中村歌右衛門さんに話を聞き、その至芸を紹介する。◆鑑賞する舞台は「将門」、「八段目道行」、「隅田川」の三つで、いずれも舞踊。「将門」（１９７２年歌舞伎座）では傾城如月実は滝夜叉、「八段目」（１９７４年「芸能百選」）では戸無瀬、そして「隅田川」（１９９０年パリ・シャンゼリゼ劇場）では班女を、それぞれ演じている。それら三つの舞台の映像を見ながら、振付師の藤間勘十郎さんをまじえて歌右衛門さんに当時を振り返ってもらう。インタビューは東京・世田谷の中村歌右衛門邸で録画。

８億の民が暮らすインドの混とんとした文化の中で、６億の人が祈りを捧げるヒンズー教。◆ヒンズー教の宇宙観を支える３つの神、シバ・ビシュヌ・ブラフマーの根源に迫り、インド古来の土着信仰をのみ込んでいった様子を振り返る。そしてインダス文明発祥以来５０００年、多くの宗教が盛衰していった中で、素朴な祈りのヒンズー教が定着した理由を探る。

大水害に襲われた故郷奈良県十津川村を後に、２６００人が北海道へ新天地を求めて移住したという歴史的事実をもとに、祖母と母と娘の３代に託して百年の開拓史を描く。（大正編／１９９２年５月２日・９日放送、全２回）◆大正７年、北海道・新十津川村。原野を切り開いたフキの長女・あやは今一つ気の進まないままに小学校教師・和三郎のもとへ嫁いだ。フキは二人の息子たちのどちらかに農業を継がせるつもりだった。しかし長男・庄作も二男の豊彦も東京へ出てしまう。やがて出産のため里帰りしたあやは、出面（季節労働者）として雇われていた吾郎にひかれていく。

絶滅の危機に瀕しているペンギンの保護、育成をライフワークにするハワードさんの家にホームステイをしながらペンギン病院の手伝いをする野呂美木さんの１週間を紹介する。◆ニュージーランド南島オタゴ半島に１千羽あまりしか生き残っていないキガシラペンギン。この半島でヒツジ牧場を経営するハワードさんの敷地内には傷ついたり病気になったり、あるいは親からはぐれた子ペンギンを収容する病院がある。回復したペンギンは自然に戻される。青森県南津軽からやってきた美木さんはかみつかれながらもペンギンの世話をする。

琉球王朝は５００年にわたって中国と交流し、その中から独自の文化を築いてきた。首里城が１９９２年１１月に復元されるのを機に、幻の王朝料理の再現のためにそのルーツである中国福建省を取材。琉球王朝の食文化を通して琉球と中国の交流史を紹介する。復帰２０周年特別企画。◆琉球王朝の新国王が誕生するたびに中国皇帝は認定の使者・冊封使を送り、琉球王は豪華な歓迎の宴を催した。その宴席料理の記録が残っている。その記録を携え、中国福建省福州市で実際に調理してもらう。

ベネチア派最大の巨匠ティツィアーノ。１６世紀に描いた縦７メートルの、サンタ・マリア・ディ・フラーリ教会の祭壇画「聖母被昇天」は、誰も真似のできない魔法の赤色を使いベネチア画壇に君臨した。商才にも長け貴族にも列し、富と名声をほしいままにした。しかし、水の都もペストの猛威で町は力を失い、衰退に追いやられる。現在は水の浸食で危機に直面しており、人類の遺産である大祭壇は未来にいかにして受け継がれるのか、危ぶまれている。◆ティツィアーノ（１４９０？〜１５７６）「聖母被昇天」１５１６−１８、「カール五世の騎馬像」１５４８、「サピエンツァ」１５６０、「ピエタ」１５７０−７６

旧ソ連に捕虜として抑留されていた画家・香月泰男さんは、復員後軍隊生活とシベリアでの捕虜生活を描き続けた。その絵と体験者の証言を追跡取材し、シベリアの悲劇を検証する。零下４０度の厳寒の中での強制労働、粗末な食事、死者からはぎとった衣服の着用など生々しい事実が浮かび上がる。

大みそか恒例の特別番組、１９９２年（平成４）第４３回ＮＨＫ紅白歌合戦。一年のヒット曲にくわえて、“にっぽんの歌”として歌い継いでいきたい名曲を揃え、男女に分かれて競う。メインテーマは「テレビ４０年、日本そして家族」。司会は堺正章、石田ひかり。総合司会は山川静夫アナウンサー。◆第１部では、テレビ４０年のヒーロー・ヒロインが集合するコーナーもあり、最後に全員で“地球を救おう”と呼び掛ける「ＴＥＡＲＳ」（ＹＯＳＨＩＫＩ作）を歌う。