「これは飼われた猿だ」と言う。絵師は一念発起、山に篭って猿の生態を描くこと３年、妻の陰の協力もあって、改めて出展した作品は応挙が頭を下げるほどの出来で、師弟は手を取り合って喜ぶ。

落差１３３メートル、日本一の那智大滝。見るものに自然を超えた霊気を感じさせ、滝を神と結び付けた熊野信仰。院政時代の上皇たちの度重なる御幸から、やがて「蟻の熊野詣」といわれる庶民信仰へと移り、神の聖域として今日まで人々を引き付ける。那智の浜から南方浄土へ船出した補陀洛渡海の故事や、今なお続く大社の扇神輿と勇壮な那智の火祭りの盛儀を織り交ぜて、大自然と溶け合った神へのあがめと日本のふるさとの原形を見る。◆【重要文化財】三貌十一面千手千眼観音像〔補陀洛山寺〕◆【重要無形民俗文化財】那智の田楽◆【名勝】那智大滝

日常生活から生まれる素朴な疑問を、独自の実験・体験で解き明かすファミリーサイエンス番組。（１９８６年４月１４日〜１９９１年３月１９日放送）◆今回は「卵」を取り上げ、健康志向の日本人と卵との正しい付き合い方を学ぶ。卵は「栄養のカプセル」。必須アミノ酸、鉄、カルシウムを多く含む。加工用の卵は殻を外して売られているが、実はこの殻が卵のすべてを語る指標である。殻で卵の鮮度を見分けるにはどうするのか、殻は厚いほうが良いか薄いほうがいいか、卵を長持ちさせる方法などを数々の実験で探る。

働き盛りの銀行員が突然退職し、兄と造園業を始める。岐阜県・荘川村の湖岸にある二本の老桜に託して樹の生命、兄弟の情愛を描く。◆造園業を始めた剛志と兄・清志は寺の造園という大きな仕事をすることになった。そのため清志は剛志の家で一緒に暮らすことになり、剛志の妻の多美子は戸惑いを隠せない。そんなある日、清志はたばこの火の不始末で小火を出してしまう。自分の体の具合がおかしいと感じた清志は剛志を問い詰める。