１８世紀における卓越した日本の探検家とシーボルトに賞賛された、山形県出身の最上徳内。彼が半生を捧げた北海道から千島・樺太探検の足跡を東北学院大学の榎森進教授とたどり、その業績を描く。◆蝦夷地探検を命じられた徳内は国後・択捉、南島、樺太まで足をのばし１８９８年には択捉島に「大日本恵土呂府」という標柱を建て、択捉島は日本の領土であることを示した。彼は北方領土に関する詳しい情報をもたらし、蝦夷地の開発が急務であることを幕府に説き、北方における明確な政治意志の確立に努めた。

訳ありの美女と老プレイボーイ、そして女にふられてばかりの青年。三人の不思議な北海道縦断ドライブを描く。◆７０歳の邦之助（三國連太郎）は、札幌のいきつけの飲み屋で初対面の弓子（樋口可南子）に財布泥棒の疑いをかけられる。邦之助は身に覚えのないことだが、弓子は稚内行きの航空券も盗まれたとすごい剣幕。もう一人の常連客、ふられ男の哲夫（中本賢）が美人の弓子に目をつけ、稚内まで車で送ると申し出る。となれば自他ともに認める現役プレイボーイの邦之助も引き下がる訳にいかない。三人の旅が始まる。

放送当時、唯一の人間国宝指定能楽師であった宝生流シテ方の松本恵雄（しげお）の芸談と舞台を鑑賞する。１９１５年（大正４）に当時、野口兼資と並んで宝生流の双璧といわれた松本長（ながし）の次男に生まれ、宝生九郎、野口兼資に師事、５０才を過ぎて芸術選奨新人賞、芸術祭大賞などを受賞し、平成３（１９９１）年度の人間国宝に指定された。渡辺保は、現代能楽師の名人の一人として、人間ドラマとしての能を気迫をもって表現する演技力を高く評価。能「綾鼓」と仕舞「実盛」を観る。

１９９４年にアジアで初めてのエイズ国際会議が横浜で開催されるのを機に、多くの幼児エイズ患者を抱えて苦しむルーマニア、多くの偏見と差別にさらされている日本の医療現場の実情を伝えながら問題点を明らかにする４夜連続シリーズ。◆第１回は、２年間にわたってルーマニアのエイズ問題を取材・記録した映像とレポートを通して、その実情と背景を探る。ルーマニアのエイズ感染者の９５パーセントは子どもで、チャウシェスク政権の後遺症の一つ。食料のない同国で代わりに与えた輸入血液から広まっていった。

１９８７年６月１日の放送開始以来、６０００回を超えて続く長寿ミニ番組。列車での旅を通して、美しい風景とそこに住む人々の生活を描く。◆今回は「ロシア号入線」と題して、ロシア・シベリア鉄道（ウラジオストク・ハバロフスク）を紹介する。

笠間は関東地方北部の盆地。江戸中期から続く笠間焼の焼物としての特色よりも、新しい表現を追い求める陶芸家たちが各地から集まり、自由に個性的な作陶に打ち込む「焼物の里」として有名である。笠間の陶芸家は現在、全員初代という。荒田耕治、伊藤東彦、酒井芳樹。番組では３人の作家にスポットを当て、その創作活動を通して伝統的な日本の焼物の世界に現代陶芸の新しい風が吹き込まれる姿を紹介する。

都市銀行の合併劇を背景に、実年世代の銀行マンが己のサバイバルにしのぎを削る姿を描く。（１９９４年１月１５日～１月２９日放送、全３回）◆都銀８位の三洋銀行名古屋栄町支店長の長谷部敏正は部下が持ち帰ってくる支店閉鎖のうわさを不審に思い、同期の本店総務企画部長の石倉克巳に相談する。石倉は頭取の杉本より富桑銀行との合併を極秘で命じられていた。石倉は大蔵省とのパイプを強めるべく部下の神谷真知子を女性初の大蔵省担当に抜てきする。そんな折り、長谷部のもとに同期の一人、西巻の死の知らせが届く。

小澤征爾は１９３５年（昭和１０）、中国の瀋陽（旧満州・奉天）で生まれた。札幌市と瀋陽市が姉妹都市１５周年を迎えるのをきっかけに、小澤が長年抱いていた「生まれ故郷を一度訪れ、地元のオーケストラを指揮したい」という夢が実現することになった。しかし、小澤の超過密スケジュールの中で空けられるのは、わずかに４日間しかなかった。遼寧交響楽団は文化大革命の嵐の中で、音楽の基礎教育を受けられずに育った団員ばかりのオーケストラである。故郷の楽団という思い入れがあるにせよ、小澤の夢は演奏会で実を結べるのだろうか。リハーサルから演奏会までの４日間を密着取材する過程で、世界の一流オーケストラを振るいつもの小澤とは違う、遼寧交響楽団のレベルまで下りて団員を叱咤激励しながら音楽作りに悪戦苦闘する姿を描く。