笑いの総合商社・吉本興業の１ヵ月の新人研修を追うドキュメンタリー。◆吉本興業の新入社員は毎年、「君たちには何も期待してへん。向いてないと思ったら早よ辞めてくれ」という社長の挨拶で迎えられる。自分の感覚で笑いを生み出すという意気込みでやって来た新人２０人は、有名タレントやプロデューサーの講義、自らが役者になって喜劇を演じる舞台研修、マネージャーの仕事を経験する付き人研修を体験する。研修は、笑いを作り上げてきたプロたちと、若さが発想の源と考える若者たちの価値観がぶつかりあう舞台となる。

１９９０年、日本の仏教教団ではじめて浄土真宗・真宗大谷派が戦争責任を認めた。４人の僧の姿を通して、宗教と戦争平和の問題を考える。

人懐こくさわやかなドイツ人青年が、信州の山里を訪ねて歩く小さな旅。土地の人との出会いを通して、今の日本の暮らしを記録するとともに、変わることのない普遍的なものを描く。◆信州をバイクで旅する青年・ゲオルグは、得意のスチールカメラで出会った人々を撮影し、アルバムにしてドイツの母親に送ろうと決めた。旅先での数々の出会いは心のふれあいを生み、交流を通してさまざまな出来事が起こる。

島根県内（出雲）で弥生時代の銅剣や銅鐸などが大量に出土して話題を集めた。これら青銅器はどこから伝わり何に使われたのか。そのルーツを朝鮮半島や中国に求めて検証した。特に平壌や北京に残る青銅器と出雲の青銅器を比較しながら、その変遷をたどり、やがて青銅器を放棄した古代出雲の光と影を考える。

大気を浄化し、地球の風土を作り、豊かな恵みで人々の暮らしを支える「森」と「水」の不思議を解き明かす。◆日本の水は世界的にも「安全でおいしい」とされてきた。森は雨を受け止め、土壌は雨水をろ過して不純物を取り除き、脱臭の作用も果たす。北海道の名水を例に「おいしい水」ができるまでを探る。

老人の恋とその苦悩、挫折、怨みという重いテーマの作品である。能としては異色とされる「恋重荷」を二部に分けて鑑賞する。宮廷の庭師の老人が白河院の女御を見て恋をする。噂を聞いた臣下が、庭の石「恋重荷」を持って千度廻れば…と言い、老人は持とうとするが重くて持てず、口惜しがって憤死する。「恋重荷」とは宮廷の歌言葉であったが、それを知らず真にうけた老人と、貴族の文化の差が残酷さを生んだのである。◆「恋重荷」・シテ片山九郎右衛門、ツレ片山伸吾、ワキ福王茂十郎、アイ茂山千作、（妙佐型）大槻文蔵。◆副音声は英語

ヨーロッパ各地からサンティアゴをめざす巡礼の道、後編はレオンの町から。この大聖堂のステンドグラスは見事だ。途中には過疎の村も廃村もある。モンテ・デル・ゴソの村までくると、サンティアゴの大聖堂の塔が見え、そこは喜びの丘と呼ばれる。到着すると、巡礼たちはサンティアゴの像に祈り、像を抱く。石の柱の、巡礼たちが手を置く指の跡が、穿たれているのが驚きだ。７月２５日のミサには大香炉が持ち出される。どう使うかは見てのお楽しみ、ここは伏せておこう。

１９８５年に始まった新春恒例のドラマシリーズ。昭和初期の日本を、ある家庭の生き方とともに描く。原案：向田邦子。◆昭和１３年。東京・池上に住む桂木家は、母親の里子（加藤治子）、夫を戦地で失った長女の松乃（田中裕子）、そして二女・五海、三女・七重の４人家族だった。そんな桂木家に、叔父の富之介は、酒場で意気投合したという落語家・光太郎（小林薫）を連れてくる。松乃は、自分とはまったく違う生き方をしている光太郎がどうも信用できず、強い警戒心を抱くが、天がい孤独の身と知って次第に打ち解けていく。だが、光太郎と亡き父の間には何か秘密があるらしい。