東大寺戒壇堂の四天王像は、高い芸術性、精神性、さらに技術力で、天平彫刻の中でも最高傑作の一つとされる。戒壇堂近くで生まれ育った写真家の入江泰吉さんが、その表情について語る。◆東大寺大仏殿の西側に建つ戒壇堂は、鑑真和上によって日本で最初に築かれた戒壇である。四天王は、正式な僧になるための戒を授けるこの堂の二体の本尊を守っている。◆入江さんは４０年以上にわたって大和の仏像や風景を撮り続けてきたが、初めて撮影したのがこの四天王像という。「生きている眼差しにゾッとした」と、その時を回想する。

戦国末期から徳川初期にかけ、徳川三代将軍の乳母として徳川３００年の泰平の礎を築こうとした春日局の生涯を描く。ＮＨＫ大河ドラマ第２７作。原作・脚本：橋田寿賀子。（１９８９年１月１日〜１２月１７日放送、全５０回）◆第１回「父の出陣」。おふく（大原麗子）は竹千代（後の徳川家光）の乳母となった。多くの人々のさまざまな思惑が渦巻く江戸城での生活は安楽とは言い難いものになりそうだったが、幼い頃に味わった悲しみに比べればどんなことでも耐え忍べると自分に言い聞かせる。彼女の父、斎藤利三は明智光秀の重臣として本能寺襲撃に加わった。そこから彼女の苦難に満ちた人生が始まった。

終戦の引き揚げの際、家族を救うためにと売られて中国に残った女性たちを訪ね、彼女たちの訴えを通して戦争の悲惨さを描く。◆ある村で中国残留婦人の帰国の相談役をしている６４歳の女性は、自らも引き揚げを体験している。村は戦前満州（現在の中国東北部）に分村をつくり、１１３９人が入植した。現地での死者６１２人、行方不明者５０人、そして未帰国者３２人。その大半が女性で、彼女の幼な友達である。その人たちとの連絡役として今回４回目の現地訪問をし、帰国を願う切々たる思いを聞く。

神秘と謎に満ちた小宇宙ともいえる人体の仕組みについて、現代の科学がとらえた最先端を解説する。（１９８９年９月１９日〜９月２１日放送、全３回）◆第１回のテーマは、体の中の化学工場・肝臓。肝細胞は５００種類の働きをするといわれ、蛋白質の合成や解毒作用など大きな役割を果たしている。これらの役割を果たすための働きにはいろいろな酵素が中心になってる。中でもスーパー酵素Ｐ４５０と名付けられた酵素は、ただ１つの働きしかしない酵素群の中にあって、いくつもの働きをする不思議な酵素である。

平安時代に大仏師定朝によって確立された貴族趣味の仏教美術は、武士階級が台頭した鎌倉時代に様相を一変する。定朝と運慶の作風を比較し、鎌倉期の仏教美術の武骨さ、力強さ、そして仏が限りなく人間に近づいた時代背景を探る。◆京に対抗する武人政治を裏書きする運慶一派。その、時代を読み取った美術的主張と、後の宋からの影響なども加味し、貴族仏教から庶民信仰へと移行する過程と仏教美術の盛衰を検証する。◆【国宝】阿弥陀如来坐像〔平等院〕、阿弥陀如来坐像（鎌倉大仏）〔高徳院〕◆【重要文化財】阿弥陀如来坐像、毘沙門天立像〔願成就院〕

瀬戸大橋の建設で、瀬戸内海をとりまく地域の状況は激しく動き始めた。検証・瀬戸大橋時代をメインテーマに、瀬戸内エリアの観光・経済などの新しい動きをタイムリーに伝える。（１９８８年５月７日～１９８９年９月３０日、全６９回）◆市制１００周年記念事業として誘致された「倉敷チボリ公園」の計画を紹介する。

日本経済新聞紙上で１９５７年３月に始まった「私の履歴書」テレビ版の新シリーズ。一時代を築いた人物が出演し、自らについて語る。（１９８８年１０月５日〜１９９１年３月２６日放送、全１２７回）◆辻村ジュサブロー：人形作家。１９３３年、中国生まれ。１９５６年歌舞伎小道具の＜藤波＞に入社、のち人形製作を行う。１９７６年芸術選奨新人賞受賞＜真田十勇士＞（ＮＨＫ）。ほかに＜新八犬伝＞（ＮＨＫ）など。

日本経済新聞紙上で１９５７年３月に始まった「私の履歴書」テレビ版の新シリーズ。一時代を築いた人物が出演し、自らについて語る。（１９８８年１０月５日〜１９９１年３月２６日放送、全１２７回）◆林由郎：元日本プロゴルフ協会副会長。１９２２年千葉に生まれ。戦後のプロゴルフ会を盛り立てた一人で、解説者としても活躍。日本プロ優勝（１９４９、５０、５６、６１）、日本オープン優勝（１９５０、５４）。