ポーランドの戦争博物館にある１体の日本人形から、その人形のモデルとなったオペラ歌手・喜波貞子の生涯を追う。◆その人形を作ったのはパビアック強制収容所で獄死したカミラ・ジュコフスカ、人形の名はタイカ・キワ。モデルの喜波貞子は、当時ヨーロッパで「蝶々夫人」を演じて人気を博していた。明治３５年横浜生まれ、１７歳の時に単身渡欧。日本ではほとんど知られていない彼女の足跡をたどって、デビューしたリスボンの劇場へ、そしてかつての共演者を訪ねてミラノへ、ニースへと追う。

吉野ヶ里遺跡の発見を契機に、古代史最大の謎「邪馬台国」が新たな注目を集めている。最新の考古学、歴史学、民俗学の研究をふまえ、ＣＧや実験を交えながら日本の古代国家成立の謎を３回シリーズで探る。（１９８９年５月１７日〜５月１９日放送、全３回）◆佐賀県神崎町の吉野ヶ里遺跡から発掘された甕棺からは、銅剣やガラス管のほかにも頭のない遺骨、多くの矢じりが打ち込まれた骨も出てきた。「魏志倭人伝」によれば当時は「倭国大乱」の頃。３００あまりの国が３０カ国に減ったとある。１〜２世紀の倭国には何が起こっていたのか。

瀬戸大橋の建設で、瀬戸内海をとりまく地域の状況は激しく動き始めた。検証・瀬戸大橋時代をメインテーマに、瀬戸内エリアの観光・経済などの新しい動きをタイムリーに伝える。（１９８８年５月７日～１９８９年９月３０日、全６９回）

時代が昭和から平成へと移った節目、１９８９年・第４０回ＮＨＫ紅白歌合戦は２部構成。第２部は従来通りこの１年間に活躍した紅白２０組ずつの対抗戦でおくる。司会は三田佳子、武田鉄矢。総合司会は松平定知アナウンサー。

人気番組「やっぱり猫が好き」の出演者が視聴するという設定でおくる、１９８９～１９９０年の年またぎ生放送特別番組。恩田３姉妹が鍋をかこみ「ゆけ年こい年」の番組を見ながら一年を振り返ったり、来年の抱負を語り合う。また中継リポートにて、日本各地の年の瀬や年明けの様子も伝える。矢野顕子と忌野清志郎によるライブ演奏や、うま年記念「うまクイズ」も。

あぶない刑事コンビ、タカとユージの活躍を描く大ヒットシリーズ第２作。横浜港警察署捜査課の問題児、タカこと鷹山敏樹とユージこと大下勇次が今回も事件を追いかける。（第２シリーズ／１９８８年１０月７日～１９８９年３月３１日放送、全２５回）◆第１５回。タカ（舘ひろし）とユージ（柴田恭兵）は、銀行襲撃犯逮捕の際、人質の牧野恵（網浜直子）を死なせてしまう。その後、麻薬取引のタレコミにより現場へ行くのだが、タカらが逮捕しようとした麻薬の売人が目の前で射殺される。不運なことが続く中、港署に無関係の会社社長の殺害予告と身代金要求の電話がかかってくる。

作家・近藤富枝さんが「紫式部日記絵詞」をたずねて歩く。また、日記の朗読と現代語解説を絵と合わせて紹介する。◆「紫式部日記絵詞」は、『源氏物語』の作者・紫式部の日記を絵巻物にしたもの。日記を詞書きに、その見どころを絵に、日記が書かれた２００年後の鎌倉時代、数多くの流布本が作られた。現存する絵詞は詞書２３段と絵２４面で、６カ所に分かれて収蔵されているため、めったに一堂に会して見ることができない。◆文壇の裏面史を中心に作品を発表している近藤さんは「絵を見ていると、紫式部は内向的な性格ではないかと思われる。周囲からは浮いた存在だっただろう。作家としては向いているが…」と語る。

原爆の恐怖から逃れようとして自殺を図り、未遂に終わったものの記憶を失った男と周囲の人々の心のふれあいを通して昭和の庶民を描く。◆１９５８年（昭和３３）、中野駅でひとりの男が倒れた。白血球の異常な減少から原爆症のおそれもあるが、河口克己という名前以外は記憶がない。それから２４年間、彼は記憶喪失のまま東京で暮らす。ホステスのアキ子と生活していたが、睡眠楽療法を受けて少しずつ記憶が甦ってくるが、郷里を思い出せない。自分の過去に怯える彼を支えて、アキ子は記憶の断片を手掛かりに岡山県に行く。