主人公はイタリアの文化人類学者・写真家・登山家であるフォスコ・マライーニさんと作家・脚本家である長女ダーチャ・マライーニさんの父娘。写真家として戦前戦後の日本の様子を記録したフォスコさんは、１９４３年（昭１８）ムッソリーニ政権が倒れ、イタリアが敵国となったために、名古屋市内の強制収容所に入れられた。ここで彼は警官の食料横流しにより飢えに苦しみ、抗議のため斧で左小指を切断した。５０年ぶりに訪日した父娘を軸に、戦争の愚かさ、自由の尊さを訴える。

日本経済新聞紙上で１９５７年３月に始まった「私の履歴書」テレビ版の新シリーズ。一時代を築いた人物が出演し、自らについて語る。（１９８８年１０月５日〜１９９１年３月２６日放送、全１２７回）◆飯沢匡：劇作家。１９０９年和歌山生まれ。１９３３年朝日新聞に入社、「婦人朝日」「アサヒグラフ」編集長を経て１９５４年に退社、文筆に専念する。ラジオ・テレビ・新派・歌舞伎・狂言・大衆劇・児童劇など幅広い分野で活躍。主な作品に「もう一人のヒト」（１９７０）、狂言「濯ぎ川」など。

人間国宝・花柳章太郎が昭和１７年から亡くなる昭和４０年の正月までの２３年間書きつづけていた日記が１９９１年はじめに発見された。この日記を中心に、残された多数の随筆や舞台映像を紹介しながら、人生の達人と呼ばれた新派不世出の名女形「花柳章太郎」の世界を探る。◆第２回は女形としての「芸」を究めていく姿を映像を通して描く。

天才物理学者アルベルト・アインシュタイン（１８７９年〜１９５６年）に関係する言葉をキーワードに、彼が考え到達した「知の世界」を理解する、いわば広大な頭脳宇宙へ旅するシリーズ。（１９９１年１２月２２日終了、全８回）◆２０世紀で最も重要な科学理論といわれる「相対性理論」と「量子力学」。そのいずれにも深く関わったのがアインシュタイン。いまなぜ彼を取り上げるのか、その現代的意味を考える。

スターを夢見る地方回りの売れない踊り子が、沖縄を舞台に麻薬組織と対決する物語。（１９９１年３月１１日〜３月１６日放送、全６回）◆第２回。リリー（松坂慶子）のマネージャー・寒川（堺正章）が麻薬所持容疑で逮捕された。捜査に当たる若手刑事の武田（阿部寛）が寒川の部屋の予約客を調べはじめると、ペンションのオーナーが突然姿を消してしまった。麻薬に関わる暴力団の動きを感じ、リリーは不気味に思う。翌日、沖縄舞踊の踊り手・京子（鈴木京香）がリリーの楽屋を訪れ、寒川にもらったという指輪を渡して立ちさった。

自衛隊の合憲・違憲を争った長沼ナイキ訴訟や水害の損害賠償を求めた長良川安八町訴訟を通し、司法界を検証する。◆これらの訴訟に関わった裁判官や関係者の証言により、日本の裁判が行政に追随しているという現実をほりおこし、国の検察官だった人が裁判官になるケースが増加しているなど司法の独立が危機にさらされていると訴える。

日本の焼き物の代名詞、瀬戸物。瀬戸の町の東南にある猿投山の陶土に始まる陶祖・藤四郎伝説から、世界で最も命長く続く瀬戸陶器の源流を探る。そして、灰を釉薬とした伝統的作陶工法を現代に伝える、加藤舜陶氏の窯元に歴史をのぞく。◆１４世紀ころから、全面に灰釉を施した「古瀬戸」といわれる陶器が、瀬戸を中心として数多く出現している。中国追従から独立して確かな基盤を持ったのである。やがて茶道の発展に伴い技術が向上し、今日なお続く系譜を伝える。

９９回も見合いをして断わられた中年男の、今度の見合い相手は婚約者を亡くした美女。２人が結ばれるまでを描く。「Ｄｅｍａｎｄｅ　ｅｎ　ｍａｒｉａｇｅ　ｌａ　１０１ｅｍｅ　ｆｏｉｓ」（１９９１年７月１日〜９月１６日放送、全１２回）◆第１楽章。建設会社の係長・星野達郎（武田鉄矢）は、風さいのあがらぬ４２歳の独身。彼が記念すべき１００回目の見合いをすることになった。相手はオーケストラのチェロ奏者・矢吹薫（浅野温子）。３０歳で美人、達郎は一目で気に入った。薫も達郎に興味は示したが、結婚の対象としては程遠い。一方、薫と同じオーケストラにいる沢村尚人（竹内力）は、思い続けていた薫が見合いをしたと聞いてショックを受ける。