清春白樺美術館は明治から大正、昭和にかけて、文芸や芸術活動に華々しく活躍した白樺派の作家や画家たちの理想とした理念を現代に受け継ぐため、１９８３年、八ケ岳を望む山梨県・清春芸術村の中心に開設された。武者小路自身や岸田劉生などグループの画家たちの作品だけでなく、西洋近代美術を紹介するために彼らが熱心に集めたセザンヌやルオーなどの貴重な作品も展示している。白樺派のその後の影響は限りなく大きい。

かつて横浜はマドロスの街として賑わい、時代の先端を行く文化の発火点だった。しかし、時代の経過につれて港町ならではの個性が薄れ、次第に東京化しつつある。みなとみらい地区の開発構想や、船乗りの消えた横浜港、中華街、ベースの街・本牧などの過去と今を伝え、時とともに変貌する横浜の素顔を描く。

本年７月２７日、将棋の大山康弘十五世名人が逝去。大山名人の一生を貫いたテーマは「勝負は忍」。大山名人の「忍」とは何であったのか、かつて宿命のライバルとして将棋界を二分した升田幸三実力制第四代名人との数々の名勝負を軸に、盤上あるいはがんと闘ってきた勝負師大山康弘が追い求めたものに迫った。

作品の背景は江戸末期の不安や退廃気分、現世中心の思想で、この芝居も心中場面から始まる。◆坊主清心は遊女十六夜におぼれた揚げ句に心中を計る。二人とも生き延びるが清心は泥棒に成り果て、十六夜も清心の女房となって悪事を働くが最期は自害して果てる。河竹黙阿弥は役者・観客・興行の三つに親切な本を書いたといわれるが、得意とした七五調のセリフが世話物によく生きている。◆副音声は英語

金箔の技術は、６世紀の仏教伝来とともに日本に伝えられた。以来日本化され、世界に類を見ない発達向上を遂げた。黄金の国として独自の日本美を築き上げた。◆金箔の大部分を生産する金沢市での詳しい製造工程を追い、１万分の１ミリまで引き延ばす繊細な作業を見る。そして截金や蒔絵などの現代作家の妙技を紹介しながら、日本人だけが切り開いた黄金の技が海外でも高く評価されている事を明かす。◆【国宝】盧舎那仏坐像〔唐招提寺〕、釈迦如来像〔神護寺〕◆【その他】截金作品瑞鳥（西出大三作）〔個人〕、蒔絵喰籠四君子（寺井直次）〔個人〕

各界の著名人の“交遊録”を軸に、出会い、別れ、愛憎など、人と人との深い結びつきを描きだす。（１９９２年４月３日～９３年３月２６日）◆今回は、作家の辻井喬と詩人の大岡信。

白砂青松は、美しい風景の代名詞。それを図案化した「住吉模様」は日本人の心の風景。昔、住吉大社は静かな入り江に臨む海の神だった。◆神功皇后が登場する神話の中に浮かび上がる「住吉の神」の由緒や、西日本に多く点在する住吉神社の広がり、海洋民族の海への憧れの象徴としての「住吉さん」の深奥に迫る。一方、恋の神とも芸能の神ともいわれる多様性もあり、「源氏物語」と住吉の深い関係を、谷崎源氏の流麗な文に乗せて王朝絵巻の世界に散策する。◆【国宝】住吉大社本殿◆【重要文化財】舞楽面〔住吉大社〕、神代記、神功皇后縁起絵巻〔誉田八幡宮〕、住江蒔絵手箱〔輪王寺〕

被差別部落出身者や在日韓国朝鮮人がおよそ２割、授業料免除の適用を受ける貧しい家庭の生徒が三分の一という、大阪府立柴島高等学校。そして同校は「学力の低い不良高校」という評判を過去のものとし、自由と自治と自覚を誇れる学園に立ち直った学校でもある。「一切の差別を許さない」ことを教育方針の第一とした柴島高校の取り組みを伝える。