「結城三代」とは祖母・母・娘の三代にわたって着ることができる結城紬の丈夫さを示す表現である。結城紬は茨城県結城市、栃木県小山市の農村地帯に奈良時代からの歴史を誇る織物工芸で、その丈夫さに加えて素朴で温かい風合いをもつ。真綿の手紬から製織まで精緻な手仕事による伝統技法は、農閑期の農家の副業として家族の絆の中で育まれてきた。明治時代が最盛期で糸取りの技術者も高齢化して生産量も年々減っているが、色や柄への若者たちの挑戦もあって結城紬ならではの伝統に新しい血が加わっている。

清和源氏の流れを汲み、十代二百三十年のあいだ続いた武家の名門・今川氏。しかしその姿は徳川三百年の下にうずもれてしまっている。戦乱の渦巻く時代に長く栄えた今川一族の謎を追う。（１０月８日〜１２月２４日放送、全１２回）◆今川氏七代氏親の正室であった寿桂尼。京の公卿中御門家から嫁ぎ、八代氏輝と九代義元の母となった。病弱な氏輝を助けて家督争いを収め、義元の死後はその子氏真の時代まで強力な政治力をふるった。死後は今川氏を守るため遺骸を館の鬼門に葬るように遺言するほどの女丈夫であった。

大店のせがれ時次郎は、吉原を知らない堅物息子。ある日、町内の遊び人に浅草観音の裏にある大変はやるお稲荷さんに誘われたと言う。堅物を心配していた大旦那は内心大喜び。早速お籠しておいでと、息子にお賽銭をたっぷり持たせ送り出す。店に入ってから、さすがに息子もここが吉原と気付き帰ろうとするが、酒を飲まされ、花魁も決まって、部屋に送り込まれる。

桧木内川（ひのきないがわ）の堤に桜が咲くのは４月下旬、長い冬が終わり、角館にもようやく春が訪れる。６百本のソメイヨシノが２キロメートルにわたり咲きほこる。角館には、昔の武家屋敷が昔のまま残された一角がある。ここはしだれ桜の名所でもある。佐竹家二代目の夫人が京都からお輿入れの際、桜の苗を３本しのばせてきたのが始まりという。武家屋敷には、樹齢３百年を越えるものをはじめ、４百本以上のしだれ桜があり、これらが一斉に花を咲かせる。角館には、町中を桜で埋めつくす「桜４０万本計画」があり、山林には、およそ１０万本の「紅山桜」が植林された。

６９４年、持統天皇が夫である天武天皇の遺志を継いで建都したのが、日本で最初の都・藤原京である。耳成、畝傍、甘橿の三山に囲まれた地域で発掘が始まって５０年。次第につかめてきた当時の国家体制について考える。

優美な美しさを誇る博多の伝統工芸品、博多人形。そのルーツを探り、名人といわれた故・小島与一氏の功績と傑作「三人舞妓」を紹介。その弟子である西頭哲三郎氏の博多人形作りの情熱とその匠の技に迫る。また、日々進歩する博多人形界において異彩を放つ人形作家中村信喬氏が作る現代的な博多人形も紹介する。

１９８７年６月１日の放送開始以来、６０００回を超えて続く長寿ミニ番組。列車での旅を通して、美しい風景とそこに住む人々の生活を描く。◆今回は「フィレンツェ発」と題して、イタリア・ヴェネツィア・フィレンツェ・ラッダ・イン・キャンティの道のりを紹介する。

全国のユニークなミニ博物館の展示物を、わかりやすくおもしろく紹介しながら、博物館を生んだ「風土」「産業」「人物」などを交えて構成する。◆「雄勝硯伝統産業会館」は６００年の伝統をもち、藩政時代には伊達藩の庇護を受けた雄勝硯の資料館。硯職人たちの技術と硯文化を広く紹介するために、町が建てたもので、開館は、平成２年５月。地元の「雄勝硯」だけでなく、日本各地の硯や中国、韓国の硯等凡そ２５０点が展示されている。