かつて日本人は、様々な木工製品を作り生活の中に取り入れてきた。収納家具である箪笥は堅牢で機能的に作られ日本家屋の中で庶民の必需品であった。使い勝手の悪い長持に替わって江戸中期に生まれ、明治時代にいたって最も発達した。木工技術の進歩によって庶民にも手軽に買えるようになった。伝統ある仙台箪笥の豪華な箪笥作り、豊富な木材資源を背景に作り続けられてきた岩手の岩谷堂箪笥の巧みな職人技を披露し歴史をひもとく。◆仙台箪笥（江戸後期）、仙台箪笥（明治初期）、仙台箪笥（明治時代）、岩谷堂箪笥（江戸後期）、車長持

伊達政宗が再建した瑞巌寺は、北国の禅寺らしく荘重なたたずまいながら、内部は禅寺とは思えない絢爛豪華な障壁画で埋め尽くされている。泰平の世を予見した政宗は、仙台に理想の国を築くべく多くの寺社仏閣の造営と修復を手がけた。当時、高い識見と深い教養をもった文化人政宗が、絵師らを招き仙台藩の最高の技術と財力を投入して次々と建てた建造物のなかで、桃山文化の粋を集めた瑞巌寺の豪壮にして優美な姿をとらえる。◆【国宝】瑞巌寺方丈、庫裡及び廊下、大崎八幡神社【重要文化財】瑞巌寺中門、雲板、御成門、五大堂、襖絵、陸奥国分寺薬師堂【その他】古歌並詞書（政宗書写）

江戸時代の床屋は町内の若い衆のたまり場で、多くの情報を交換して楽しんだ。そんな雑談のなかで一人の男が年増にモテた話をはじめる。おまえのような男がと冷やかすうちに、皆もだんだんと引き込まれてしまう。話が盛り上がって、女といよいよというところで声がかかって目を覚ましたというと、「誰だ、そんなところで起こす奴は」とオチがつく。

（大木こだま・大木ひびき）「そんな奴おれへんやろ」最近、腹の立つことが多い。特にオバサンは、と引き合いに出すのだが…。◆（横山ホットブラザーズ）「ホットの演芸博物館」アコーディオンとギターで伴奏する音楽漫談。あほだら経に始まり、大道芸や歌舞伎の鳴り物など演芸のあれこれを披露する。

隠居した元用人・三屋清左衛門が様々な問題を解決していく。武家社会の淡々とした日常から、老いゆく日々の命の輝きを力強く清冽に描く。（１９９３年４月２日～７月９日放送、全１４回）◆清左衛門はこのところ続けて同じ夢をみ、眠れない夜を過ごしていた。夢の中味は若い頃の苦い記憶。清左衛門の近習組の同僚だった小木慶三郎に関するものだった。才覚が清左衛門より抜きん出て、出世もするだろうと目されていた小木だったが、あるときから出世街道を外れてしまう。原因は自分が殿に告げたざん言によるのではないか。清左衛門はそう思い悩んでいた。居ても立ってもいられず、小木に会いに行くと、だれかのざん言で出世の道を断たれたと語る。清左衛門は強烈な自己嫌悪に陥る。

同じ会社に勤める大学の同級生３人組。彼らが飲み屋で顔を合わせて盛り上がるのが「カミさんの悪口」。結婚１８年、子供のいない一見理想的な熟年夫婦の日常を中年男３人組と共にシニカルに描く。原作：村松友視。◆第１回「宣戦布告」。塗料商社開発部長・小泉肇（田村正和）、常務の茂木修二郎（橋爪功）、社長室長の片桐安男（角野卓造）は同期入社、３人でお互いの妻の悪口を言うのが楽しみのひとつ。小泉は妻・由起子（篠ひろ子）の誕生日に夕食の約束をしていたが、茂木に大阪からやって来る愛人・大場咲（松本明子）の面倒を見てほしいと頼まれ、引き受けてしまう。事の成り行きから咲を家に連れて帰ることになり、由起子は怒る。

平安時代末期、根来寺を開いた真言宗中興の祖、覚鑁上人。幼いころ、尊敬していた地方官の父が国司に叱責されるのを目のあたりにして出家を志し、厳しい修業を積んで阿闍梨の位につく。その後鳥羽上皇の信任を得て高野山の座主となり、弘法大師以来の伝法会を再開するが、僧兵の反対にあい高野山を追われる。覚鑁は争いを嫌い、山をおりた。その覚鑁の教えが形となって残されているのが根来寺。真言密教の教義の象徴といえる根本大塔は当時のまま残り、木造最古の多宝塔として国宝の指定を受けている。◆【国宝】根来寺多宝塔【重要文化財】根来寺大師堂【その他】覚鑁上人像、錐鑚（きりもみ）不動明王像、妙海尼像

　ここは、明治初期に活躍した左官職人・入江長八（伊豆の長八）の漆喰鏝（こて）絵を展示する美術館である。潮風の強い伊豆の西海岸では、漆喰で塗り固めたなまこ壁の家や蔵が多く建てられた。長八は、江戸で狩野派絵画を学び、顔料や膠（にかわ）の工夫を重ね、繊細な鏝先から西洋のフレスコ画にも匹敵するといわれる素晴らしい作品を数多く遺している。日本伝統の左官職人の技術を今に伝える。（松崎町）