神戸市立湊小学校２年２組担任の鹿島和夫先生は６０歳。“ダックス先生”というのは、胴長短足の鹿島先生の体型を見て、子どもたちがつけたあだ名だ。先生は小学校の１、２年生に「せんせいあのね」と語りかけるユニークな作文教育を長く続けてきた。◆鹿島先生の教師生活最後の年に、阪神・淡路大震災が起こった。子どもたちの作文からは、様々な形で日常に影を落とす被災の実態が伺える。自らも被災した先生は、子どもたちの心の傷に細やかな気を配りながら、学校生活の中で癒されていくことを願っている。◆震災から半年。夏休みに鹿島先生は、受け持ちの児童やかつての教え子たちの家を訪ねて回った。みんなの震災体験を聞き、励ましを与えていく先生。番組は、震災を克服しようとする人々の姿を自然体で捉える。

骨髄移植で白血病を克服し、再発の不安を抱えながらも社会復帰した女性の闘病生活を通して、骨髄移植の現状を伝える。◆骨髄移植推進財団は、これまで４百件の移植で成功率６割の実績を上げている。白血病治療の最後の決め手、骨髄移植には患者とドナーの白血球の型が一致することが必須条件。しかし型が一致する確率は肉親でも高くはない。型の合うドナーがいなければ移植は受けられないのだ。

清和源氏の流れを汲み、十代二百三十年のあいだ続いた武家の名門・今川氏。しかしその姿は徳川三百年の下に埋もれてしまっている。戦乱が渦巻いた時代に長く栄えた今川一族の謎を探る。（１０月８日〜１２月２４日放送、全１２回）◆昭和５７年、駿府城二の丸発掘調査の際、江戸時代の地層の下から今川時代の遺物が出土した。しかし館の遺構は特定されなかった。朝倉氏の一条谷朝倉館は同氏滅亡後に谷に住み続けるものがなかったため４００年間水田の下で眠っており、発掘調査で町並みを復元することができた。それを参考に、今川氏の町づくりを推理する。

チベット高原から流れ出し南シナ海に注ぐメコン川。全長４０００キロに及ぶ大河を、人々は「母なる川」と呼ぶ。番組では、冷戦が終わり新しい時代が到来しつつあるこの川を、中国の雲南省から河口の大デルタ地帯まで訪問。その流域の素顔を２回シリーズで紹介する。◆後編。メコン川を下りながら流域の人々の暮らしを描くシリーズの後編。ラオスの首都ビエンチャンから今なお緊張の続くカンボジアを経て、ドイモイ（開放）政策で活気づくベトナムのメコンデルタを旅する。

岡山県の最北端、上齋原村の旧家・藤木家の正月の風習と料理を主題に、この地方の典型的な冬の生活を逐一記録した。代々伝わる暮れから正月にかけての家庭の伝承行事を忠実に受け継いだ、端正で由緒ある生活ぶりがうかがえる。◆笹ぼうきで家中を清め、年神様を床に飾り、保存食材を駆使して正月の準備をする。そして神様と同じ食べ物で正月ひと月を過ごす。「百日雪の下」といわれる雪深い山村に、ゆかしい風習が連綿と続く。◆上齋原村の正月料理、切り初め、縫い初め、送り正月〔岡山県〕

地球上に生命が誕生してから４０億年の進化を辿りながら、生まれては死んでいく生命がさまざまな形で紡いできたドラマをロマン豊かに描くシリーズ。（１９９４年４月２４日〜１９９５年３月１９日放送、全１０回）◆第８集。なぜヒトはアフリカ大陸から出現しているのだろうか。そのカギを握っているのが、大地溝帯と呼ばれる大地の裂け目だと考えられる。地球環境の変容で森を失ったサルが、草原に出たことがヒトへの道につながっていく。大自然の中でのヒトへの進化を探る。

大震災による阪神・淡路地方の被害を教訓に、見直しや強化が進められている横浜市の防災対策を紹介する番組。◆１９９５年１月、阪神・淡路大震災は戦後はじめての大都市災害として甚大な被害をもたらした。横浜市は被災地の救援活動に携わる一方で、市における直下型地震被害想定を見直し、防災対策の強化を図ることとなる。救援活動のボランティアとして大震災の被災地を見てきた人たちや、様々な立場で防災に関わる人々へのインタビューを交えながら、大震災に備える横浜の姿を伝える。

『道成寺』クライマックスの鐘入りを、各流派の演技を比べながら鑑賞する。◆能楽師の卒業試験ともいわれる『道成寺』。その中でも見どころは「乱拍子」と「鐘入り」であるが、能楽五流それぞれでやり方が違うところを実際に見る。◆鐘後見の長田驍は、「シテが鐘に飛び上がるのと鐘が降りる０．７秒の間を外さない為には、両者の心がつながることが秘けつ」と話す。◆「道成寺」鐘入り場面金春流本田光洋、観世流観世銕之丞、宝生流田崎隆三、金剛流金剛永謹、喜多流中村邦生。◆副音声は英語