ペンキ職人の２代目が重い過去を背負って来日したベトナム人女性と知り合う。◆稔は東京下町のペンキ職人。ある日車のフロントグラスに封筒がはさまっているのを見付けた。中身は奇妙な色彩の風景画だった。次の日、稔は物陰に隠れて手紙の主を待った。それはベトナムの女子就学生・ランだった。数日後、稔が塗り替えをしていた古びた木造アパートの窓からランが顔を出した。そこには外国人労働者たちが大勢住んでいた。彼らと夕食を共にした稔は、ベトナム戦争の傷跡を持つランの境遇にショックを受ける。

聖徳太子の創建といわれる古寺、四天王寺。そこに伝わる国宝『扇面法華経』のなぞに焦点を合わせ、女人成仏の過去の歴史の神髄を探る。四天王寺は庶民の町大阪の真っただ中に立つ。西方極楽浄土の入り口として古くから栄えてきた。伝来の寺宝の中で扇面法華経は、厳粛なはずの経文の下絵に人間臭い絵柄が描かれる不思議な経。なぜ扇面に経が書かれているのか、の問いはいまだ定かでない。神事や祭りにおける扇の存在の意味を紹介し、扇と経文とのかかわりに光を当てる。◆【国宝】扇面法華経冊子〔四天王寺〕、四天王寺縁起、一字蓮台法華経〔大和文華館〕◆【重要文化財】舞楽面陵王〔四天王寺〕、舞楽面納曾利

アフリカ・コンゴ人民共和国の密林に調査に入る京都大学霊長類研究所の調査隊に同行、絶滅の危機にあるローランドゴリラをキャッチしてその生態を追う。

文楽の顔は首である。登場人物や性格で変わる首について吉田文雀に聞く。◆首は一興行ごとに作り直す。この時人形遣いは一緒になって細かな指示を出す。首はもともと丸坊主で、これにかつらをつけて役の顔にする。男の首は源太・若男・文七、女の首は娘・老け女形などが代表的なものである。文楽ではかつらに油をつけないで結うことも特色である。◆副音声は英語

娘が姑とうまく折合わず、実家に帰ってくる。心配した父が、人は出方一つで変わるもの、今一度姑に仕え、それでも駄目だったらこの薬で姑を殺しなさい、と、うどん粉を劇薬だと偽って娘に渡す。父の言った通りで、娘と姑は近所も羨む仲になる。うどん粉で殺したら今頃は手打ちだろうというオチがつく。

「西遊記」で親しまれている三蔵法師は、７世紀実在の唐僧。長安からインドまで３万キロを１人で求法の旅をし、帰国して４８０万字から成る経典の翻訳を成し遂げた。やがてその教えは日本に伝わった。日本でゆかりの薬師寺に「玄奘三蔵院」が落成し、日本にある三蔵関係の遺物の９割が集められ展示された。玄奘三蔵のもたらしたものは、仏教経典のみならず白鳳という大いなる美の時代と心を日本に根付かせた。諸宝物から彼の偉業を探る。◆【国宝】薬師寺東塔、慈恩大師像〔薬師寺〕、薬師如来及両脇侍像、観音菩薩立像（聖観音像）、玄奘三蔵絵〔藤田美術館〕、大般若経

１９６１年（昭和３６）４月３日の第１回放送から３０年、子供と母親が一緒に歌えるオリジナル曲を生み出してきたミニ番組『みんなのうた』の特集。◆曲目は「おお牧場はみどり」「オブラディ・オブラダ」「スシ喰いネェ」「調子をそろえてクリック・クリック・クリック」「おとぎの国のＢｉｒｔｈｄａｙ」「一週間」「歩いて行こう」「ドレミの歌」「北風小僧の寒太郎」「線路は続くよどこまでも」「山口さんちのツトム君」「おもいでのアルバム」「一円玉の旅がらす」「ジャングルダンス」「夕日が背中を押している」「あわて床屋」「勇気一つを友にして」「はさみとぎ」「パンのマーチ」「南の島のカメハメハ」「切手のないおくりもの」「それ行け３組」「手のひらを太陽に」ほか。

イタリア・フィレンツェで開花した文化の華、ルネサンス。自由と美を追究した多くの芸術家たちの夢と栄光は、文化史上、現代に至るまで多大な影響を及ぼし続けている。社会、政治体制の変革に巻き込まれながらも休むことのないおう盛な芸術活動は、数えきれない美の結晶を残した。◆初期から絶頂期の巨匠たちの遺産と奇怪奇想のマニエリスム芸術に至る文化の流れを追い、自由と平等を地上に出現させた一時代の奇跡を総括する。◆ダヴィデ、勝利像（ミケランジェロ作）、モナ・リザ（レオナルド・ダ・ヴィンチ作）、小椅子の聖母、アテネの学堂（ラファエロ作）、聖フランシスコの死（ジョット作）