大相撲界で初の国民栄誉賞に輝いた千代の富士。「みつぐ」と呼ばれた少年時代から力士への道に一歩踏み出すまでを、実話をベースに描く。（１９９１年６月２日〜６月２３日放送、全４回）◆第一話。横綱千代の富士、本名・秋元貢は北海道南部の漁村に生まれた。子供の頃から運動神経は抜群に優れ、漁師である父・松夫（橋爪功）の自慢の息子だった。九重親方の命を受け、有望な新人を探していたスカウトマン・若狭は、貢（宮下直紀）の体格をみて一目で気に入った。

古代日本人が作り出した魂の造形、勾玉。造形の端緒は諸説あるが、不思議な色と形に古代人は様々な願いや祈りを託した。材質のヒスイは糸魚川の地から採掘し独特の加工を施して、古代における海外交易品として重要な役割を果たし歴史を支えてきた。剣と鏡と勾玉は三種の神器といわれ、天皇家や神事の象徴として敬われた。巫女により災い防止や豊作祈願の道具として継承されたが、俗世界から消え去り、魂の造形としてのみ存在した。◆【重要文化財】勾玉（出雲国玉作阯出土品）〔玉作湯神社〕、勾玉〔玉作資料館〕、硬玉勾玉〔出雲大社〕◆【その他】子持ち勾玉〔富山県立埋蔵文化センター〕

１９世紀末、フランス東北部ナンシーに生まれたガラス工芸家・エミール・ガレ。機械文明に反発し新様式のアール・ヌーボーの旗手として活躍。「ナンシーに生まれた日本人」といわれるほど日本の自然感に傾倒し、ジャポニズムをヨーロッパで具象化した。作品の主題は昆虫や魚。日本美術の叙情性と自然への愛に共鳴し、精神性の深い死生観を作品に写し出す。真の東洋思想をどこかに置き忘れてきたのではないかと日本人の心を揺さぶる。◆蜻蛉文鶴頸扁瓶（エミール・ガレ作）〔北澤美術館〕、ひとよ茸ランプ、フランスの薔薇、昆虫文水差、鯉魚文花瓶、ブリダリア文花器、獅子頭

高齢化が進み、老人介護の問題は年々切実になっている。多くを女性が担ってきたが今後は男性も他人事とは言っていられない。介護に向き合う決意をした男たちを軸に、社会・地域の備えと老いをどう見つめるかを問いかける。◆ホームヘルパーを増員し全国１万箇所に介護センターを造るなどの国の１０か年計画もスタートしたが、その実現にはまだ問題が多い。介護現場の人手不足に対して様々な決断をした家族の例を紹介、その実態を探る。また自宅介護を実践している全国の家庭から手記を募集して現場の苦労を紹介する。スタジオ出演は作家・加賀乙彦氏、ヘルパースキル研究会会長井上千津子氏、飯田女子短期大学助教授石毛鑠子氏。

江戸・元禄の泰平を破り世の中をつき動かした赤穂浪人の仇討ち「忠臣蔵」を記録や関係者の手紙などを参考に、飾らずに素朴に描いたリアリティ溢れるドラマ。（前後編、全２回）◆前編。元禄１４年（１７０１）３月。播州赤穂の浅野家城代家老・大石内蔵助（平幹二朗）が何ひとつ知らぬうちに事件は起こっていた。藩主内匠頭は切腹となり、城内では３日におよぶ会議の末に無血開城と浅野家再興を決め、藩士たちは赤穂を去る。山科に蟄居した大石は吉良邸討ち入りを望む藩士たちを抑えて、浅野家再興に手を尽くす。しかしとうとう内匠頭の一周忌に仇討ちをするという言質を取られる。そのころ吉良方でも一周忌をヤマとして警戒を強めていた。

日本経済新聞紙上で１９５７年３月に始まった「私の履歴書」テレビ版の新シリーズ。一時代を築いた人物が出演し、自らについて語る。（１９８８年１０月５日〜１９９１年３月２６日放送、全１２７回）◆山田一雄：指揮者。１９１２年東京生まれ。シロタ、プリングスハイムに師事する。１９４１年日本交響楽団常任指揮者、１９５３年東京芸術大教授、１９７２年京都市交響楽団音楽監督・常任指揮者となる。１９７８年に芸術選奨文部大臣賞、１９８５年に芸術院賞を受賞。

ユジノサハリンスクを舞台に、生への意欲を失った青年医師と女優を夢見るロシア人の少女との民族や国境を超えて結ばれる人間愛を描く。◆末期ガンで苦しむ最愛の恋人・伸子を、自らの手で安楽死させてしまった青年医師・矢吹（役所広司）の逃避行にも似たサハリンの旅。そこで傷心の矢吹を待っていたのは女優を夢みるロシア人少女マーシャとの出会いであった。互いに言葉の通じない二人は、矢吹が学生時代に夢中になって暗記したチェーホフの戯曲「ワーニャ伯父さん」のセリフを介して会話をすすめる。

統一後の東ベルリンのナショナルギャラリーから、謎に満ちた名画２８点が発見された。第二次世界大戦中、ナチスの兵士がフランスから強奪して持ちかえり、３０年余りもトランクの中で眠っていたのである。その後、教会の司教の手を経て、世界の４大美術館のひとつ、ベルリン・ナショナルギャラリーに保管された。統一後１年目の東西ドイツの混迷する世情を背景に、公開されたモネ、ルノアール、クールベの３点の作品とそれら名画の流転の宿命を追う。◆クロード・モネ（１８４０〜１９２６）「ルーヴェンヌへの道」、ピエール・オーギュスト・ルノワール（１８４１〜１９１９）、「お絵かきするココ」、ギュスターヴ・クールベ（１８１９〜１８７７）「フランシュコンテの風景」