りんご王国・青森県の、外国産りんごの輸入解禁という「りんご国際化」への取り組みを紹介する。◆日本国内のりんご生産量のかなりの部分を生産している青森県。外国産りんごの輸入解禁に対して反対の声ももちろん上げたが、避けられない道として新たな取り組みも始めた。りんごどころの一つ弘前市の農協では袋かけや葉摘みなどを省いて生産コストを下げ、これまでのきれいなりんごより見た目は落ちても、太陽を浴びたりんご本来の味と価格の安さで消費者にアピールしようとしている。ニュージーランドのあとに控えた強敵アメリカの生産事情や、既に自由化の波をくぐったみかん農家の対応も伝える。

鹿児島県の西海岸、東市来町の苗代川は薩摩焼発祥の地として名高い。慶長の役に薩摩藩主・島津義弘に捕えられ日本に連れてこられた朝鮮の陶工たちによって築かれた焼き物の里である。初代から４００年、今は第十四代を継ぐ名工・沈寿官が語る苦難の過去と、伝統を守り続けた朝鮮陶工の歴史を顧みる。歴代の名品を集めた陶芸美術館には、高雅で気品にあふれた薩摩焼の数々が陳列され異郷の地で根づいていった沈家累代の美が誇らかに示される。◆盛金雪輪文大花瓶（第十四代作）、火計茶碗（初代作）、白地草花文象嵌酒壺（五代作）、観世音坐像（七代作）、獅子乗観世音像（八代作）、白地大象置物（十二代作）、透彫千羽鶴香炉（十三代作）、慶長の役合戦図屏風

世界中の美術館から、収蔵している古い日本の美術品を修復してほしいという依頼が相次いでいる。シカゴ美術館から６５年ぶりに里帰りした『阿弥陀三尊来迎図』の修復を例に、日本の表具技術の質の高さを紹介。繊細ち密な技と修復材料吟味の周到さなど、美術品保存に情熱を傾ける技術者群像を描く。

日本へ出稼ぎに来たが不況で仕事が見つからず、自殺したタイ人青年の無言の帰郷。彼は何を夢見て日本へ渡ったのか、その死は家族に何をもたらすのかを探り、アジアの隣人の知られざる現実を伝える。◆「不法滞留」のタイ人は約５万人、１年で１００人以上が自殺や行き倒れなどで死に至っている。自殺した青年は日本へ来るために親や知人の土地を担保に入れ、年収の３０倍を借金してブローカーに払っていた。彼の死でその土地は取られ、借金の利子のために一生働き続けなければならない。

昭和２年の初舞台以来、女優生活６７年目を迎えた杉村春子。昭和１２年に文学座の結成メンバーとして舞台に立って以来、常に日本の新劇界の第一線を歩きつづけてきた彼女の意欲的な舞台人生を、インタビューと舞台中継で紹介する。（１９９４年４月１７日〜４月２２日放送、全６回）◆第４回では、１９８３年東京・池袋サンシャイン劇場での公演「桜の園」を紹介する。

江戸時代“海の東海道”の港として栄えた西伊豆・松崎。しっくいで固められた“なまこ壁”の家が建ち並ぶこの町で生まれた芸術を紹介する。◆山を背にして猫の額ほどの土地に家屋が密集している松崎は、一度火が出ると強い風にあおられて大災害になってしまう。明暦の大火以来、江戸の町もしっくい塗りの家が多くなっていた。松崎生まれの入江長八は江戸へ出て左官の修行をするかたわら、川越で狩野派の絵を学んだ。耐火のためのなまこ壁を塗るうち、建築装飾としての「鏝絵」を芸術の域に高める。現存する作品を紹介し、彼の生涯をたどる。

吉川英治の原作を、川本喜八郎の人形で描く歴史劇「平家物語」の第２部。栄華を極めた平家の没落、着々と反撃の準備を進める源氏の台頭を描く。◆伊豆に流されていた源頼朝は、北条時政の娘・政子と結ばれていた。だが、突然その政子に嫁入り話が持ち上がる。頼朝が北条と結びつくことを恐れた平清盛の横やりだ。頼朝は政子の兄・北条宗時とともに花嫁行列から政子を奪い取る。一方、牛若丸は元服し、源九郎義経と名乗る。

１９８７年６月１日の放送開始以来、６０００回を超えて続く長寿ミニ番組。列車での旅を通して、美しい風景とそこに住む人々の生活を描く。◆今回は、「先生のたまご」と題して、中国・凱里・柳州・桂林の道のりを紹介する。