瀬戸内海と日本海に挟まれた中国地方五県の自然と、そこに生息するさまざまな生き物の生態を伝える。◆今回は広島県芸北町八幡のユウスゲを紹介する。

祭り行事の一切を取り仕切る人を当屋という。男子生涯一度の名誉として受け継がれてきたが、精進潔斎の一年を過ごさなければならず、実際は仲々大変な役目だ。滋賀県木之本町では、五人組が交代で当座を務める。“ユリネ”には古くからの歴代当座の名前が記されている。美保関はかつて北前船で栄えた港町である。“頭人”は日本海で一年間、禊ぎを欠かさず、祭りでは記紀伝承の事代主神になりかわる。山形県の黒川能では、自宅に能舞台を設け、夜を徹しての祭主を務める。◆取材地は滋賀県木之本町、島根県美保関町、山形県櫛引町。

不器用な物書同心・藤木紋蔵をめぐる人間模様を描く時代劇。原作：佐藤雅美。（１９９８年４月３日～９月４日放送、全２１回）◆第１話「手柄捨てます」。藤木紋蔵（舘ひろし）は町奉行所例繰方（れいくりかた）に３０年勤める物書同心。過去の判例整理などをする地味な内勤で、所構わず居眠りするため「いねむり紋蔵」と呼ばれている。ある日、お奉行の特命で旗本の跡取り息子・恒之助が何者かに奪われた刀を取り返すことになった。紋蔵の調べで、１０歳の恒之助が自ら金に換えていたことがわかる。報告すれば事件は解決し、自分の手柄になる。しかし、恒之助は労咳で暇を出された乳母のお藤を養うために金を必要としていたのだった。

松阪市から伊勢市に至る伊勢街道を俳人の黛まどかさんが歩く。その昔、各地から伊勢神宮へと通ずる参宮街道があった。今も道標や常夜灯など街道だった証が残り、当時のにぎわいをしのぶことができる。

約２００年前の１８世紀後半、南太平洋で発生した戦艦バウンティ号の反乱。船を占拠した反乱者たちは、ポリネシアの孤島、ピトケアン島に安住の地を求めた。断崖絶壁に囲まれたこの島は、空港もなければ港もなく、地球上で最も到達が困難な島といわれており、今も反乱者の子孫たちが暮らしている。反乱者たちの足跡を、俳優の時任三郎がリポートする。

日本人は死者をどのように葬ってきたのか、死者の霊魂は何処へ行くと信じてきたのか、生きている者は死者の霊とどのように交流してきたのか、祖先とは何なのか、その「かたち」を記録し、意味合いを探る。◆山口県三島に伝わる風葬の名残り。鳥取県中山町の両墓制の伝承。巨大な亀甲墓を持つ糸満の「門中」では、火葬になった現在も、正月に一族が集まり洗骨の儀式を行う。青森の恐山は今も死者の霊との交流の場所と信仰され、夏と秋の「お山祭り」は５万人もの人出で賑わう。◆取材地は山口県三島、鳥取県中山町、沖縄県糸満町、青森県恐山、鹿児島県口之島。

ＮＨＫ連続テレビ小説第５８作「天うらら」（１９９８年４月６日～１０月３日放送）の総集編。大工を目指す川嶋うららの成長と奮闘を通して、女性という枠に捕われない生き方、職人の世界、老人介護の問題を描く。原案：門野晴子。（全４回）◆総集編・最終回。諒子（東ちづる）が事務所を閉めることになり、うらら（須藤理彩）は声優を辞めた和実（桜井幸子）と「うらら組」を開業した。渡り職人をしていた佐藤（鈴木一真）の協力を得て、うららが棟梁となる。危篤状態になった祖母・ハツコ（池内淳子）を喜ばせるため、うららは佐藤と嘘の結婚報告をするが、ハツコは奇跡的に回復する。一方、阪神・淡路大震災で日本家屋の脆さを目の当たりにして、良治（小林薫）は強い家造りを研究し始める。大家の都合で家を出ることになった川嶋家の人々も、それぞれの道を歩み始める。

上海のすぐ西、蘇州。水郷だが、庭園もすぐれた街だ。その庭園の四つが世界遺産になった。◆留園は、建物が、外から見れば風景の一部、中に入れば庭を見る舞台装置。そして、太湖で採れる太湖石。園内の冠雲峰という石は高さ６．５メートルもあり、石灰岩がどうしてこんな形になるのか、実に不思議だ。拙政園は蘇州最大で、庭園を切りわける曲橋や水廊が面白い。網師園は彫刻が細かく、地面にもさまざまな装飾がある。そして環秀山荘は築山が蘇州一で、「別世界への入口」もある。◆蘇州の古典庭園