素朴な柄模様で庶民的なぬくもりに満ちた久留米絣は江戸中期に井上伝によって完成され、庶民の衣服に革命をもたらした。その技術は福岡県久留米地方に今も受け継がれ、松枝・森山両家が文化財としての誇りを守っている。◆純白の木綿糸に新しい命を吹き込む藍染めの人間味豊かな営みが、筑後平野の自然を背景に息づいている。

九州・小倉近くにある九鬼谷温泉の旅館「まんだら屋」の次男・大山良太（杉本哲太）は、品行方正とはいえないが、なぜか憎めない１７歳の小倉城南高校の２年生。彼は同級生で「円月荘」のひとり娘・月子（石野陽子）に好意をよせている。◆良太は悪友ゲン（筒井巧）が同級生の直美（会沢朋子）を思っているのを知り、２人の間を取り持とうと考えたり、月子や個性豊かな仲間たちと珍騒動を起こしては、回りの大人たちをハラハラさせている。◆人気漫画のドラマ化。原作：畑中純（１９８６年２月２１日終了、全１５回）

ユージン・スミスが撮影した写真「ＴｏｍｏｋｏａｎｄＭｏｔｈｅｒ」について、アイリーン夫人と石牟礼道子さんが対話を重ねていく。◆スミス夫妻が地元・水俣の人々との間に築いた信頼とは何か。そして“被写体”の痛みを共有するためにどのような苦悩があったのか。被写体となった胎児性水俣病患者のひとりに「普通の人、とても話しやすい人」と言わしめた彼の人柄をしのび、ジャーナリストのあり方をさぐる。

世界でただ一つ、被爆生存者の死因や病気の発生を追跡調査したデータをもつ放射線影響研究所の紹介、チェルノブイリ原発事故被災者にデータが活用される過程を描く。◆放射線影響研究所は、１９４７年（昭和２２）、米国トルーマン大統領の命令によって設立された。ソ連のチェルノブイリ原子力発電所事故被災者の治療に協力するため、研究所は世界唯一の被爆データをもとに被災者長期研究計画をまとめ、それをもとに西側放射線学者たちはソビエト政府への研究計画の提案書を作り上げた。放射線影響研究所の全貌を紹介し、提案書作成をスクープしたドキュメント。

６５歳以上のお年寄りがついに全人口の１０パーセントを突破し、激増する認知症や寝たきりの老人に対する介護がより必要になってきている。これらの老人を介護する体制の問題点を明らかにしていく番組。（全４回）◆第２回は、家庭にかかる介護負担の実情、自治体による公的サービスの実情、民間企業のサービスなどをリポート。

被爆直後の広島で、被災者の救助にあたった「暁部隊」の手記集の編集をする女性の活動を通して、当時の救護の模様を明らかにするとともに、隊員たちのその後の人生、被爆体験の風化を描く。報道特別番組。◆原爆で壊滅した広島で、暁部隊は唯一残った部隊だった。当時２２歳の田中つゆ子さんは、暁部隊の軍属として徴用され、次々と運ばれてくる被災者の看護に昼夜をわかたず働いた。原爆に関する記録は数多くあるが、被爆直後の救援活動の記録はほとんど残されていない。あの地獄絵図の記憶を語りついでおくために、田中さんは手記を集めはじめた。

“クラシック音楽の大衆化”を意図したユニークな内容と個性ある司会で、長寿番組として定着したクラシック音楽番組。◆この回はオペラ歌手の佐藤しのぶを招き、大型新人として登場し、華あるプリマと言われる彼女の魅力をさぐる。「歌ったことのないジャンルの曲に挑戦したい」という本人の希望により、テレビドラマのテーマ曲や黒人霊歌なども披露する。司会は黛敏郎。

神戸大学西蔵学術登山隊が初成功したクーラカンリ登頂に、取材班が同行。登頂活動とチベット高原の自然を紹介する。◆クーラカンリ峰（７５５４メートル）は中国チベット自治区とブータンの国境近くにそびえる、未踏の山としては世界第２の美しい高峰である。この聖域に、神戸大学は１９８６年３月から３ケ月にわたって学術登山隊を派遣、見事登頂に成功した。