東京都葛飾区の東のはずれ、江戸川区を挟んで千葉県と接している所に、映画ですっかり有名になった柴又帝釈天がある。正式には、日蓮宗の帝釈天・題経寺という。帝釈天が病魔や天災から守ってくれるというので庶民信仰でにぎわうが、帝釈堂外壁にびっしり彫られた法華経説話彫刻は細工といい工芸感覚といい大正末期から昭和初期に生き残っていた名人芸の結晶といえる。本堂裏の閑静な庭園など、映画ではうかがい知れない寺の実像に迫る。◆題経寺楼門、帝釈堂、本堂、庭園、板本尊（板彫帝釈天像）、七難七福図（円山応挙筆）、群猿遊戯図（横山大観筆）、法華経説話彫刻

歌舞伎では、鏡獅子、連獅子、越後獅子など、獅子物舞踊が華やかな舞台で人気を集めている。「英執着獅子」は能の「石橋」からとった古い舞踊で、蝶と戯れる獅子頭を自在に操り、恋に悩む女心を表現している。遊女・傾城、のちに獅子の精を演じる高濱流光妙さんが、禿、変じて胡蝶となる二人の踊り手と華麗な舞台を広げる。ゲストの朝倉摂さんは、三味線の稽古を趣味としている。歌舞伎座など邦楽の舞台のデザインも数多く手がけており、写真を見ながら、その苦心談を聞く。◆舞踊　長唄「英執着獅子」

１９８７年６月１日の放送開始以来、６０００回を超えて続く長寿ミニ番組。列車での旅を通して、美しい風景とそこに住む人々の生活を描く。◆今回は、「凱里駅再見おばあちゃん」と題して、中国・凱里・柳州・桂林の道のりを紹介する。

世代交代が進み、在日韓国朝鮮人６９万人の中心を占めるのは、日本で生まれ育った二世とその子どもたち。一世には祖国があったが、二世の祖国はどこなのか。２人の二世の意識と行動をつづり、永住を認められながら日本社会の構成員としては差別されたままに生きる姿と、いまなお日本が抱える戦後処理問題の一部を描く。

我が国では、かぐや姫や因幡の白兎など、月や兎にまつわる伝説や民話が多い。清元の「玉兎」もその一つで、文政３年（１８２０）に江戸・中村座で三代目坂東三津五郎により初演された変化舞踊である。兎と狸に扮した踊り手が、扮装を変えながら“兎の餅つき”、“かちかち山”などの場面を軽妙に舞う。続く長唄「月の巻」は、文政１０年、同じく三代目三津五郎によって江戸・市村座で初演された。マツムシ、コオロギなど虫の名を巧みに盛り込み、秋の情緒をたっぷりと表現している。◆舞踊　清元「玉兎」、長唄「月の巻」、清元栄三郎【人間国宝】、寶山左衛門【人間国宝】

始末（ケチ）の名人がその方法を客に教える。◆客が１個の梅干で３度の食事をまかなうといえば、「梅干を食べてはいけない。眺めるだけ」と名人。感心した客が始末の極意を尋ねると、名人は客を庭に招き、大きな松の枝にぶら下がるように言った。

曽野綾子の長編犯罪小説「天上の青」のドラマ化。心理サスペンスタッチを基調に、殺人鬼の男と愛を信じられない女が求め合う究極の愛を描いた。（１９９４年１２月１２日～１２月１５日。全４回）◆陽子殺害の事実は発覚していない。捜査の手がいつ迫るとも知れない恐怖の中、富士男はたびたび雪子と会う。会っているときだけ富士男は心の安らぎを得られるのだった。そんな中、雪子は母・孝子（左幸子）と会った帰り偶然弁護士・野上達彦（内藤剛志）と再会する。達彦はかつて雪子の婚約者だったが、妹の智子と三角関係になってしまい、破談になったのだった。一方、富士男は第２の殺人を犯す。さらに雪子の隣に住む主婦瞳（佐倉しおり）が自殺しそうになっているところを助け、彼女と関係を持ち、さらに殺人を重ねる。

青森県には津軽地方と南部地方があり、昔から異なる文化が伝承されている。中でも言葉は、互いに独特の、会話の方言がある。その２つの方言を、それぞれ南部弁を津軽地方へ、津軽弁を南部地方へ、タレントが持っていき、一般の人々へ質問し取材する。◆今回は南部弁の「めどつ」を取り上げる。