江戸時代末期、海難のためにアリューシャン列島アムチトカ島に漂着した大黒屋光太夫は、時のロシアの女帝エカチェリーナ２世に帰国を嘆願するため、シベリア大陸を馬とソリ、そして自分の足で横断した。東の果てオホーツクから西の果てレニングラード（現在のペテルスブルグ）まで、光太夫が通った同じ海、河、道を、冬期２カ月、夏期１カ月余りのソ連取材で探訪していく。リポーターは作家の椎名誠。ＴＢＳテレビ開局３０周年記念特別企画。（１９８５年１２月２、３日放送、全２回）

国の地方交付税や補助金、さらには自主財源の伸びも期待できない中で、地方都市が２１世紀に生き残るために、今何をすべきなのか。アメリカ、スイス、日本各地からの報告を交えながら、富山県がとるべき「地方経営戦略」を提案する。◆大都市の過密解消と工業拠点の分散を狙った富山県の「新産業都市構想」は、２度におよぶ石油ショックによって挫折した。生き残る道はあるのだろうか。３回シリーズの総集編。

長崎・諫早の名家、楠木一族が幕末に私財をなげうって干拓した十万坪の新開地。一族に分け与えられたその土地をめぐる謀略、巻き込まれていく“フーケモン”の楠木雲太郎、そして楠木家の親戚たちの大騒ぎのひと夏を描く。（１９８５年７月４日～９月２６日放送、全１３回）◆第１回。諫早の地に点々と散らばる楠木一族が、結婚式で雲仙の教会に集まっていた。予定の時刻を過ぎても、花婿もその一族もまったく現れない。花嫁・伸子（手塚理美）の親族側には不安と苛立ちの表情が並ぶ。一方、東京では雲太郎（役所広司）が、寸借サギに失敗し、借金取りに怯えていた。そこへやって来た男が、雲太郎の故郷・諫早で年商３０億のホームセンターを経営する社長が雲太郎に会いたがっていると伝える。

おさん、茂兵衛、永心を中心とした元禄人間模様を、秋元松代が今の視点で切り取った新しい近松ドラマ。近松門左衛門「大経師昔暦」より。◆現代でいえば大企業のオーナーにあたる大経師彩玉堂の主人・永心（金田龍之介）の妻として、何不自由なく暮らしていたおさん（太地喜和子）が、手代の茂兵衛（滝田栄）の求愛を受けて、その愛に目覚め全てを投げうって恋に走る。

老いながら生きていくことの意味を、晩秋の東北地方を旅する老人の出会いと別離の中に描くドラマ。圭作はかねてからあこがれていたひとり旅に出た。東北新幹線でみちのくへ。美しい鳴子の紅葉。東北の秋は冬を迎える前の静けさで彼を包む。冬は死であり、冬を迎える前の安らぎは快くしかし哀しい。旅先ではさまざまな人に出会う。２人の若い恋人同士。かつての同僚はガンの床に伏していた。

ある神社に奉納された多くの写真を題材に、戦争が現在に残した傷跡を明らかにしていく。山口県徳地町の三坂神社は、古くから弾よけの神として有名だった。特に太平洋戦争中は、出征していく夫や子どもに内緒で妻や母が写真を神社に奉納し、戦勝を祈願した。全国から集まった写真は１万５０００枚にのぼる。宮司の佐伯治典さんはこれを父親から引き継いだ。「この写真をすべて返さなければ、私の戦後は終わらない」と語る。

“おもいっきり”自分たちの青春を生きている中学生たちに焦点をあて、彼らの明るく生き生きとした日常生活や意見を描く。スタジオに集まった７０人の普通の中学生が、毎回ひとつのテーマにもとづいて取材されたＶＴＲリポートをもとに、自分たちの視点で活発な議論を交わす。◆第１回のテーマは、だれでも１度は悩んだことがある“友だち”について。

青函トンネル貫通式の模様を、北海道側・吉岡坑口と本州側・竜飛坑口の式典会場から生中継。加えて、英仏を結ぶドーバー海峡のトンネル工事中止の例や、長距離トンネルを利用しているフランスのベルシー～ニース間の鉄道を紹介。新幹線の通る見込みのない青函トンネルの前途を占う。◆午前１０時５分、山下徳夫運輸大臣の発破スイッチで最後の壁が爆破され、津軽海峡の真下を通る世界最長の海海底トンネルが開通する。１９６４年着工、延べ１２００万人を動員した大工事だった。