四方を山に囲まれた甲斐に生まれ、あと１０年生きていれば天下をとれたといわれる武田信玄。本音の生き方を求めて肉親や家族との間で悩みながらも、人材育成や領国経営に近代的な手腕をふるった生涯を描いた大河ドラマの総集編。（１９８８年１２月２４日～２８日、全５回）◆長尾景虎改め上杉政虎が、信濃・川中島に出陣した。晴信改め信玄は政虎を攻めるために“キツツキの戦法”をとったが気づかれ、本陣へ攻め込まれた。作戦失敗を知らせようとした山本勘助（西田敏行）は力尽き、討ち死に。ついに八幡原で両軍が激突、武田軍は防戦一方で、信玄の弟・信繁（若松武）らも討ち取られる。

江戸庶民の風俗をとらえたち密な描写、わずか数色の組み合わせで生まれる微妙な色。そのオリジナルそのままに、現代の彫り師、摺り師が手間と時間をかけて一枚の浮世絵を現代に再現する。◆東京・元浅草に住む保存技術者の協力と綿密な原画分析によって、版木彫りから本摺りまでを忠実にたどる。そして伝承した高度な技術を駆使して、広重の『六十余州名所図絵・山城嵐山渡月橋』を摺り上げる。

「信貴山縁起絵巻三巻」は１０世紀の初め、信貴山で修業した不思議な霊力をもつ僧侶・命蓮にまつわる説話が描かれている。グラフィックデザイナーの田中一光さんはその魅力を、庶民の願いや素朴な感情が見事に表現されているところにあると語る。◆第一巻は命蓮上人が飛ばした金色の鉢が長者の米倉を飛ばす話、第二巻は命蓮が醍醐天皇の病をいやす話。それらの不思議な霊力の世界から一転し、第三巻では命蓮の姉が信濃の国から弟を訪ねて信貴山にやってくるという叙情的な絵巻が展開する。姉の尼公の旅の情景とともに庶民の生活が温かい目で描かれている。

たぐいまれな美貌ゆえに３人もの夫を持つことになった女・ふく。子供たちを守るためと意に染まぬ結婚に耐えるが、いつしか新しい夫たちをも愛していく。強く情熱的に、したたかに戦国の世を生きていく女を描く。◆美作国城主の子・貞勝の妻ふくは落城寸前に息子と共に城から落ち延びた。息子の命を助けるという岡山城主宇喜多直家の甘言に、ふくはわが身をひきかえにする。かくまわれたふくは身篭り、直家の子・秀家を産む。直家は秀家を豊臣秀吉に対する人質として差し出したが、病に倒れる。ふくの美しさに夢中だった秀吉はこれ幸いとふくを強引に側室にしてしまう。

古くから日本で家系を象徴する伝統の文様、家紋。植物・動物・風景など森羅万象を写しとった多彩な図柄の華麗さ。平安貴族から武家社会、更に日本の隅々にまで浸透していったわが国特有の伝統風俗である。◆紋章上絵師は紋付の紋を手書きする職人で、その伝統的な工芸技術を脈々と伝えてきた。自然と人間の調和は日本人の心そのものであり、上絵師の妙なる技が今も支えている。

カメラを通して戦争を見つめてきた女性写真家・大石芳野さんの写真とインタビューをもとに、ナチスによる強制収容の恐怖と、生き残った人々の心の軌跡を描く。◆大石さんは３年前からポーランドに入り、強制収容所からの生還者たちを追い続けている。”囚人”たちがどのようにして九死に一生を得たか、また彼らの９０％以上を今も襲う心の傷あと”強制収容所症候群”の問題に、写真とビデオを融合した新演出で迫る。

京都の北にそびえる聖なる山、鞍馬山。古代の人々が敬いおそれた幻想の世界。鞍馬寺は平安京を守る毘沙門天が祭られ、北方の守護神として信仰を集めていた。◆昼なお暗い鞍馬山の木立や岩の自然。毘沙門天・聖観音・魔王尊などの神々の伝説。そして幼いころ天狗に兵法を授けられたといわれる、源義経とのかかわりなどが展開される。王城鎮護の地、天狗の霊界。人々が聖なる地を求め平穏な日々を願うための信仰の山、鞍馬山に入る。◆【国宝】毘沙門天及吉祥天、善膩師童子立像〔鞍馬寺〕◆【重要文化財】兜跋毘沙門天立像、銅燈篭、木彫聖観音菩薩立像〔鞍馬寺〕

北海道の大自然を背景に、夫婦の絆をほのぼのと描く。◆万寿男と京子は北海道幌里町で養蜂業を営む気のいい夫婦。万寿男はハチと共に全国の花畑を渡り歩き、二人は１年の大半を別々に暮らしている。年々開発が進み、ハチたちが蜜をもとめて飛びまわる豊かな自然が急激に失われていく中で、万寿男は先行きに不安を感じていた。そんな夫を気遣い、京子は数か月ぶりに帰ってくる万寿男を喜ばせようと、海のように広大なヒマワリ畑をつくった。