馬鹿正直で純な男・森の石松が、親分・清水の次郎長の名代として出かける金比羅参りの珍道中を描く時代劇。◆ある日、石松は親分から四国の金毘羅様に刀を奉納に行くよう頼まれる。親分の名代という大役に勇んで旅立った石松は、無事役目を果たすと、帰りに見受山の侠客・鎌太郎を訪ねた。鎌太郎は、次郎長の女房の香典に、と石松に百両を託す。しかし石松は、浜松で再会した兄弟分に泣きつかれてその百両を貸してしまう。

黒髪を長く伸ばした女性の大垂髪は、平安絵巻に多く登場する。身動きもままならない髪の長さは女性の従順の象徴でもあり、男たちの権力のあかしでもあった。時代とともに垂れ髪は結い髪へと大きく変化する。江戸の結い髪の誕生には、美への憧れと同時に女性が活動的になっていく背景があった。◆伝統的な髷を結い上げるまでの時代ごとの流行を追い、髪に寄せる思いの深さと髪形の変遷を見る。◆【国宝】吉祥天像〔薬師寺〕、源氏物語絵巻〔徳川美術館〕、扇面法華経冊子〔東京国立博物館〕、風俗図（彦根屏風）〔彦根城博物館〕

三河生まれの甚兵衛が辛苦の末に貯めた大金を親孝行のためにきれいに使い果たす美談。村の長だった父親が、凶作続きで苦しむ村民のため、借金をしてまで尽くし村を救う。その借金を返すのが死んだ親への孝養と働いてきた甚兵衛は、貯まった三千両の金を借金の返済にしたいと言う。妻のお直は「お金は働きさえすれば」と協力する。話が広まって三河屋の評判はますます上がり、三河長者と言われるまでになった。◆作：高山俊春

被害者であるはずの人間が警察や近所の人々の偏見のために加害者扱いを受け人生を狂わされる。◆孝之は郊外に念願のマイホームを購入、妻の睦美や二人の子供の大喜びもつかの間、無理な通勤で体を壊して失業してしまう。睦美は実家から借金し、ファミリーレストランで働いて家計をたて、ローンを返済しようと懸命に励む。ところがある日強盗に襲われた。警察は家庭の事情を知って狂言と決めつけたばかりか、睦美を別件逮捕する。

水俣病が公式に確認されてから本年で３６年、公害の象徴としてではなく、ひとりの障害者として自分の道を歩き始めようとする胎児性患者たちの青春を描く。◆母親の体内で水俣病に侵され、子供のころから常に胎児性患者の象徴として産業公害を糾弾する運動の最前線に立たされてきた女性がいる。彼女は自立を目指し、昨年の春から機織りを始めた。子供の頃から被写体として写真に撮られてきた男性も１０年前から言葉の代わりに写真を撮りはじめた。彼が撮った写真の１枚１枚は、心の叫びそのものである。

各界の著名人の“交遊録”を軸に、出会い、別れ、愛憎など、人と人との深い結びつきを描きだす。（１９９２年４月３日～９３年３月２６日）◆今回は、建築家の清家清と千葉大学名誉教授の多湖輝。

月曜から金曜までの深夜でその日一日のテレビ番組を解説するバラエティー。見逃したドラマのヤマ場など、軽妙に“ツボ”を押さえて人気番組となった。◆この回は年末特別番組で、１９９２年のテレビ界を振り返るスペシャル版。年間視聴率ベスト５０発表、この１年のテレビに関するクイズ「テレビのツボクイズ合戦」、年末年始のテレビ番組のツボを予想する「年末年始テレビのツボダービー」、レギュラー番組の思い出に残るコーナーを回想する「テレツボ３ヶ月愛の軌跡」などで構成。うめだ花月シアターからの生放送。

アジア各地を網の目のように結ぶ「海道」をたどりながら、歴史的、文化的な視点からアジアの現代を探るシリーズで、フィリピン、台湾、韓国、香港、タイの５か国を訪ねる。（１９９３年３月９日終了、全１１回）◆台湾本島の東南９０キロの太平洋上に浮かぶ蘭嶼島。この島に住む３０００人の小数民族・ヤミ族は、中国や台湾の影響を受けずに独自の文化を築いてきた。しかしここ数年、島では急速に台湾化が進み、ヤミ族の伝統的な暮らしを観光資源にしようとする国家公園計画が浮上、島は大きく揺れている。島の最長老の漁師・シャプン・ワニニアンさん親子の生活を中心に、ヤミ族の暮らしの移り変わりを描く。