曽野綾子の長編犯罪小説「天上の青」のドラマ化。心理サスペンスタッチを基調に、殺人鬼の男と愛を信じられない女が求め合う究極の愛を描いた。（１９９４年１２月１２日～１２月１５日。全４回）◆雪子の誕生日に富士男はついに遺体遺棄現場を自供する。そして、事件発覚から半年、判決の日が近づいていた。第一審での死刑判決は確定だった。富士男の弁護を引き受けながらも達彦は、なぜ雪子がこんなにも富士男にかかわろうとするのかわからないでいた。そして予想どおり、死刑の判決が下る。控訴の手続きを進めようとする達彦に富士男は雪子へのメッセージを託す。「おれを愛しているか。もし、愛してくれているなら、控訴はしない」と。富士男はこうすることで雪子への思いに決着をつけようとしたのだった。その真意を知った雪子は…。

平安末期、東大寺に匹敵する大伽藍と興福寺を上まわる敷地を有していた西大寺。“藤原仲麻呂の変”をはさんで二度皇位に着いた称徳天皇は僧・道鏡を寵愛し、勅願によって西大寺を建立した。しかし天皇の死後道鏡は失脚、西大寺は衰退していく。これを復興したのが鎌倉時代の名僧・叡尊である。戒律を重んじ、上流階級に背を向けて庶民を救済、仏法を説いた。民衆の支持を得て、西大寺はよみがえる。創建と再興の二つの時代を寺宝や行事などから紹介、同時に復興をはたした叡尊の精神を探る。◆【国宝】金光明最勝王経（西大寺）、金銅宝塔（西大寺）、十一面千手千眼観音菩薩坐像（葛井寺）【重要文化財】興正菩薩叡尊坐像、大神宮御正体厨子、文殊菩薩騎獅像

四大伝染病といわれるペスト菌の発見者・北里柴三郎の人生と、彼を信じ支えた妻を描く。ＴＫＵドキュメンタリードラマ。◆熊本県北部、大分県と県境を接する小国町生まれの北里柴三郎（勝野洋）は、“小国人気質”ともいうべき一直線に初心を貫く生き方を選択した。貧しさゆえに伝染病に倒れていく明治の日本人を救うため、また未来の子孫のために日本初の私立伝染病研究所を設立。世界の医学界を驚嘆させる数々の偉大な発見を成し遂げ、優秀な門下生を輩出した。

東海道沿いにはかつて柏餅、わらび餅、安倍川餅、十団子、うなぎなど数多くの名物があった。その中でも静岡にはお餅のたぐいの名物が多い。白須賀の勝和餅（かしわ餅）、藤枝の染飯、富士川の栗の子餅を紹介しながら、なぜお餅が街道の名物となったのかを探る。

１７０７年（宝永４）、富士山は大爆発を起こして中腹付近に山ができた。いわゆる宝永の大噴火、そして宝永山である。この噴火で撒き散らされた火山灰は１００キロ離れた江戸へも降ったほどで、周辺の集落は大被害を受けた。御殿場市の滝口家に残された噴火の様子を描いた絵など当時の史料や、郷土史家のインタビューをまじえながら、富士山周辺に暮らす人々の「火の富士」への思いを描く。

明けても暮れてもぼんやりしている年頃の息子。心配した親が息子の友人に頼んで理由を聞き出してみると、ある茶屋で見初めた娘がいるが名も居場所もわからない、手掛かりは崇徳院の歌の“上の句”だけと言う。親はその友人に何とか探してくれと頼む。一方、娘のほうも恋煩い。同じように心配した親が手代を遣い、崇徳院の歌を手掛かりに探していた。

大津絵は絵画の中でも民画と呼ばれ、時代の権力者に重用された狩野派や琳派などとは違う民衆の間から生まれた絵画である。江戸時代、東海道をはじめ多くの街道が集中した宿場町・滋賀県大津の追分で生まれ、江戸時代に旅人の土産物として全国に普及した。豊かな表情、単純な線と色、痛烈な人間心理の風刺、ユーモラスな表現で理不尽な世の中を笑い飛ばす。職人が描き庶民が支持した健康な大津絵も、明治以後は急速に姿を消す。現代の大津絵絵師や大津絵を愛する人の証言から、大津絵の魅力に迫る。◆【重要文化財】園城寺宸殿【その他】江戸仕入大津土産（喜多川歌麿画）◆大津絵・鬼の念仏、瓢箪なまず、青面金剛、猫と鼠の酒盛

全く違う価値観を持っていた頼朝と政子の夫婦関係に、源氏政権短命の理由を探る。ゲストは東郷隆とイーデス・ハンソン。キャスターは三宅民夫。◆平家に敗れた源氏の復興を成し遂げた源頼朝。一介の流人であった彼を支え、武家政権確立を成し遂げさせたのは、妻の北条政子である。しかし２人の関係は新婚時代を除くと、常に浮気な夫を責める妻という厳しいものだった。その理由は２人の結婚に対する価値観の違いにある。都の公達として生まれ育った頼朝にとって浮気は当然のこと。一方の政子は、一夫一婦が常識の東国豪族の出身。２人の夫婦げんかは周囲の武士たちを巻き込み、やがて源氏に対する人望を失わせていく。