１９４３年１０月、学徒出陣が公布された。学業半ばの身で戦地に赴かなければならない学生たちは、せめて素晴らしい思い出を胸に悔いなく行きたいと「第九」演奏会を開いた。その実話に基づき、実らなかった恋をからめて描くドラマ。戦後５０年特別企画。◆東京帝国大学生・最上陸郎（筒井道隆）は、勤労奉仕で知り合った東京高等音楽学院に通う吉野佐和子（戸田菜穂）と心を通わせるようになる。しかしいつ戦地に駆り出されるか分からない身で恋を語るのは相手を悲しませるだけと戒められる。やがて陸郎も徴兵検査に合格。素晴らしい壮行会を開きたいという思いは、やがて第九の演奏会へとつながっていく。「歓喜よ、すべての人類は汝の優しき翼の下、友達たれ」その詞を歌いあげるためにはまだいくつもの困難があった。

千葉大学教授・服部幸雄さんの解説で、定式幕をはじめいろいろな歌舞伎の舞台機構を紹介する。◆歌舞伎ではいろいろな方法で芝居の楽しさを増す工夫がなされている。幕の使い方、花道の生かし方、せり、回り舞台など、１つの空間を上に下に奥行きにとすべて利用することで時間や空間を自由に作り出しているのである。◆副音声は英語

文楽の舞台の仕掛けを見た後、吉田簑助が人形の衣装や首、手足について説明する。◆山川静雄さんは、初めて文楽に接する人にも良く分かるように舞台・語り・首・人形の遣い方などについて説明する。◆３人が一緒になって遣う人形の感情表現や動きのデリケートさ、太夫・三味線・人形の一体感など、総合芸術の名にふさわしい文楽の鑑賞、開幕である。◆「壇浦兜軍記」阿古屋琴責の段人形吉田文雀（重要無形文化財保持者）、吉田和生。◆副音声は英語

日本文学の名作を当代一流の演出家が競作するシリーズ。この回は２時間枠で織田作之助の「夫婦善哉」を久世光彦が演出する。月曜特集・特別企画。◆大阪・北の新地の売れっ子芸者・蝶子（田中裕子）は、化粧品問屋の息子・柳吉（小林薫）と恋仲になり熱海へ駆け落ちした。ところが関東大震災に遭い、しかたなく大阪へ帰る。いったんは蝶子の両親のもとへ身を寄せるが、くろうを覚悟の上で黒門市場の路地裏に部屋を借りる。◆ぼんぼん育ちで何をやっても長続きせず、職を転々として夜はカフェーで遊びほうける柳吉との暮らしを蝶子は中居をして支えるが、貧困に加えて病までが二人を襲う。

名もない庶民から天下人に上りつめた豊臣秀吉の波瀾の生涯を描く１２時間ワイド時代劇。◆清洲会議で秀吉は信長の孫・三法師をかつぎ出し、その後見人として信長の後継者の座を射止めた。小谷落城以来、秀吉を恨む市は勝家と再婚するが、勝家と秀吉の対立は深まり、市は北ノ庄城で勝家と供に自刃する。天正１２年（１５８４）、秀吉は大坂城を築くが、その野望は果てることがないのだった。

２１世紀には世界一の経済大国になるといわれ、世界の注目を集める中国。驚異的な経済発展と社会矛盾を同時に抱え、変革の波に洗われる中国全土を取材し、中国社会の深層を描くシリーズ。（１９９４年１０月９日〜１９９５年９月１０日、全１１回）◆中国人民解放軍で、今何が起きているのか。軍需の民需転換「軍転民」によって、家電製品や自動車生産から通信衛星打ち上げまで軍事技術を利用した経済活動にも積極的に乗り出し始めた改革開放下の新しい軍の素顔に迫る。

ある藩の殿様、侍たちの酒による過ちが多いので、皆に禁酒を申し渡し、侍屋敷前に番屋を置き取り締まることになった。酒好きの侍から何とか酒を届けよと頼まれた出入りの酒屋が、菓子だ油だと偽って番屋を通ろうとするが、いずれもバレてしまい、隠した酒を吟味と称して飲まれてしまう。酒屋の小僧、では逆に中身を正直に言って仇をとろうと、ある物を入れて番屋に差し出す。

自らを表現してきた女性たちが、世界各地の核被害地を訪ねる旅に出る。番組ナビゲーターは女優の東ちづる。被爆５０周年特別番組。◆原爆朗読劇を続ける女優・渡辺美佐子は、世界最大の核工場がある米国ハンフォードへ。風下の放射能被害者を訪ね、高校生たちに被爆体験を朗読する。写真家・石川千恵子は核実験が繰り返された南太平洋のマーシャル諸島の今をとらえる。歌人・道浦母都子は原発の爆発事故が起きたチェルノブイリでその惨状を憂う。女性たちは世界の“ヒロシマ”を見つめ、そして５０年目の広島と向き合っていく。