土呂久公害訴訟を先頭に立って進めてきた佐藤鶴江さんの残した日記をもとに関係者の証言を交え、辺境の地で起きた公害が認知されることの難しさについて伝える。◆宮崎県高千穂町の土呂久鉱山で起きた慢性ひ素中毒症をめぐる土呂久公害訴訟は、１９９０年（平成２）に最高裁で和解が成立した。１５年におよぶ長い闘いだった。

中東・イスラム・アラブについて、ヨーロッパとの関係や歴史を振り返りながら東京大学教授後藤明氏が解説する３回シリーズ。（１９９１年３月７日終了）◆第１回はイスラムの信仰について語る。

日本にコメの市場開放を強く求めるアメリカの農業や、輸出に向けた新たな動き、農民の本音などを取材する。そして国内の稲作から生産性の高い農業へと取り組む現状を通して、２１世紀に向けて大きく変わろうとする農業の姿を描く。

大相撲界で初の国民栄誉賞に輝いた千代の富士。「みつぐ」と呼ばれた少年時代から力士への道に一歩踏み出すまでを、実話をベースに描く。（１９９１年６月２日〜６月２３日放送、全４回）◆第四話（最終回）。進学希望の貢（宮下直紀）は、「東京で高校に行かせてやる」という親方（竜雷太）の異例の計らいで、九重部屋に残ることにした。しかし、念願の高校には無事合格したものの、学校と力士の二重生活の両立は不可能に近い。中途半端は性に合わない貢は、相撲一本でやってみようと決意する。本格的な相撲人生の始まりだった。

天才物理学者アルベルト・アインシュタイン（１８７９〜１９５６）に関係する言葉をキーワードに、彼が考え到達した「知の世界」を理解する、いわば広大な頭脳宇宙へ旅するシリーズ。（１９９１年４月２６日〜１２月２２日放送、全８回）◆今回は夏休み特集として子供向けに相対論を紹介する。ドイツ人のニコラス・コルム君がリポーターとなって、光の速度で飛ぶ時の物体の見え方、空間の歪み、重力波のキャッチ、水星の軌道のずれなどを例にとって相対性理論を観測で今も確かめている科学の最前線を訪ねる。

師匠に物真似と言われた絵師が、心を改めて山の中に入り、本物の野猿を描くことに挑戦して見事な作品を描き上げる。展覧会に出品した「野猿の図」は、大評判であったが、円山応挙は「これは飼われた猿だ」と言う。絵師は一念発起、山に篭って猿の生態を描くこと３年、妻の陰の協力もあって、改めて出展した作品は応挙が頭を下げるほどの出来で、師弟は手を取り合って喜ぶ。

　国が合法的に乱開発を認めたという点で戦後最悪の法律ともいわれる“リゾート法”。これがもとで各地で大手企業と自治体による乱開発がトラブルを起こしている。水源かん養保安林で鳥獣保護区でありながら「ぐんまリフレッシュ高原リゾート構想」のもと、大規模なスキー場、温泉センターなどがつくられようとしている群馬県新治村に焦点を合わせ、リゾート開発の問題点を追う。◆特集・開発と環境

落差１３３メートル、日本一の那智大滝。見るものに自然を超えた霊気を感じさせ、滝を神と結び付けた熊野信仰。院政時代の上皇たちの度重なる御幸から、やがて「蟻の熊野詣」といわれる庶民信仰へと移り、神の聖域として今日まで人々を引き付ける。那智の浜から南方浄土へ船出した補陀洛渡海の故事や、今なお続く大社の扇神輿と勇壮な那智の火祭りの盛儀を織り交ぜて、大自然と溶け合った神へのあがめと日本のふるさとの原形を見る。◆【重要文化財】三貌十一面千手千眼観音像〔補陀洛山寺〕◆【重要無形民俗文化財】那智の田楽◆【名勝】那智大滝