二人の旅人が平成の眼であらためて古寺を巡礼するシリーズ。◆京都市出身の随筆家・松山猛が、友人の歌舞伎俳優・中村歌六を誘って、鴨川をさかのぼり源流にある真言密教の寺・志明院を訪れる。この志明院は歌舞伎十八番「鳴神」の舞台でもある。谷間の参道を楼門、本堂、根本中院と上った後、鴨川の始まりの岩清水がしたたる鳴神の護摩洞窟で、歌六さんは不動明王に祈りを捧げる。そして山頂の岩場。鴨川を極めた感じを抱きつつ、水への信仰、寺を取り巻く自然の神秘性、伝説化の隠れ寺について語り合う。

戦後間もない日本に彗星のように現れ、消えた天才少年バイオリニストの半世紀といまの静謐な暮らしを伝える。◆七歳でリサイタルを開き、渡米して世界でも最高水準の評価を得たバイオリニスト、渡辺茂夫。しかし突然の自殺未遂により演奏不可能な体になって帰国、表舞台から姿を消した。◆１９９４年春、愛好家の手元に残っていた録音テープから私家版のＣＤが作られた。決して良くない録音状態でありながら、その音色には人の心を捕える「美しさ」と「力」があった。そのＣＤから取材は始まり、レコード会社もＣＤ商品化に名乗りをあげ、出版の企画も持ちあがった。４０年を経てこれほどに人を動かす彼の音楽が、よみがえった。

広島の土曜朝をにぎわす生放送。主婦はもちろん子供、お休みのお父さん、ＯＬなど、幅広い層に向けておくる情報番組。（１９９４年５月１４日〜１９９７年１２月２０日、全１７３回）◆メインキャスター・広島出身の風見しんご、成田万寿美が軽妙に司会進行、異色コメンテーターのシルビア、広島の伝統工芸「高盛絵」継承者・金城一国斎が、独特な切り口でコメント。週替わりのコーナー、釣りあり料理ありスポーツありと、盛り沢山の内容。◆この日は、ジェームスのタウンタウン「瀬戸田町」、外国人タクシー運転手・スティーブンさん出演、スポコン特集「ＪＴサンダースの挑戦」、きくち寛さん「一ツ星」スタジオ生ライブ、催事案内「イベント大助言」、そして奥さま必見の値切り中継「サダちゃん・がんばります」。

島根県奥出雲地方には、稲そのものが御神体になる祭りが伝えられている。田の神信仰と祭りの伝統行事を頓原町に見る。◆頓原町の由来八幡宮では、５月から始まり１１月で終わる『田の神の祭り』と八幡宮の例大祭が、同じ神殿で同じ日に別々の神を祭るという珍しい行事がある。田の神信仰は古くからある民間信仰で、八幡様の祭りが始まっても途絶えることがなかったのが原因である。豊作を祈る人たちの信仰は今も変わらない。◆頓原の田の神の祭り〔島根県〕

都内下町のとある小学校のホームルーム。うさぎの飼育小屋を新しくするか、飼育を今月で止めてしまうかを話し合う。◆子どもたちが一人一人意見を出すのを、落語に出てくる町内の人物の口調で進める。議長は職人の八五郎、それに物知りのご隠居、与太郎、たいこもちの一八、若旦那に芸者などが登場し、おもしろおかしく話を進める。

歌手やアーティストをゲストに迎え、自分の歌った忘れ得ぬ一曲について語ってもらい、最後にその曲をスタジオライブで披露するミュージック＆トーク番組。司会は由紀さおり。◆１９８１年のヒット曲「夢の途中」について、作曲者であり、自身歌い手でもある来生たかおにインタビューし、来生が「夢の途中」を歌う。オープニングでは、由紀が「夜明けのスキャット」を歌って登場。

小田原城は後北条氏により本格的な築城が行われ、江戸時代には大久保や稲葉氏など、譜代大名の居城として江戸城・川越城と並ぶ関東の名城といわれた。明治になると廃藩置県に伴い城は壊され、「隅やぐら」が辛うじて残った。その後、小田原市が天守閣や常磐木門を復元し、市民のシンボルとして、また観光資源として、多くの人に親しまれている。こうした小田原城の歴史をたどりながら、政治や経済の面から新たな考察を加えるとともに、四季折々の美しさ、にぎわいを合わせて紹介する。

日本各地を訪れ、受け継がれる伝統工芸の技と心を紹介する。◆日本の文化は多くを中国から輸入したが、日本で生み出され中国で模倣されたものがある。扇子である。１本の扇子は扇骨加工、紙漉き、地紙加工、箔押しや上絵描き、折り、仕上げと熟練した工人集団の息の合った分業で作られていく。一本の扇子の中に生きる職人の技と心意気を、京の春風の中で描く。