大正初め、東北の小さな村での出来事。赤ん坊のとき吹雪で両親を失った娘ユキは、村一番の富豪に望まれ１６歳のときに嫁入りする。嫁入り行列は猛烈な吹雪に阻まれとある農家に避難するが雪はいくら待っても降り止まない。厳しい自然の中で運命にもてあそばれながらも強く生きる女を描く。

平家物語から題材をとった作品で、熊谷直実の悲劇の見どころを市村羽左衛門に聞く。◆熊谷直実は義経の心を酌んでわが子を討って敦盛を助けるが、無常を悟って出家する。フィクションと推理劇の面白さの中に人間性を見出して、江戸の観客は大いに共感したのであろう。◆副音声は英語

室町時代に既に上演されていたものを、和泉流の演出で、狂言の面白さを見せるスケールの大きな作品となった。◆中国へ渡った日本の相撲取りが中国の皇帝の前で臣下の者を次々と負かし、果ては皇帝まで投げて意気揚々と引き揚げる。準新作能といえる作品で、アクロバットや欄干に上がる演技は客に驚きを与えるが、実は温故知新で、昔からあったものといわれ、狂言の懐の深さを如実に示している。◆副音声は英語

吉野ケ里遺跡が巨大な環濠集落であった様子が明らかになってきた。『魏誌倭人伝』に書かれている「宮処」、「楼観（物見櫓）」、「城柵」、「邸閣」などと、実際の遺跡とを照らし合わせながら、弥生時代にすでに現在の郡単位の「クニ」が成立していたことを紹介する。講師は佐賀県文化財課長の高島忠平氏。

近代日本文学の名作を、当代一流の顔触れでテレビドラマ化するシリーズ。この回は夏目漱石の「こころ」を、大山勝美の演出で描く。月曜特集・特別企画。◆明治最後の夏、大学で哲学を学ぶ“私”は鎌倉の海岸で“先生”に出会う。東京で学問に没頭し、妻と二人でひっそりと暮らす先生に惹かれた私は、足繁く家を訪ねるようになる。先生の過去に興味を示すと、「時期がきたら話す」と約束してくれた。やがて父の病気で帰省した私のところへ、先生から分厚い手紙が届く。それは先生の過去がつづられた遺書だった。

大家の知人が訪ねてきた。お供の男が大酒飲みだと聞き、大家はその男と「五升の酒が飲めるかどうか」賭けをすることに。男は、酒を飲む前に「ちょっと外へ出てくる」と言って出ていった。

ユネスコの世界自然遺産に登録された白神山地の四季を描くシリーズ。ＲＡＢ青森放送４０周年記念企画。（１９９３年５月２９日～１９９４年１月９日放送、全４回）◆最終回「森は人々と共に」。ブナの森の自然の豊かさを伝えると共に、今も核心部ぎりぎりまで伐採が行われている現状の深刻さを伝える。また、昔から地元民や登山者が入っていた森であるにもかかわらず、世界遺産となった途端に「入山規制」論が出てきたことの奇妙さを描き、机上の自然保護論でなく血の通った森と人間の共生を訴える。

広島県出身で日本人初の金メダリスト・織田幹雄の半生にスポットを当てる。◆オリンピック・パリ大会で三段跳び６位入賞を果たした織田幹雄（辰巳琢郎）は、そのとき知りあったアメリカ人選手・ニューフェルドとアムステルダム大会で再会し、米選手団団長のダグラス・マッカーサーを紹介された。大会では三段跳びで金メダルを獲得。帰国後は新聞記者や陸上の監督として活躍するが、やがて織田の上にも戦争の暗雲がたれこめる。そして敗戦、厚木飛行場に降り立った連合軍最高司令官はあのマッカーサーだった。