マラウィ湖はアフリカ大陸の東南にあり、九州ほどの大きさ。２００万年前にでき、今も拡大を続けるこの湖に、独特の進化を遂げた魚たちを見る。危険が迫ると親の口の中に逃げ込む魚や、シクリッドトナマズの母親が互いに利用しあって一緒に子育てする様子など、珍しいものが見られる。夜行性の敵に教われる心配がないので、安心して眠っている姿もユーモラスだ。周辺の人々の生活も紹介されていて、湖の恵を享受しながら平穏に住み分けた姿が印象深い。出演は三浦洋一。

さまざまな分野で活躍する第一級の人々が、その人ならではの視点で「いのち」をテーマに語る。◆今回は、東洋医学研究家の上野圭一さん。

熊本県合志町にある日本最大のハンセン病療養所・菊池恵楓園で暮らす人々の孤独ながらも前向きな人生を描く。また、彼らを家族と引き離した「らい予防法」廃止への歴史をひもとき、医学的、社会的問題をさまざまな視点から明らかにする。◆明治４０年に制定された「らい予防法」は、らい病（現在はハンセン病と呼ぶ）は強い感染力のある病気だという誤解に基づいて、患者の強制隔離を義務づけた法律だった。恵楓園を２メートルの壁が囲み、不治の病と忌み嫌われ、強い偏見のため家族も差別されるような状況があった。特効薬が開発され、みるみる患者が減りはじめても偏見と差別は消えず、法律も廃止されなかった。療養所の中だけで生きていった患者たちの重い人生の軌跡を描く。

１９９５年（平成７）秋、中津川の上流に建設が進められていた宮ケ瀬ダムの湛水が開始されるが、ダム建設以前の宮ケ瀬には、古くから受け継がれてきた人々の生活が川とともにあった。また中津渓谷は、日本景勝１００選にも選ばれた風光明媚な景勝地として知られている。かつての宮ケ瀬地区の人々の生活ぶりや中津川渓谷の情景を中心に、中津川上流周辺を再発見する。

日本各地を訪れ、受け継がれる伝統工芸の技と心を紹介する。◆信州木曽の山峡にある楢川村は、木曽漆器のふるさと。なかでも小泉満さんが作る縄文漆器は、一番注目されている。縄の上に漆を塗り固めた縄文漆器。小泉さんは木曽漆器の伝統の技を受け継ぎ、更に全く新しい手法でその伝統を広げている。６百年の木曽漆器の技を受け継ぎ、また新たな創造を目指す小泉満さんの縄文漆器の魅力を探る。

平家物語が素材で、平家打倒の謀反の罪で「鬼界ヶ島」に流された僧・俊寛の悲劇を描く。◆シテ（主役）のふん装は演者の解釈や演出意図で差があり、工夫が凝らされる。ここでは専用の面を付け、頭部は「黒頭」を、腰には海草で作った「海松蓑」を着けて長い流刑の印象を強めている。前半は、島に来た赦免使が名を読み上げるが俊寛の名は無く、俊寛が嘆き悲しむ◆「俊寛」観世寿夫、宝生弥一（重要無形文化財保持者）、浅井文義、永島忠侈。◆副音声は英語

日本各地を訪れ、受け継がれる伝統工芸の技と心を紹介する。◆庵治町は魚と石の町。瀬戸内からの恵みを受けて生きる漁師、それに、山からの恵みを受けて生きる石工。庵治町は愛知県の岡崎、茨城の真壁と並んで日本三大石材産地として知られている。庵治石は細粒黒雲母花崗岩で、堅く光沢の美しいことが特徴である。隣接する牟礼町と合わせて、石を生業とする人はおよそ千五百人。そのほとんどは砕石と石彫りを別々に行っている。

山口県萩市見島、萩の沖合の日本海に浮かぶこの島は、古く中国大陸から渡来した文化や伝統が今も息づいている。島は「浦」の漁業と、「在」の農業の二つに分かれ、「浦」は住吉神社に、「在」は見島神社に、それぞれ収穫の多いことを祈る。祭にも農と漁の特色が見られるが、赤・青の鬼の舞は農と漁を象徴し、「在は万作、浦は大漁」とあるように、別々の暮らしのなかに二つが一緒になって伝統を守っている。