幼稚園に通うペリカンと子供たちの２７０日間の交流を追う。◆１９８９年（平成元）３月、山口県宇部市の明光幼稚園に１羽のモモイロペリカンが通いはじめた。名前は「カッタ」君、４歳のオス。カッタ君はすぐに園児の中にとけこみ一緒に遊びはじめ、園児たちもすっかり友達付きあいをするようになった。カッタ君は幼稚園のそばにある常盤公園で、日本初の人工飼育に成功したモモイロペリカンだった。

アメリカの美術品収集家ジョー・Ｄ・プライスさんにより掘り起こされた、江戸中期の異端の画家・伊藤若冲（１７１６〜１８００）の作品の再評価を試みる。◆京都生まれの若冲は狩野派に学ぶが飽き足らず、独自の画風を打ち立て細密にして大胆な構図の作品を残した。日本美術史の本流を外れ、「奇想」と評価されたまま埋もれていた若冲の絵。江戸の美の魅力に取り付かれたプライスさんの絵画論とともに、自然を愛した日本人画家の優れた本質に迫る。◆紫陽花双鶏図（伊藤若冲筆）〔ロサンゼルス美術館〕、竹梅双鶏図、葡萄図、旭日雄鶏図、伏見人形図、鷲図、猛虎図〔京都国立博物館〕

１９７３年（昭和４８）４月１３日から１３回連続で放送した「遥かなるわが町」を２時間ドラマにリメイク。都会で傷ついた娘と孫を迎える老教授と、周りの人々との交流を温かく描く。◆イベントプランナーの暎子（いしだあゆみ）は離婚して１２歳の息子・邦彦と二人暮らし。仕事のトラブルで海外に行くことになったが、邦彦を預かってくれる人がおらず、仕方なしに北海道の小樽に住む父・冬吉（芦田伸介）に頼む。瑛子は２０年前に自分と母を捨てた父を許していなかったが、孫の顔はいつか見せてやろうと思っていた。冬吉は大学教授だったか、今は引退してやもめぐらし。友人の王と同居し、弟子の二階堂や近所の娘・さつきらが出入りする。邦彦を預けると瑛子はすぐに東京に戻り、冬吉は王らの助けを借りて孫と打ち解けようとする。しかし、都会育ちの邦彦は全く心を開こうとしない。

奈良時代の末から沖ノ島の役割は急速に変化する。新羅の朝鮮統一によって友好国百済が滅亡し、遣唐使の海上ルートが大きく変わった。そのため、８世紀平安時代には沖ノ島は外交の舞台としての使命を終え、５００年に及ぶ歴史は幕を閉じた。しかし、１２万点もの貴重な遺物はそのまま保存され、古代日本が間違いなく国際社会で生きていた輝かしいあかしをとどめている。◆当時、北九州を支配していた宗像一族の姿と玄界灘の秘史を解明する。◆【国宝、重要文化財】筑前国宗像神社沖津宮祭祀遺跡出土品〔宗像大社〕【その他】金銅製織機、鴟尾琴〔伊勢神宮〕、みあれ祭り〔福岡県〕

世界３大レースの１つとして注目のル・マン２４時間レース。そのレースを陰で支えるエンジニアにスポットを当てた１年間の長期取材。レースに執念を燃やすエンジニア、そして広島で暮らす妻や子供たちとの絆を描く。◆１９９０年６月１６日、最新鋭のマシンが世界最高の栄誉をかけて戦うル・マン２４時間耐久自動車レースがスタート。番組では１年前のエンジン設計から撮影を開始、ロータリーエンジンの開発に情熱を注ぐエンジニアの姿そして過酷なレースの終るまでを追う。広島ホームテレビ開局２０周年記念番組。

野辺にあって人々に語りかける「微笑仏」。民芸家・柳宗悦によって見出され、そう呼称された木喰上人の仏像である。木喰行とは木の実を食し修行すること。◆木喰上人・五行（１７１８〜１８１０）は行を終え、貧しい民衆救済を志して全国を行脚した。北海道で円空仏と出合い、６３歳から仏像制作を始める。本願成就の後も精力的に全国行脚を続け、笑いこそ衆生を救う道と９３歳で死ぬまで微笑仏を彫り続ける。残された多くの仏像からその軌跡をたどる。◆如意輪観音、大黒天、行基菩薩〔小栗山観音堂〕、地蔵菩薩、木喰自刻像〔日本民藝館〕、薬師如来、子育地蔵、子安地蔵〔太田山霊場〕

コンピューターゲームの中のキャラクターに亡くした娘の存在を感じる母親の姿を描く。◆ゲームソフト会社に勤める岡野京子（富田靖子）は不注意で死なせてしまった愛娘ナミのことで自分を責めつづけていた。京子はコンピューターゲームの主人公にナミという名前をつけ、ゲームの中で子育ての追体験を始める。

東洋美術に造けいの深かったアメリカ人、アーサー・Ｍ・サクラー氏が１９８２年にワシントンに建てたサクラーギャラリー。ここで横浜浮世絵展が開かれた。幕末、横浜開港の情報を伝えた浮世絵師たちによって描かれたもの。横浜を主題に異人風俗を活写した当世風浮世絵である。開港直後から１０年足らずの間、爆発的な人気を博し風俗資料としての価値も高い。しかし、やがて文明開化、写真技術や新聞の登場などで浮世絵時代は終わりを告げた。◆西洋人荷物運送之図（五雲亭貞秀筆）、五箇国人物行歩図（五雲亭貞秀筆）、波止場の帰帆亜米利加人（一猛斎芳虎筆）、横浜異人屋敷之図（一川芳員筆）〔サクラーギャラリー〕