鳥取県三朝町の三徳山の中腹、絶壁の岩窟に神業のように建つ御堂がある。修験道の開祖・役行者によって投げいれられたという伝説をもつ、この国宝「投入堂」を国際日本文化研究センター教授の山折哲夫さんが訪れる。◆三徳山は、「天駆ける仙人」といわれる役行者の開山と伝えられる山陰の代表的山岳修験の霊山である。投入堂に至るには、木の根につかまり、岩にしがみつくように登って行かねばならない。日本人の山によせる思いに強い関心をもつ山折さんは、岩の中から生えでたような投入堂を見上げて「この山を宇宙の中心だと思わせるようなものがある」と感嘆する。

ゲストを迎え、身近な材料で簡単にできる料理を紹介してもらう。司会は滝田栄と酒井和歌子。◆この回は、料理番組初登場の片平なぎさが豆腐料理を、大食漢の北村和夫が野沢菜チャーハンを作る。「たまに行くならこんな店」は、熊本のフランス料理店から。

日本は、人形の国といわれるほど古くから数多くの人形が作られてきた。その愛くるしさに人々は心の丈を語りかけてきた。人形の多様さを見せるのは近世に入ってからで、御所人形など様々な形が残っている。徳川・一橋家に伝わる江戸初期の作といわれるひな人形の大そろえが、水戸弘道館で五十数年ぶりに変わらぬ壮麗さで披露された。その映像を中心に人形の歴史を回顧し、もの言わぬ人形に寄せた人間の心の機微を探る。◆【重要文化財】旧弘道館〔茨城県〕◆【その他】木造彩色流鏑馬像〔春日大社〕、木造彩色童子像〔大将軍八神社〕、一橋徳川家雛人形〔茨城県立歴史館〕

近代化の中で消えつつある伝統技能、今も脈々と受け継がれている職人技術を横浜市内各地に訪ね、手作りの工程や職人さんたちへのインタビューを交え、年一番組という地道なペースで記録しているシリーズ。◆横浜で唯一の靴職人をレポーターが訪ね、横浜にちなんだ“赤い靴”の完成までを通し、手づくりの工程やその魅力などを紹介する。

名古屋生まれで８３歳、旺盛な創作活動を続ける杉本健吉画伯が、また新たな大作に挑む姿を追う。◆世界デザイン博覧会のパビリオンに展示される「水と音楽」をテーマとした高さ３．５メートル、横６メートルの大陶壁画を制作する画伯、その構想から完成までのドキュメント。壁画の中心は３体の迦陵頻伽（かりょうびんが）像で、これは極楽に住む鳥で美女の頭をもち美しい声で鳴くという。このまわりにモザイクで樹木を浮かび上がらせ、さらに陶製の鳥を数羽配する。

交通事故から主人の命を守り、左前足を失った盲導犬サーブの一生を描く。飼い主の盲人夫婦の夫婦愛、サーブを育てた幼い姉弟の愛情などを交えた実話をもとにしたドラマ。◆亀沢美也子は郡上八幡でマッサージ治療院を営み、夫の光夫はホテルの客をもむ盲人夫婦。光夫が申請していた盲導犬が盲導犬協会からくることになり、光夫は協会で犬を扱う訓練を受ける。盲導犬サーブを連れて帰った光夫は外出を苦にしなくなった。ところがある日、雨の中を法事に出かけた光夫がトラックにはねられてしまう。

世界各地の習俗・文化を訪ね、クイズ形式で紹介するエンターテイメント番組。司会は愛川欽也と楠田枝里子。◆この回は、木の実ナナが海外特集のリポーターとして、香港の話題を届ける。海の守り神である天后の生誕を祝う祭・天后節で賑わう町の様子を伝え、名門ゴルフクラブ・ロイヤル香港でゴルフを楽しむ。また、ショーブラザーズスタジオで映画撮影中のジャッキー・チェンを訪問する。

第二次世界大戦末期、１５～１６才で特別幹部候補生として軍隊に入り、戦後教職についた人たちが、１９８９年ついにすべて定年を迎える。教壇で戦争体験を話してきた世代が教育界を去るにあたって、その思いを伝える。◆１９４１年（昭１６）１２月８日の開戦や、１９４５年８月１５日の終戦話をする先生が少なくなってきた。軍国少年として、国のためにと志願した当時の世相を、体験談に語れる先生が姿を消す。戦争の記憶が風化し、悪夢が繰り返されることがないようにと、教師たちは訴える。◆終戦記念日特別番組