王朝貴族が、願い求める極楽浄土をこの世に創造しようとした浄土庭園。その極致ともいえる平等院と浄瑠璃寺の池庭の配置に浄土への思いをさぐる。西方、十万億土の彼方にあると信じられた極楽浄土の具象として、どちらの寺も西に来迎仏である阿弥陀仏のお堂を設けている。浄瑠璃寺では９体の阿弥陀仏を東面させ、東には薬師如来をまつっている。日本庭園の演ずる視覚的ドラマ。◆放送番組センター協賛番組

昭和半世紀の節目にちなみ、５０年間の記録フィルムと関係者の証言で時代を分析し、昭和を動かしたものは何かを考える。（１９７５年４月６日～１９７５年１２月２８日放送、全３９回）◆この回のテーマは特別高等警察。レポーターは小中陽太郎。

瞽女（ごぜ）とは三味線を弾き、歌を歌う盲目の旅芸人。先頭の道案内の背中に指三本をかけ、鎖のように連なって歩き、旅をする。瞽女は行く先々で「ごめんなんしょ」と言いながら家々を訪ね、その玄関先で芸を披露し、お金やお米をもらう、いわゆる門付をして周る。瞽女の歴史は古く、徳川時代初期から続き、東海道五十三次の風景版画にも瞽女の旅する姿が描かれている。昭和の始め、長岡にある瞽女小路には３００人もの瞽女がいた。しかし、終戦の頃には１５０人と半減し、今では旅をする瞽女は新潟でもたった３人だけとなってしまった。そんな瞽女の旅路を追った。◆放送番組センター協賛番組

１９７４年（昭４９）１２月１８日夜の重油流出事故発生から漁業被害の実態までを克明に追うドキュメンタリー。◆補償金をめぐる漁民の意識の変化。何度も開かれる組合長会議。息子に「海を守れ」と言う組合長の父親。さまざまな思惑が交錯する中で、総額１４６億８千５百万円を三菱石油が被害を受けた漁民に支払うことで、補償交渉は解決した。しかし、女木島の海底でのアサリの大量死など、物言わぬ海の生物は汚染されたまま死んだ。

昭和半世紀の節目にちなみ、５０年間の記録フィルムと関係者の証言で時代を分析し、昭和を動かしたものは何かを考える。（１９７５年４月６日～１９７５年１２月２８日放送、全３９回）◆この回のテーマは、大戦中に開発された航空特攻兵器「櫻花（桜花）」。レポーターは穂高稔。

人類の遺産は自然により、あるいは戦いによって各地で破壊されてきた。これを修復して後世に残そうとする努力を紹介する。◆文化財に手を加えようとすると、修復・復元・改変といずれにせよ原形にはなり得ない。そこに、手を加えることの哲学が生まれる。パリの『ノートルダム寺院』の場合は推定復元ということで、正確さよりも精神が求められた。修復を現代に行うことの可否も含めて考えることが、後世に伝える我々の責任である。◆シャリ・ゴルゴーラ〔アフガニスタン〕、ハトシェプスト女王の葬祭殿〔エジプト〕、ポンペイ遺跡〔イタリア〕、ラスコーの洞窟画廊〔フランス〕、ノートルダム寺院、王家の谷〔エジプト〕

　「科学の目」を持って世界を紹介する、科学ドキュメンタリー番組。（１９７５年４月６日～１９８６年１２月２８日）◆明治時代の日本で最も劇的な出来事である日本海海戦を通して、明治の日本人を表現する。日本海海戦に参加し、当時生存していた１３名のうち９名を取材した

祭りのウラに生きる露天商人、いわゆるテキヤの実態を、九州各地の季節の中に克明に取材した番組。九州を支配する大親分や、ウダツのあがらないテキヤ、あるいは口上売りで一家をなすテキヤなど、厳しい稼業に生きる人々の哀歓を描く。