江戸川乱歩の怪奇と幻想に満ちた世界を、オムニバス形式で描く５本の短編ドラマ。◆「現代編」営業マンの増岡（佐野史郎）が少年時代の宝物、乱歩文庫を再び読み返すところから、その世界に入っていく。乱歩原作の４本の短編のタイトルは「接吻」「人間椅子」「密室の少女」「断崖」。

特別番組として趣向を変え、同じ演目の同じ場面を文楽と歌舞伎で比べ、その特色を見る。◆歌舞伎演目の７０％は義太夫物で、人形浄瑠璃の影響の大きさが分かる。今回は登場人物を通じてそれぞれの特色を見る。一例として、定九郎を文楽では残酷非道に描き、歌舞伎では悪の美の魅力として描いている。人形と人間のそれぞれの面白さが共生するゆえんである。◆文楽「仮名手本忠臣蔵」五段目・六段目人形吉田玉幸、吉田文吾、歌舞伎「仮名手本忠臣蔵」五段目・六段目立方岩井貴三郎、初世尾上辰之助

千四百年受け継がれてきた山伏修行に初参加の３人の修行者にスポットを当て、羽黒修験道を描く。◆毎年８月末、修験の山として知られる山形県羽黒山で山伏修行が行われる。「秋の峰入り」とも呼ばれ、全国から百五十人余りが参加する。この修行を重ねることにより、羽黒山伏としての位があがっていく。初めて参加した人は修業を終えると山伏名が与えられ、その位を初度位（しょどい）という。月山に登って死後を体験、湯殿山にて新しい生命を得、羽黒山で現在の幸福を願うという修行の道は、一度死んだ山伏が母の胎内に宿り、修行して生まれ変わる擬死再生のストーリーをたどる。

七段目「一力茶屋の場」を、おかる役の中村芝翫の話を交えて見る。◆茶屋遊びの場面から、おかる・勘平の悲劇まで、七段目は忠臣蔵の要の場であり、芝居のだいご味の場である。おかるは腰元、勘平の女房、そしてこの場では遊女として三度登場する大きな役で、それぞれの役の演じ方が見どころでもある。◆副音声は英語

　三十数年振りに出所した、いたちの留吉。世の中の変わりようも知らず、ことば遣いも昔のまま。その滑稽なやりとりが面白い。◆ハンバーガーの店に入った留吉。店員にセルフサービスだと言われ、「丁稚の分際で客に持って行けとは何事か」とどなる。食器をゴミ箱に捨てようとする若者には「よそさまの物を勝手に捨ててはいけねぇいけねぇ」と注意する。

敗戦色の濃い終戦直前の日本。外務大臣に就くことを請われて戦争終結に全力を尽くした東郷茂徳の姿を描く。俳優座創立五十周年記念番組。◆昭和２０年春、東郷は鈴木首相から外相就任の依頼を受ける。開戦前、外相だった東郷は戦争回避の自説を曲げず政界から引退していた。妻子は東郷の老体を案じるが、彼は上京し、変わり果てた首都の姿に愕然とする。外相を引き受けるが、軍部に牛耳られている政界では思うように動けない。一刻も早い戦争終結を願う東郷は平和論者とみなされ、命までねらわれる。

中国奥地、泰嶺山脈の奥深くに住む「キンシコウ（金絲猴）」の生態を、中国の研究者たちに同行して取材。８か月にわたる記録から、謎とされてきたキンシコウの生態とともに、地域の人々の暮らしを紹介する。◆その名のとおりに全身が金色の毛で覆われ、上向きの鼻に青い顔という特異な容貌を持つ猿・キンシコウは、孫悟空のモデルともいわれ、中国ではジャイアントパンダと並ぶ第一級の保護動物とされている。地域の人々には山の神として祭られてきた。

　『わだば、ゴッホになる』。１９２４年秋、貧乏青年だった棟方志功はこの言葉を残して青森駅頭を去った。後に版画の巨人となった志功は、津軽の風土と人を何よりも愛し、しばしば帰郷の旅を重ねた。７５年秋、文化勲章受章を記念して、記念館が開館した。じっくりと作品を見て貰いたいという彼の意志で、小さな建物であるが、世界の棟方の原点となった「釈迦十大弟子」など、初期、中期の代表的な作品を鑑賞できる。（青森市）