北緯４０°秋田内陸リゾートカップ１００キロチャレンジマラソンは、秋田県角館町から標高５６０メートルの大覚野峠をこえて鷹巣町に至るコースを走る。この過酷なマラソンに、ガンを患いながら挑む中村正通さんの姿を追う。◆１９９５年で７回目、最多の１０３９人が全国からエントリーした。４０歳代が４割近くを占め、熟年層が多いのが特徴。中村さんは４７歳、２年前に妻をガンで亡くし、自身も入退院を繰り返した。妻の三回忌を終え、その追善供養と人生の再出発を兼ねて参加を決意した。もちろん１００キロ走った経験などない。応援の娘と同級生の声援を背に、綿密な実施計画案を守って完走を果たした。

神奈川には稼働している水族館が大小８つあり、全国でも例を見ないほど水族館の多い県である。日本初の水族館（油壺臨海実験場水族館）跡をはじめ、各水族館を訪ね、その歴史と現状を紹介する。また、水族館の果たしてきた生物学研究に対する影の功績やスタッフの努力も紹介する。

日本音楽の原点のひとつとされる仏教音楽「聲明（しょうみょう）」のリスボンでの海外公演までを、若い世代の僧侶を通して描き、また公演に参加する和太鼓奏者の音の世界を伝える。さらに人間の発する「音」がなぜ心地好いのかを科学的に追求する。◆聲明の歴史は千年以上もさかのぼれ、芸術性は諸外国からも高く評価されている。その海外公演には和太鼓の林英哲氏も参加。日本人の肉体に宿る音を追求し、つねに音と対決してきた林さんは、聲明と和太鼓の音の融合によって新しい「日本の音」の可能性を広げようとする。

南茅部町は昔から続く昆布の町で水揚げ日本一を誇っている。自然を大事にし限られた資源を守りながら、最高の品質の昆布漁を続けている。◆昆布は山が作ると町の人は言う。ブナやナラの落葉の栄養が海へ流れて昆布の森を作ると。１００年先を目指して植樹が続く。江戸時代からマッカと呼ぶ道具を手作りして昆布をいたわる。３人一組の作業にも決まりがある。２カ月の漁期に人々は規律と知恵と腕で勝負をする。◆南茅部の昆布漁〔北海道〕

第二次世界大戦下、日本軍の占領によって“昭南島”と改名されたシンガポールで、博物館や植物園などの文化財を守り抜いた人々がいた。その偉業を振り返りつつも「あの戦争がなかったら、誰も、何も、守る必要はなかった」という言葉を噛みしめる。戦後５０年特別企画。◆１９４２年（昭和１７）“昭南島”とされたシンガポール。直後に華僑の大虐殺や搾取が始まり、日本軍の圧政の傷が深く残る。その殺戮と破壊の中、植物園の園長だったイギリス人コーナー氏は、捕虜収容所への摘発をくぐり抜けながら単身日本軍司令部に乗り込み、文化財の保護を訴える。幸いにも軍政顧問・徳川義親は軍部に屈しない異色の貴族であり、再三の捕虜収容の要請をはね返して研究を守った。

頭は弱いが腕のいい大工。店賃を溜めたので家主に道具箱を持って行かれた。見かねた棟梁が大工に手持ちの金を貸すが、店賃には足りず、道具を返してもらえない。口論しても埒（らち）が開かず、棟梁は奉行所へ訴えを起こす。◆講談の「大岡政談」から作られた噺といわれている。「大工裁き」とも。

日本語の使用が強制されていた植民地時代の朝鮮で、朝鮮語の詩を書き続けてきた尹東柱（ユン・ドンジュ、１９１７〜１９４５）。尹東柱は日本に留学中、独立運動に加わったとして逮捕、獄死。戦後、韓国・北朝鮮で国民的詩人となった尹東柱の詩の世界と、日本統治下に生きた２７年の生を描く。日韓共同制作。

名もない庶民から天下人に上りつめた豊臣秀吉の波瀾の生涯を描く１２時間ワイド時代劇。◆後に豊臣秀吉となる日吉は、尾張国中村の貧しい農家に生まれた。日吉の父・弥右衛門は戦になれば兵として戦場に赴き、日吉に「男たるもの天下を語れないようではいかん」と語るのだった。そんな父が、戦から負傷して帰ってくる。その頃、吉法師（後の織田信長）はうつけ者と呼ばれ、竹千代（後の徳川家康）は人質として不自由な生活を送っていた。