仏教の誕生から滅亡までの歴史が刻み込まれた石窟遺跡アジャンター。長さ５００メートルに３０の石窟が、岩盤をくり抜いて作られている。◆王侯や商人に支えられ古代インドに平等主義をもたらした新興勢力の仏教は、釈迦の遺骨を納めるストゥーパと共に瞬く間に広まった。やがてヒンズー教にのみ込まれ消滅していく姿を、遺跡は克明に伝えている。

プラド美術館の２階展示室正面にあるベラスケス（１５９９〜１６６０）の『ラス・メニーナス宮廷の侍女たち』は１７世紀の作で、史上最高の絵画と絶賛される。◆ベラスケスは時代を超えてゴヤ・マネ・ピカソなどの画家から、「画家の中の画家」とたたえられている。アンダルシア地方セビリア出身で、スペイン国王フェリーペ四世への忠誠により宮廷画家からナンバー３の宮廷役職に取り立てられる。◆ラス・メニーナス宮廷の侍女たち、ブレダの開城、黒衣のフェリーペ四世像、東方三博士の礼拝、自画像、十字架上のキリスト（ベラスケス作）、三美神（ルーベンス作）

戦後、台湾の蒋介石総統の軍事顧問として台湾国防軍の基礎を築いた旧日本軍人グループ「白団」の実態を、もと白団メンバーの証言をもとに描き、その背景にある米国極東軍事戦略を解明する。◆白団は１００名近い軍人を台湾に送り、大陸反攻をめざす台湾軍部に協力して日本軍式の教練をし、戦術論や戦略論を教え、また日本から軍事情報・軍事資料を送っていた。

中将姫伝説の寺として名高い当麻寺をはじめ、中将姫ゆかりの地を上原まりさんが訪ねる。薄暮の空の下、上原さんの琵琶が愁い深く響き渡る。

青森県域の風土や産業、人々の暮らしなどを記録したドキュメンタリー番組。（１９９２年４月５日～１９９４年３月２７日放送、全３６回）◆長い冬を越して作業を始めた農家の人たちにとって、青森の１０月は待ちに待った収穫の季節である。古くから米どころ・林檎どころといわれてきた津軽地方に対し、県南地方は野菜や果物の宝庫と呼ばれている。青森県南の町々、そこには人それぞれの実りの秋がある。

『源氏物語』から題材を取った長唄・舞踊「葵の上」と箏曲「薄衣」を鑑賞する。◆「葵の上」は、源氏の正妻・葵の上が六条御息所の生霊に責められ殺されるという筋書き。◆「薄衣」は八橋検校の箏曲の１３曲の組歌の一つ。９４歳になる人間国宝・菊原初子さんの唄と箏を中心にした４人の演奏を収録。◆そのあと、人気漫画『あさきゆめみし』の作者・大和和紀さんに『源氏物語』の魅力について話を聞く。

岡山県長船町は、備前長船の名で有名な刀剣のふるさとである。国宝や文化財指定の刀剣の半分は備前刀といわれる。長船町の隣り備前市は、その歴史を平安時代まで遡る備前焼一色の町である。刀の名産地と窯の里は、高い温度で焼き上げる技術などの共通性から土地が一致することが多いという。瀬戸内日生町には、全国２０％の生産を誇る漁網工場がある。漁師から底引網漁の今昔を聞く。旅人は渡辺文雄。◆第１０９１回　◆備前長船博物館南伊部大窯跡（室町時代）藤原敬記念館

　野村美術館は野村証券や大和銀行などの金融財閥を一代にして築きあげた野村徳七（１８７８〜１９４５）のコレクションを基に、１９８３年に京都東山の南禅寺の畔に開設された。徳七は得庵と号して、書画骨董など多方面の趣味を楽しんだ。とりわけ茶の湯と能に深くかかわり、茶器や能面、能衣裳などが収蔵品の主体をなしている。１９１８年に庭師小川治平に造らせた碧雲荘の庭園は、日本趣味を代表する名園として有名である。