明るいユーモアと同時に「透徹」した目でこの時代の変化を見つめてきた横山隆一氏の人間像に近づき、その足跡を通じて「激動の時代」を映し出す。◆「フクちゃん」を代表作とする日本漫画界の大御所・横山隆一さんが満９０歳を迎えた。明治の末高知県に生まれ少年期に父親を亡くして一家の大黒柱に。昭和初期に上京して漫画家としてデビュー。戦争、敗戦の混乱の中での妻との死別、そして再婚。８人の子供を養った。波瀾万丈の歳月をたどると、その多くの節々が、それぞれの時代と強く結びついている。類希な魅力を持った人物の歴史をたどることは、明治、大正、昭和から平成に至る激動の２０世紀の日本史をひもとくことになる。

広島、長崎で原爆の被害にあった後差別を逃れ、新しい生活を始めるために故郷を離れて暮らす人は多い。戦後５０年以上がたち高齢となった現在も東京で暮らす３人の被爆者の営みを、それぞれの証言によってつづっていく。◆一人は、被爆を隠し続けていたが、病の床でついのすみかに故郷長崎を夢見るようになった。被爆者健康手帳を初めて取得しようと決意した。二人目は、被爆者健康手帳の申請に２人の証人が必要だという大きな壁にぶつかった。三人目の助産婦の女性は、あの日一瞬で亡くした友だちの数だけ新しい命を取り上げようと奮闘している。

屋久島の四季を描く。◆島の根っことも言うべき海底から、２千メートル近い山頂まで、一気にのびた花崗岩は、頂上で砕けかけ、豆腐岩や坊主岩となる。そこには、ヤクザル、ヤクシカなどの動物、ヤクシマシオガマ、ヤクシマフウロなどの植物、トビウオ、カツオ、ウミヘビなどの海洋動物が生息する。それらと共存する人々も、真砂と潮水を運んで秋の岳参りを復活させた。◆そして冬、氷点下４度になり、あの縄文杉までもが、真っ白な雪と氷に包まれる。◆屋久島

毎週、勝手にひとつの街を選んで徹底取材。ドラマチックかつロマンチックにアドバタイズ（宣伝）するＣＭを作り、その街の魅力を広告しようという、自称「地域密着系都市型エンターテインメント」。（１９９５年４月１５日開始）◆鎌倉時代から保養地として発展してきた葉山。洋風建築のすし屋や、洋風懐石など和と洋を上手に組み合わせた店が数多く登場する。

お寺の長女に憧れつづけ、結婚の約束を果たすために僧侶を目指す男の奮闘をユーモラスに描く。（５月１日終了、全３回）◆東京・広尾で団子屋「はなや」を営む大山家の長男・龍一は、近所の古刹・積恩寺の長女・京子に憧れ、４０の歳まで独身を通してきた。ところが、京子が寺を継ぐために、大学で宗教学を教えているエリート僧・大高と結婚することになった。ショックを受けた龍一は信州高遠の牡丹寺へ。追ってきた京子に思いの丈を打ち明けると、なんと願いかなって結婚の約束を取り付けられた。しかし、二人が結婚するためには、龍一が修行して僧になり、寺を継がなければならないという条件が課せられる。

トレドの街は、スペイン中央部にあり、城砦都市として面白いが、画家エル・グレコの街としても有名だ。◆鐘の音で朝が来ると、教会の天井からさしこむ陽がスポットライトとなって、祭壇は光り輝く。もうひとつのきらめきを放っているのが、グレコの数々の傑作だ。ローマ、ゲルマン、イスラム、さらにフランコ将軍と、侵略を経験した街の歴史は、町屋と路地のつづれ織りのような姿にも現れている。◆一方で、刀剣作りではシェア世界一を誇るが、その中には日本刀も含まれている。◆古都トレド

スペインとフランスの国境がピレネー山脈。中にそびえるペルデュ山の周辺を訪ねる。◆フランス側の村では、６月半ばには移牧を始める。羊飼いたちが、それぞれの羊を山の中腹まで連れて行き、放牧するのだ。西側のスペインでは、それが７月。雨の量が違い、牧草もフランス側では二度生えるからだという。夏の間には、過疎化の進む村で、人集めの夏祭りが催される。◆羊飼いの収入は少ない。育てた１２０頭が全部売れても、フランスの年間最低賃金に届かず、政府から補助金を受けている。◆ピレネー山脈－ペルデュ山

京都二条城で進んでいる二の丸御殿に残る１２００点以上の壁画模写。２５年前に始まり、まだその半ば合計５０年はかかるという息の長い事業である。世界文化遺産に指定されている「二条城」のすべてを、京都の四季を織り交ぜながら描き、幕府御用絵師として栄華を極めた「狩野派」の歴史と幾つかの謎を、再現ドラマを交えて追跡する。また、金碧障壁画を支えた顔料、なかでも「青色」にスポットをあて「青」はどこからきたのか、日本各地の取材に加えて中国・敦煌にその源泉を探る。リポーターは高橋恵子。