本年の４月の長崎市長選挙には、天皇の戦争責任発言で、右翼の銃撃を受けた現職の本島市長が出馬した。選挙戦の争点は言論の自由と天皇の戦争責任発言、そして地域経済の活性化だった。結果は本島市長が４選を果たしたが、対立候補との票差はわずか７７５５票だった。市長選を通じて、天皇、言論の自由、地域経済を取り巻く日本の現状を浮彫りにすると共に、３２万人の有権者がどんな思いで一票を投じたかを取材する。

生涯をフィレンツェに生き、この街の絶頂期を象徴する画家・ボッティチェリ。彼の描いた傑作「ヴィーナスの誕生」に秘められた謎は、彼が終生独身を通しながら心で愛しつづけた女性、シモネッタを絵の中心に据えたことだった。理想の美を求めつづけた彼は、フィレンツェを支配したメディチ家から最も寵愛され栄光を一身に集めた。しかし、サボナローラの出現により美術界から凋落し、晩年は借金を追って２本の杖で町中を徘徊していたという。◆サンドロ・ボッティチェリ（１４４４／４５〜１５１０）「東方三博士の礼拝」１４７５、「春〜プリマヴェーラ」１４８２、「マニフィカトの聖母」１４８２、「ヴィーナスの誕生」１４８５、「美しきシモネッタの肖像」１４８０〜８５、「ざくろの聖母」

古代日本人が作り出した魂の造形、勾玉。造形の端緒は諸説あるが、不思議な色と形に古代人は様々な願いや祈りを託した。材質のヒスイは糸魚川の地から採掘し独特の加工を施して、古代における海外交易品として重要な役割を果たし歴史を支えてきた。剣と鏡と勾玉は三種の神器といわれ、天皇家や神事の象徴として敬われた。巫女により災い防止や豊作祈願の道具として継承されたが、俗世界から消え去り、魂の造形としてのみ存在した。◆【重要文化財】勾玉（出雲国玉作阯出土品）〔玉作湯神社〕、勾玉〔玉作資料館〕、硬玉勾玉〔出雲大社〕◆【その他】子持ち勾玉〔富山県立埋蔵文化センター〕

一般によく知られている昔話「浦島太郎」を題材に、海と共に生きた古代日本人の原風景を探る。◆「浦島太郎」の物語は、明治時代に形づくられたものだが、古くは「丹後国風土記」「日本書紀」にその原形となる記述がみられ、物語の舞台は現在の京都府丹後半島となっている。「海洋民族の伝承」をヒントに、丹後半島をスタートに黒潮の道をさかのぼり、九州、沖縄、ミクロネシアと各地に残る伝承や習俗・信仰を訪ね、海洋民族の持っていた「龍宮」のイメージを探る。

結婚を控えた普通のＯＬが、社長のたくらみから特別企画室の部長に就任。様々な逆境に悩み、傷つきながらも、自分の力で運命を切り開いていこうとするポジティブな女性の姿を描く。（１９９１年１０月１８日〜１２月２０日放送、全１０回）◆第一章「運命の鼓動」。平凡な家庭に育った安部令子（今井美樹）は、一流商社に勤務するＯＬ。恋人・反町建太（石橋凌）のプロポーズを受け、結婚後の生活を夢見ている。同僚でエリート育ちの山吹圭子（仙道敦子）は、社長の娘であることを隠して、仕事に燃えている。そんな中、令子は社長から新企画の部長の辞令を受ける。女子社員だけが提出したプロジェクトの企画書の中で、令子がいい加減に考えた「フラワービジネス」の案が採用されたのだ。

第一次世界大戦以降、パリのモンパルナスに移り住み創作活動を行った芸術家たちの集団「エコールド・パリ」。当時の人気雑誌パリ・モンパルナス誌で“モンパルナスの女王”に選ばれたモデルの「キキ」の周りには、いつも芸術家たちが寄り群がっていた。その中には藤田嗣治やキスリングもいた。彼女の内面までを描いたキスリングの絵を味わいながら、当時人気絶頂だった、伝説に残るキキの実像を追う。◆モーイズ・キスリング（１８９１〜１９５３）「モンパルナスのキキ、赤い洋服」「赤と緑のシーツに寝そべる裸婦」、プチ・パレ美術館アトリエアパート、ラルーシュ（蜂の巣）

伊勢物語を素材とし永遠の愛を描いた、最も能らしい能として愛好されてきた名曲。文学作品を舞台芸術化したもの。◆諸国を巡る僧が奈良の在原寺に立ち寄り、ここに昔一緒に住んでいたという在原業平と紀有常の娘の霊を弔う。そこへ娘の霊が現れて昔話をし、娘は業平の衣裳をつけて舞う。◆観世銕之丞は女の情念を小面・増・深井の面で演じ分け得ると語る。夢幻能と現在能についても話す。◆副音声は英語

ＴＢＳ宇宙特派員の秋山豊寛が、イタリア人船乗り・クリストファー・コロンブスの新大陸発見を巡るナゾの解明に挑む２回目。彼が最後までジパングだと思っていた、西インド諸島の原住民に与えた影響と、論争が続く最初の上陸地点を、彼が残した日誌をもとに探る。◆コロンブスが最初に上陸した島はまだわかっていない。その候補となっている３つの島、南米・バハマ諸島のサン・サルバドル島、サマナ・ケイ島、グランド・ターク島を訪れる。またスペインの総督府が置かれていたドミニカ共和国を訪れ、コロンブス以前と以後について紹介する。