ほぼ半世紀にわたり、奈良、大和路を歩き廻り、折々の風土を撮り続けた写真家、入江泰吉の作品を集めた写真美術館が奈良市にある。彼の作品は、同じく古都の寺社、仏像を撮った土門拳の“動”に対し、柔らかく繊細に、歴史と伝説に富む風土を写し撮った“静”の写真とされる。自ら写真を撮影し、音楽と映像の融合を試みているという音楽家の溝口肇さんが、チェロの演奏に託して、入江の作品の叙情を伝える。

１９９６年春、５５歳の生涯を終えたチェロ奏者・徳永兼一郎。ＮＨＫ交響楽団首席奏者として観客を魅了しつづけた彼がガンに侵され、人生の残り時間を知らされたのは２年前だった。死の２か月前に、入院先のホスピスの小さな集会場で開かれた最期のコンサートのビデオを軸に、ひとりのチェリストの人生最期の時間を描く。

四国各地のさまざまな祭りを紹介するシリーズ。（１９９６年４月２７日放送開始）◆藩政時代に狼煙場があったと言われる竹ヶ島。国常立命を祀る竹ヶ島神社は、昔から近郷近在の漁師達に厚く深厚されてきた。また祭礼は小さな島に似合わず盛大なものである。祭りの当日は、主役を務める若者１２人が神社に集まり、ご神体が神輿に移される。クライマックスは、神社の石段を一気に神輿が駆け下る。そして、人々の間を練り歩き海に飛び込み、２−３度神輿を海に沈めていく。

四国各地のさまざまな祭りを紹介するシリーズ。（１９９６年４月２７日放送開始）◆約３００年の伝統を誇るといわれるが、最盛期は幕末から明治初期と思われる。主として秋祭りの奉納芝居として行われ島全体で２０余あったといわれている。番組では、衣装合わせ、メーキャップ、リハーサルなどの準備段階や一体化した舞台と客席などを取材。中山、肥土山、内海など、併せて百名程の芝居のできる人達は香川県の無形民俗文化財に指定されている。

紀伊半島を南北に流れる十津川。その渓谷沿いに涌き出る名湯を紹介。漫画家の河村立司さんが軽妙なタッチで湯けむりに集う人たちを描く。

日本最高のサクセスストーリーを生きた男、豊臣秀吉の生涯を明るくエネルギッシュに描く。ＮＨＫ大河ドラマ第３５作の総集編。原作：堺屋太一。（全４回）◆最終回「夢のまた夢」。中国大返しのあと、光秀（村上弘明）を討ち、柴田勝家を倒した秀吉（竹中直人）は天下人となった。一方、茶々が秀吉の側室になり豊臣家に波紋が。弟・秀長（高嶋政伸）が病に倒れ、千利休は切腹、母・なかも死に、おね（沢口靖子）が残る。

都会の暮らしに疲れた主婦と、たまたま同行することになった男との故郷への旅。そして母との再会を通して、人間が生きていくことの喜び、そして悲しみを描く。◆麻美は母・久代が一人で暮らす実家に向かうため、鳥取行きの深夜バスに乗った。４年半前、麻美は母を振り切って男と東京に出てきたのだが、男は愛人を作って麻美のもとを去っていった。同じバスには、認知症を患う妻に介護を拒まれて悩む一人旅の男・木崎もいた。バスは満席だったが、どうしても乗せてほしいという客が現れ、席を譲って欲しいという。木崎と麻美が名乗り出るが、結局、木崎が降りた。翌日、列車で鳥取へ行くことにした木崎は、駅で麻美と再会。麻美も途中でバスを降りていたのだ。２人は自然に言葉を交わすようになる。

全国のユニークなミニ博物館の展示物を、わかりやすくおもしろく紹介しながら、博物館を生んだ「風土」「産業」「人物」などを交えて構成する。◆「日本独楽博物館」は民家の１階に造られた素朴な博物館。展示されているコマは凡そ３０００点。館長・藤田さんが２０年以上かけて集めたコマで、他にも１万個以上並べきれないコマがある。藤田さんは平成元年にこの博物館を造った。