日本各地を訪れ、受け継がれる伝統工芸の技と心を紹介する。◆田辺湾に注ぎ込む秋津川をさかのぼると、深い山々に囲まれた秋津川の集落にたどり着く。秋津川は最高級の炭、備長炭の発祥の地として知られている。元禄時代、秋津川の炭焼き職人が改良を加え日本一の堅炭を完成。これを備中屋長左衛門が「備長炭」と名付けたのが始まりといわれている。以来、伝統の灯は消えることなく、秋津川の窯で作られている。

宮沢賢治の４つの名作童話の中の印象的な“ことば”を出発点にして、賢治の“こころ”を、今の街の風景の中によみがえらせる読み切り短編シリーズ。◆「よだかの星」より『森を探しに』。中学受験の塾で国語を教える明子は、田舎に帰ることになった後輩、谷本に別れの言葉も言えない臆病者。だが、手を焼いていた塾の問題児、真理が彼女に心を開いたとき、明子は自分の弱い心が変わっていくのに気づく。◆解説副音声あり

１９１３年（大正２）南伊予の漁民１５人が打瀬船と呼ばれる帆船「天神丸」に乗り組み、５９日かけて太平洋を横断、アメリカに渡った。密航ゆえに強制送還され、歴史の表舞台には現れなかった彼らが何を求めていたのか、その背景と苦難の航海を探る。◆移民が制限された明治末から大正初期に、打瀬船で太平洋を横断してのけたのは８隻７５人。果たせなかった者を入れれば１６０人あまりの密航者は、南伊予の小さな漁村の人々が中心だった。天神丸に乗っていた萩森音次は、一度送還されてもあきらめず貨物船に密航して再度アメリカに渡っている。

歌手やアーティストをゲストに迎え、自分の歌った忘れ得ぬ一曲について語ってもらい、最後にその曲をスタジオライブで披露するミュージック＆トーク番組。司会は由紀さおり。◆１９７５年のヒット曲「なごり雪」について歌い手であるイルカにインタビューし、イルカが「なごり雪」を歌う。

北茨城市大津はイワシとシラス漁を中心とする漁業の町である。港町の盆から正月までの記録を見る。◆自然を相手にする漁業は昔からの仕来りを重んじることで安全を祈り豊漁を願う。初出港の儀式や初漁の氏神様への奉納、神楽によるおはらいなど正月恒例の行事。また盆には立派な盆船を作り、踊りで新仏を迎え、送るなど、ここには諸々の行事に一味違った色合いが残っている。◆大津のナマキリ（初出港の儀式）〔茨城県〕、カケノヨ神事、水戸大神楽、朔日参り、じゃんがら念仏

和太鼓奏者の林英哲が栃木県益子町の高内秀剛を訪ねる。◆独学で作陶してきた高内さん（当時５９歳）は、益子にガス窯、灯油窯、登り窯をもつ。作品の特長は大きさと荒々しさ。皿にはビーッと緊張感があり、壷にはグーッと肩の張りがある、それが求める形だという。◆ろくろで作って終わりじゃなく、切った貼ったでものをくっつけていくと、人間くさいというより獣じみてくる、そこが面白い。死ぬまでなまぐさい野郎だなっていわれれば、それはそれで勲章だと思う、と語る。

全国に今も残る大黒柱のある家を取材し、その家族が守り続けている家訓や生活の知恵、大黒柱に対する深い思い入れなどを紹介。◆岩手県三陸町、リアス式の入り組んだ海岸線で知られる小さな町、町の人々の多くは海より少し離れた高台に家を構えている。一段と高いところに立つ家を建てたのは、今から１００年前の明治２４年、三陸海岸を襲った大津波のために、海岸沿いに建てたばかりの家と家族を海に呑まれてしまった現在の主の祖父。失意の中で高台に家を建て、その家を支える大黒柱の木を探しまわり、大きな桜の木に出会ったという。

四国各地のさまざまな祭りを紹介するシリーズ。（１９９６年４月２７日放送開始）◆約３００年の伝統を誇るといわれるが、最盛期は幕末から明治初期と思われる。主として秋祭りの奉納芝居として行われ島全体で２０余あったといわれている。番組では、衣装合わせ、メーキャップ、リハーサルなどの準備段階や一体化した舞台と客席などを取材。中山、肥土山、内海など、併せて百名程の芝居のできる人達は香川県の無形民俗文化財に指定されている。