１９９０年にＮＨＫが行った「心に残る昭和の歌２００曲アンケート」の作詞家別集計で、第１位を占めた阿久悠。その数は他を圧倒した。彼の作詞家活動はこの年で２５年、子供向けの「ピンポンパン体操」から演歌「北の宿から」など、作品数は５千曲に及び、作品とともに育った歌手も多い。作詞家・阿久悠の軌跡をその作品と時代を物語る映像資料でつづる。

東京・深川の３年に１度の富岡八幡宮祭礼を軸に、日本各地の神輿や山車、屋台など祭りの造形を比較。神の依代という「見えないもの」を顕現化することに巧みな日本人の造形感覚と美意識を探究する。神輿は神の乗り物であり、山車は神に「住まいの山」ごと降りてきてもらうため生まれた「動く宇宙山」。京の祇園祭にルーツを求め『ねぶた』『竿灯』、栃木の『山あげ祭り』、愛媛の『西条まつり』などに土地土地特有の祭りの造形を追い、華やぐ夏を見る。◆【重要無形民俗文化財】京都祇園祭の山鉾行事〔京都府〕、秋田の竿灯〔秋田県〕、青森のねぶた〔青森県〕、烏山の山あげ行事〔栃木県〕◆【その他】金刀比羅宮例大祭〔香川県〕、深川富岡八幡宮祭礼〔東京都〕

東欧の変革に始まった激動は第２次大戦以後の世界を支配した冷戦に終わりを告げ、世界の枠組みが音を立てて動き始めた。ある意味で世界秩序の安全装置であった東西冷戦の構造が崩れたあと、湾岸戦争の衝撃を世界はどう受け止め、どう変わろうとしているのか。（１９９１年１２月８日終了、全６回）◆第１回は世界の主要なシンクタンクの分析を交え、中東、アメリカ、ソ連、東欧など激動の現場リポートによって５部構成で危機の世界地図を描く。第４部、５部は「アメリカはどこへ行くのか」「討論・世界はどう動くか」。

日本画壇に新風を吹き込んだ１６世紀の天才画家、雪村周継。戦国の世、常陸の大名・佐竹家の嫡子として生まれながら、家を捨て武士を捨てて一介の画僧として一生を貫いた孤高の画家の生き様を顕彰する。◆３９歳で日本初の画論を著し、水墨画に大きな影響を与えた。雪舟の陰に隠れ歴史に小さく、日本より海外での評価が高い。自由な筆致で、光の表現を水墨画に取り入れたまれに見る日本画壇の先達を、漂泊の画暦の中から再発見していく。◆【重要文化財】松鷹図（雪村周継筆）〔東京国立博物館〕、風涛図〔野村美術館〕、竹林七賢図屏風〔畠山記念館〕◆【その他】夏冬山水図（京都国立博物館）

１９８９年、サントリーが創業９０周年記念事業として創設した「夢大賞」を受賞し、同社の支援のもと受賞企画「凧に乗ってドーバー海峡を渡る」の実現に挑んだ埼玉県在住の坂本さん（５０歳）ら５人の男性たちの姿を追う。◆この企画は応募総数１１万３９５通の中から大賞を獲得。凧に乗って長時間にわたりある程度の高度を維持しながら長距離を飛揚するという試みは史上初とのこと。成功すれば世界初の快挙となる計画である。坂本さんと仲間たちの訓練が開始される。◆サントリー夢大賞スペシャル

身近な生活の中にある家電製品から軍事用ミサイル、宇宙ロケットなどの超ハイテク製品までの心臓部を構成する“魔法の石”半導体。日本の半導体産業は世界に先んじて隆盛を極めている。歴史から現状までを再現映像も交えて紹介、この産業の全貌を描き出すシリーズ。（１９９１年１月２７日開始、全６回）◆最終回は世界最高水準に達した日本の半導体周辺産業を描く。正月、ある半導体メーカーの賀詞交歓会に５００社もの関連技術メーカーが集まった。現在の半導体はこれら多様な周辺技術なしでは成立しなくなっている。

人間国宝・花柳章太郎が昭和１７年から亡くなる昭和４０年の正月までの２３年間書きつづけていた日記が１９９１年はじめに発見された。この日記を中心に、残された多数の随筆や舞台映像を紹介しながら、人生の達人と呼ばれた新派不世出の名女形「花柳章太郎」の世界を探る。◆第２回は女形としての「芸」を究めていく姿を映像を通して描く。

穴山小左衛門という小ざむらいが、年越しの金に困り友人の松野陸奥守に無心を頼んだが、遣いの者が間違えて松平陸奥守の屋敷へ行ってしまう。穴山という名前は記憶になかったが、大名中の大名と見込まれての無心とあっては…と大金を持たせて返す。驚いた穴山が処置に困るが、智恵伊豆のはからいで円く収まる。◆「陸奥間違い」・作／池上勇・曲師／加歌恵・玉川福太郎