九州・宮崎の「堀切峠」は「山桜」の名所、春の彼岸を待たずに満開となる。３月中旬、ソメイヨシノはまだ蕾が膨らみ始めたばかりだが、堀切峠は、山桜が淡い紅色の清楚な花とともに赤い若葉を伸ばし、山は静かに春の色に染まりはじめている。昭和１０年代、地元宮崎の実業家が「桜で大地に絵を描く」という壮大な構想のもとに山桜を増やしはじめた。今では、１万本の山桜が道路沿いに２キロも続いている。

南三陸沿岸は黒潮と親潮がぶつかり合う海の幸の宝庫。大謀網漁と呼ぶ伝統漁では、共同作業の掟と知恵が生きている。◆“浜の大きな謀りごと”が名の由来である。２５人の漁師が３隻の船で魚をコの字に囲んで網に追い込む。「大謀」は漁の責任者で、その指揮いかんで漁の成否が決まる。昔は稲わらで網を作るなど稲作と深く結び付いたこの漁も遠洋漁業の隆盛で様変わりをしたが、浜の暮らしは変わることなく続いている。◆大谷の大謀網漁〔宮城県〕

新潟の造り酒屋を舞台に、大正から昭和へ、強い意志を持って自分の人生を切りひらく盲目の少女・烈と、彼女を支える叔母・佐穂の姿を描く。原作：宮尾登美子。（１９９５年６月４日～７月９日放送、全６回）◆妻・賀穂の死から立ち直った意造は、料亭の見習い伎・せきを後妻に迎えようとし、賀穂の妹・佐穂をすすめる母・むらと対立する。賀穂の遺言も佐穂をというもので、烈も佐穂になついていた。しかし意造の意志は固く、失意の佐穂は田乃内家を出る。烈は佐穂を追って家を飛び出し、むらは寝込む。

身体の不自由という不幸を信仰と詩作によって乗り越えた詩人・水野源三の生涯を、ゆかりの人々の証言でたどる。また彼の生き方と作品に大きな影響を受けた人たちを通して、心の扉を叩き続ける詩の魅力に迫る。◆水野は１９３７年（昭和１２）、千曲川のほとり長野県坂城町に生まれた。腕白で元気な少年だったが、終戦直後９歳の夏に赤痢にかかり、高熱による脳性マヒとなって首から下の体の自由と会話能力を失った。深い絶望の淵から彼を救ったのは、キリスト教への信仰と詩歌であった。母の助けを借りて瞬きの合図で詩作を続ける彼の生活空間は自宅の六畳間に限られていたが、その世界を広げ、支えたのは家族の愛情だった。

レポーターが山形県内各地の見どころを探訪するシリーズ。◆童話作家・浜田廣介をイメージした変わった建物の高畠駅は、太陽館・総合コミュニティセンターを併設している。駅の中に温泉設備があり、１０時を過ぎると地元の人々が三々五々やってくる。この近辺からはたくさんの縄文遺跡が出土し、うきたむ風土記の丘考古資料館には木の実を使った「縄文クッキー」と呼ばれる炭化した食物が展示されている。誰でも一度は聞いたと思われる童話「泣いた赤おに」で有名な浜田廣介の記念館も紹介する。

熊本県内各地で行なわれている祭りを紹介するシリーズ（１９９５年４月２日～１９９７年３月３０日終了、全１０１回）。「肥後シリーズ」は１９８６年日本民間放送連盟賞（放送活動部門）受賞。◆年間漁獲高三万トンと、九州でも屈指の水揚げを誇る牛深港。大漁の日には祝宴を張り、しけの日には、「間直し」といってやはり酒を酌み交わす…。そして最後に決まって歌われるのが、牛深ハイヤ節。海とともに暮らす牛深の人々が、毎年心待ちにしているのが牛深ハイヤ祭り。

長崎県五島列島で五島うどんの「トラヤ製麺」を営む犬塚虎夫さん一家は、子供７人の９人家族。恵まれた自然環境の中で助け合いながら暮らしていく一家の生活を２年にわたって追い、家族のあり方、教育のあり方を考える。◆１９歳の長男、高２の長女、高１の次女、小６の三女、小４の四女、小１の次男、３歳の三男。子どもたちは学校へ行く前、朝５時に起きて五島特産「手延うどん」造りの手伝いをする。手伝った分は年齢に応じた給料がでてお小遣いとなる。学校での勉強だけでなく、家業の手伝いなど様々な経験が子供たちの将来に役立つと虎夫さんは考えている。

１９８７年６月１日の放送開始以来、６０００回を超えて続く長寿ミニ番組。列車での旅を通して、美しい風景とそこに住む人々の生活を描く。◆今回は「カルチョ天国」と題して、イタリア・ヴェネツィア・フィレンツェ・ラッダ・イン・キャンティの道のりを紹介する。