ピアニストの村松健さんが高崎から鎌倉までの鎌倉街道をたどる紀行番組。このシリーズでは上道・中道・下道のうち上道（かみつみち）約１４０ｋｍを歩く。テレビ埼玉開局２０周年記念企画。◆峠を南下すると、街道は鳩山町に入る。やがて県道と合流するが、大橋川を渡ったところで消えてしまう。カメラは石塔や板碑などを見つけたが、街道跡を見ることはできなかった。かつて、鳩山中学校の校舎の下に街道跡を保存していたということだが、木造から鉄筋に校舎を建て替える際に埋めてしまったそうだ。校庭に説明板がある。

公的資金でお年寄りの介護費用を賄おうという介護保険がスタートする前年。ＮＮＮドキュメントは全国各地の地域医療をめぐる問題を特集した（「特集　地域医療のなかで」）。岩手からは、岩手県岩手町で寝たきり老人をなくす医療を実践している開業医の佐渡豊医師（５４歳）の取り組みを紹介した。◆佐渡医師は１５年前から、当時は珍しかった訪問診療と医院による治療を組み合わせている。きっかけは脳卒中で寝たきりの患者が、懸命のリハビリで歩けるようになったこと。取材時には、９２歳の男性が自宅で転倒し入院したばかりだった。気難しく、他人に心を開かない男性は、誰とも口をきかなかった。このままでは寝たきりになってしまうと心配したスタッフは、男性に粘り強く働きかけ、佐渡医師がいう「心の寝たきり」状態から離脱させた。男性はリハビリにも熱心に取り組むようになり、３か月ほどして退院し、目が不自由な奥さんに代って台所仕事もするようになった。また別の女性（７４歳）は、脳卒中で左半身が麻痺、骨粗しょう症も進んでいるため、前の病院ではリハビリは危険だからしないよう言われていた。しかし佐渡医院に転院してからは、できることを少しずつやっていこうという医院の方針で、徐々に歩けるようになり、入院から１０か月で車いすから一人で立ち上がれるようになった。番組ではこの他にも、佐渡医師やスタッフの働きかけで心の寝たきり状態を脱していく患者の様子を丹念に追った。

法隆寺の国宝「玉虫厨子」は１３００年の時を経た今もその輝きを放っている。その玉虫を使った新しい漆芸の美術品を作ろうとしている人がいた。玉虫を使った作品を提案したのは昆虫コレクション２０年の飛騨高山にいる社長。依頼を受けたのは輪島塗の漆芸店。その戸惑いは並々ではなかった。◆数々の試行錯誤、制作変更を重ねて、４年あまり。この間に制作に携わった職人たちは「２０世紀最高峰の作品をつくる」という自負が芽生え始めていた。玉虫に魅せられた男と職人が新しい文化の創造を目指した様子を紹介する。

「私は何でこんなことをしているんだろう」「俺はこんなことがやりたかったんだろうか」。仕事に恋に自分の存在理由に悩む男女を、単なる恋愛ゲームではなく、等身大で描く青春ドラマ。脚本：岡田惠和。（１９９９年７月７日～９月２２日、全１２回）◆第１回。羽村深美（深津絵里）は大手物流会社のオペレーター室で勤務し、ひっきりなしにかかってくる問合わせや苦情の電話の対応に追われる日々を送る。深美は会社の後輩の勧めで気まぐれに覗いたカルチャースクールで、ゴスペル教室に通う太田千津（水野美紀）とアメリカの公認会計士を目指す浅井次子（中山忍）と出会う。一方、リストラでエリートコースを外された深美の義兄・佐伯啓介（椎名桔平）は、出向先で地味な仕事をこなしていた。

いま、俳句人口は１０００万人とも２０００万人とも言われる。最近では若い女性が主宰する句会ができるなど、若者たちにも愛好者が増えている。現代を代表する３人の俳人を通し、日本の伝統文芸の魅力を描く。（３回シリーズ）今回は、日本伝統俳句協会会長の稲畑汀子氏が、自らが歩んできた道、俳句の魅力、高濱虚子から受け継いだものなどについて語る。また、俳句大会や日常生活の様子も伝える。

いつも見ているテレビの番組はどのように作られているのか。テレビと接する時間の長い現代の子どもたちに、テレビとの上手なつきあい方を教える番組。６人の子どもたちが「てれびキッズ探偵団」となって、さまざまなテレビ番組の制作現場を訪れ、どのように番組が作られているかを学び、ときには番組作りを体験していく。◆第１回「伝えたいことによってテレビは変わる」情報・ドキュメンタリー番組、第２回「テレビはつくられたものなんだ」バラエティー・ドラマ、第３回「テレビニュースは選ばれている」ニュース番組、第４回「テレビ技術のふしぎ」撮影・編集・音楽、第５回「テレビとのつきあい方」まとめ、という１０分×全５回で構成する。

福島県双葉郡樽葉町。大堤と呼ばれる農家用のため池に、翼の折れたハクチョウ「ナナ」がいる。８年前の冬、ナナは電線にぶつかり右の翼を傷めてしまった。それ以来家族と北に帰れず、たった１羽で暮らしている。秋、ナナの家族が遠くシベリアから渡ってくる。半年ぶりの家族との再会と別れを取材する。そこには渡り鳥を取り巻く様々な問題が見えてくる。

宮崎県門川町出身で神奈川歯科大学の鹿島勇教授にスポットを当て、宇宙サイエンスの実験に関わり画像解析を通し次々に新事実を発見してきた研究や難病患者との関わりを描き、一人の科学者の生き方を紹介する。◆宇宙空間においては骨が溶け出すことを世界ではじめて画像で証明したのは鹿島教授である。さらに氏は、宇宙における骨の老化現象、宇宙における耳石の発達過程などを画像解析によって明らかにし、これらの実験で明らかにされた成果を地上における骨粗鬆症の診断やガンの治療に応用し、世界的に注目を浴びている。頭頚部ガンの治療の専門家でもあるドクター鹿島は、難病の患者と日々対峙する立場でもある。鹿島氏は宇宙サイエンス実験に取り組む中で、あらためて生命のゆりかごである地球環境を守ることの大切さを痛感している。