強制労働の実態をあきらかにし、浮島丸事件の調査をおざなりにしてきた国の責任を追求していく。◆日本の戦後責任を求める裁判がまたひとつ起こされた。終戦直後、強制連行された朝鮮人三千人あまりを乗せて青森の下北から釜山へ向かった海軍輸送船「浮島丸」が京都の舞鶴港で突然爆発、沈没した「浮島丸事件」である。日本政府の調査もされぬまま、事件の真相は今も不明なまま。少ない手掛かりから証言を引きだし、事件の実態解明に挑む。◆シリーズ４９年目の夏に（１）

　昼は先生、夜は版画家…。大正から昭和にかけての創作版画の中で異彩を放った川上澄生と栃木県との関係は、横浜生まれの彼が青山学院高等科を卒業後、１９２１年に宇都宮中学の英語教師として赴任したことに始まる。その後、様々な職業を経たが、結局、宇都宮女子高の英語教師に落着き、終生、日曜画家に徹した。代表作、「初夏の風」は絵と詩を融合した色彩豊かな木版画で、棟方志功が版画を志す端緒となったことで知られる。

２１世紀には世界一の経済大国になるといわれ、世界の注目を集める中国。驚異的な経済発展と社会矛盾を同時に抱え、変革の波に洗われる中国全土を取材し、中国社会の深層を描くシリーズ。（１９９４年１０月９日〜１９９５年９月１０日、全１１回）◆改革開放は農村に民工潮と呼ばれる爆発的な出稼ぎブームを巻き起こした。その数は毎年５千万人を超える。農村の少女たちの出稼ぎの旅、都会での工場労働の日々、そして送金を待つ故郷の姿を描きながら、中国の経済成長を支える底流を探った。

歴史を生きたライバル同士がどのような思いを胸にどう行動したかを、今日的な視点から読み解く歴史番組。毎回、現代日本の様々な分野で活躍する２人のゲストが、自分自身の体験と較べながら、歴史の感動と教訓を語っていく。キャスターは三宅民夫アナウンサー。◆第１回「黒船大動乱」。徳川斉昭と井伊直弼を取り上げ、ペリー来航から安政の大獄まで、外交より内政重視という日本政治の原点とも言える５年間を追う。ゲストは評論家・田原総一朗と作家・三好徹。

１９９４年９月、２９０万人以上の入場者数を記録し、大成功のうちに閉幕した世界リゾート博。開催期間の７２日間を中心に、開催までの足跡をまじえて博覧会全体を振り返りながら、この博覧会が和歌山県にもたらしたもの、今後のリゾート立県のありかたなどを捉える。

風通しのよいサラッとした肌触り、かつて沖縄では誰もが身につけた芭蕉布を、民俗学者・柳宗悦は「今時こんな美しい布はめったにない、本物だ」と驚嘆した。現在、芭蕉布は大宜味村喜如嘉だけで作られている。その核となって芭蕉布一筋に取り組んでいるのが、平良敏子さん。番組では糸芭蕉作りから仕上げまで、「芭蕉布の里」喜如嘉での沖縄の風土が生み出した布作りの過程を描きつつ、「糸との対話５０年」という平良さんの芭蕉布への情熱と努力の足跡を紹介する。

関西在住の京舞、上方舞の名手たちによる舞三題を鑑賞する。日本の伝統芸能は、人形浄瑠璃、歌舞伎の世界から、さらに多岐に分かれて発展してきた。京舞、上方舞は、抑制された身体の動きで人間の感情表現を極限にまで追求している。ゲストの大西昭男さんは、京舞には日本の誇る“能”の伝統が見事に生かされており、しかも、能、歌舞伎と共存し、横並びに裾野を広げ、発展してきていることが素晴らしく、日本人の趣味、教養の世界を深めることに繋がっていると語る。◆京舞「葵の上」、上方舞「忘れ唱歌」、舞「忍ぶ夜」

「優秀」といわれる日本の官僚は、いつどのように権力を握り、どのような役割を果たしているのか。また国際的にはどう評価されているのか。３夜連続で、政治の舞台裏にくりひろげられる官僚たちの物語に光を当て、検証する。◆第２回は日本官僚体制の最高傑作といわれる通産省中心の産業政策をみる。戦後の産業政策を巧みにデザインした通産省と、その影響力を研究し、日米半導体交渉で「数値目標」を戦術として打ち出したアメリカ。両者の息詰まる攻防を探り、官僚と産業徒の関係を考える。