“古紙回収”を生業としている男。友達から「町内の天ぷら屋の竹さん家に泥棒が入った。竹さんは刺されて死んだが、泥棒はすぐに捕まった」と聞いて驚く。実は、「入った家が天ぷら屋だから“あげられた”」という落とし噺。ひっかかった男は、さっそく誰かに試してみようと飛び出して行く。◆上方落語の「阿弥陀ケ池」を東京風に改作したもの。

父親の家出によって女三人になった家に、戦争未亡人になっていた長女が帰ってくる。義弟との縁談が持ち上がって動揺している彼女は、父が女と暮らしていることを知って悩む。家族、男女の熱く静かな葛藤を描く。◆昭和１４年。原沢家は昨年の父の家出で母・里子、次女・晶子、三女・愛子の三人になっていた。そこへ病がちの母の世話をするためといって長女・絹子が嫁ぎ先から帰ってくる。夫が戦死しても嫁として暮らしていた絹子の突然の里帰りに、里子は絹子が恋をしたのではないかと感じる。一方、家を出た父・浩二郎を晶子が街で見掛けたことから、絹子は父が女と暮らしていると知るが、母には話せない。ところが正月を控えたある日、父が突然帰ってきた。

レポーターが山形県内各地の見どころを探訪するシリーズ。◆上杉十五万石の城下町・米沢。上杉氏ゆかりの場所を巡る。十二代までの上杉家代々の当主をまつる上杉家廟所。上杉謙信公の遺骸は、甲冑を着けた姿で漆で固められ、甕に納められたと伝えられている。米沢城の跡地である松岬公園は市民の憩いの場所。すぐそばにある上杉記念館は聡檜、入母屋作りの旧伯爵邸で、藩財政をたてなおした中興の祖・鷹山公の説いた「かてもの」を中心とした郷土料理を味わうこともできる。

生駒市と東大阪市の境にある暗峠（くらがりとうげ）。石畳が残る峠道として知られ、歴史散歩によく紹介される。飛鳥時代にさかのぼる歴史を持つ道だが、明治以降は別の交通路が開かれたため、ほとんど使われなくなった。

四国遍路は１，４００キロを歩く巡礼の旅。そのお遍路さんに自らの幸福を重ねて、接待をする風習が四国にはある。◆１，２００年前に弘法大師が開いた８８の霊場巡りは、死に装束と大師の化身のつえ、菅笠で歩く。地元の人たちは大師の化身を茶で迎え、食事や宿を提供する。自らもご利益に頼るからとはいえ奉仕の姿は素晴らしい。すり減ったつえに旅の厳しさがにじみ出る。巡礼を終えた人の表情は、限りなく明るくさわやかである。◆四国遍路

飛騨高山は６時半から朝市が立つ。農家の人たちによって四季折々の新鮮な野菜が売られている。◆オークビレッジでは、木を加工して、木工製品を作っている。また森林匠塾を開いて、木工の技術を教えるだけではなく、木そのものを深く理解させる目的で若木を育てさせている。◆一刀彫の組合では２０年前から植林を進めている。大きないちいの木は地元にはなくなってしまい、北海道から運んでくるという。木を育ててみて、あらためて消費するばかりではいけないという認識も高まったという。多くの緑に囲まれた飛騨高山には、木を消費するだけではなく、熱い心をもって木を育てる人がいた。

お茶どころ静岡県でもとりわけよいお茶がとれる川根、５月の連休明けとともに一番茶の摘み取り作業が最盛期を迎える。手で摘むのは、何よりもお茶の質を守るためで、朝早くから、やわらかい新芽を摘みとる作業をしている人に、その苦労と喜びを聞く。又、東海道本線金谷駅を起点に、本川根町（ほんかわねちょう）の終着駅までおよそ４０キロ、１時間１５キロのＳＬの旅、乗務員に窓外の自然について話を聞く。

幻の強精薬「よひんびん」を求めてさまよう薬漬けの中年サラリーマンの姿を通して、薬に頼る現代医療を風刺し、人の生への執着をコミカルに描く。◆水木秀雄（津川雅彦）は５３歳の中小企業の販売課長。妻・玲子（風吹ジュン）との間に子どもはなく、会社勤めで擦り減る気力、体力、ことに精力の回復を祈って、日々十数種類のビタミンその他の薬を服用している。そんな秀雄が会社で倒れ、入院した。おなじ入院患者の遠山に、究極の精力剤「よひんびん」の話を聞いた秀雄は、その薬を捜し求める。