希望を胸に祖国日本に帰国した中国残留孤児や２世、３世の抱える問題を描く。◆帰国する人数が増えるにつれ孤児問題の重点は帰国後の「定着・自立」に移ってきた。だが半生を中国人として生きてきた孤児たちにとって日本社会への適応は容易なことではない。２、３世はなおさらである。言葉の壁、人情の薄さ、帰国者への差別などが彼らの前に立ちはだかる。彼らの直面する現実を多角的にとらえる。

激動の“昭和”を和歌で表現した「昭和万葉集」（講談社刊）の朗読に、ニュースフィルムやスチール、語りを組みあわせ、日本人の心の動きを映像化する。◆萬葉の昔から、日本人は心に迫る時々の思いを三十一文字に記して生きる証しとした。退廃ムードの大正から一転して黎明の昭和へと期待はふくらんだが、早々の経済危機、軍部の台頭、戦火の拡大など、時代は暗い方向へと傾斜してゆく。さまざまな人による百数十首の短歌で、昭和という時代を語る。

大阪の片隅にある豚舎のなかで、肩を寄せあって生きる不思議な４人と豚の物語。◆大学受験に失敗した高田六平（斉藤隆治）は大阪で祖父・哲次（浜村純）の営む養豚場を手伝うことにした。仲間３人とバンド「ドラムカン」を結成、“豚”をテーマにしたロックを歌う。だがライブハウスに出演しても、豚のロックはうけないばかりか、客は途中で帰ってしまう。ある夜、演奏が終わっても帰らずにいた長山うさぎ（田山真美子）という娘が、六平を追ってきて豚舎に住みつく。娘をさがしに来た父・昭夫（大地康雄）は一流大学出の元銀行マンで、彼も豚舎が気に入って４人の共同生活が始まる。

奈良から柳生街道（旧伊勢街道）を東へ向かうと、山中に突然円成寺が姿を現わす。寺の歴史と運慶作の大日如来坐像を紹介する。◆円成寺は平安時代後期の浄土式庭園と池、再建された朱の多宝塔、清楚な楼門が常緑樹の森を背に整然と並ぶ格調高い古寺である。この寺には世に広く知られる木造の大日如来坐像がある。この仏像は１９２２年（大正１１）の修理の際に、墨書きの銘文から運慶（１１４８〜１２２３）の作と証明された。運慶２０歳代中頃の作で若々しく生命感があふれ、写実的で力強い。貴族から武士の時代へと移り変わる新しい時代の足音を感じさせる像である。

亀山上皇による天皇唯一の開創の禅寺、南禅寺。禅寺五山の「五山之上」という高い格式を持つ。１４６７年の応仁の乱による消失などで荒廃したが、徳川家康の側近で「黒い宰相」といわれた以心崇伝によって再興された。石川五右衛門の「絶景かな」は芝居の話。現存の絶景は、寺室の至る所に残された桃山様式による障壁画の数々。狩野一門の絵師と長谷川等伯が描いた、格調高い美術品の宝庫といえる。また襖絵とともに壮大な伽藍も南禅寺の威容さを誇っている。◆【国宝】南禅寺方丈、亀山天皇宸翰禅林寺御起願文案〔南禅寺〕、渓陰小築図〔金地院〕◆【重要文化財】群仙図、亀山法皇像〔南禅寺〕

日本の女流洋画家の草分け、三岸節子の波瀾に富んだ半生を描く。◆１９０５年（明治３８）愛知県尾西市に生れた三岸節子は洋画家になるため、親の反対を押し切って上京。三岸好太郎と結婚するが苦しい生活が続く。その好太郎も早逝し、１９４５年（昭和２１）に１年半ほど渡仏。つづいて１９６８年（昭和４３）に再びフランスに渡り制作を続ける。１９８９年（平成１）、２１年ぶりに帰国、母国への永住を決める。フランス・ブルゴーニュ地方の寒村ヴェロンでの生活、そして帰国後、神奈川県大磯に落ちつくまでを追う。

クリスマス・イブのオーストラリアで偶然出会った、同じ職場で働く男女の恋を描く。（１９９０年１０月１２日〜１２月２１日放送、全１１回）◆１９８９年１２月２４日、東西銀行のＯＬ・雪子（仙道敦子）と美咲（清水美砂）は、オーストラリアを訪ねていた。一方、同銀行の行員・剛（吉田栄作）も、デザイナー志望のくるみ（松下由樹）と夏のクリスマス・イヴをオーストラリアで迎えているが、「結婚しても働く」というくるみとケンカ別れする。そんな時、旅行先で偶然出会う雪子と剛。２人は交際を始め、１９９０年１０月を迎える。剛からのプロポーズを待ち、剛の今年のイヴの予定を気にする雪子。いらだつ雪子に、剛は「プロポーズは出来ない」と告げるのだった。

実力がものをいう為替ディーラーの世界で男と肩をならべて働き、ストレスは同僚との真夜中のテニスで発散する、そんな女性の男社会での闘いを描くドラマ。（１９９０年４月３日～５月８日放送、全５回）◆理恵子の独断での取引をきっかけに部内で男女の対立が深まっていた。名目上は親睦、実は決着をつけるために男女対抗のテニス大会が開かれることになる。部長は男たちを集めて活を入れ、日ごろからテニスクラブでプレイしている理恵子たちも練習に励む。