二人の旅人が平成の眼であらためて古寺を巡礼するシリーズ。◆山藤章二と南伸坊。二人のイラストレーターが京都市北西部にある愛宕念仏寺を訪ねる。聖徳太子の発願による建立の古刹で、境内に残る本堂からもその長い歴史がうかがえる。しかし、この回の旅の目的は、この古刹のほかに境内にある千二百体にもおよぶ石仏羅漢像との対面である。１９８１年（昭和５６）から１０年余り、千二百人もの人々がこの寺に足を運んで石に刻んだ羅漢像群。それぞれの表情や仕草に個性があり千差万別。それを企画した住職を交えて、二人の旅人の興味と関心が膨らんでいく。

１９８７年登録。◆１５００年前、異民族に追われた人々がアドリア海のラグーナ（潟）に都市を築いた。それがベネチア共和国となって繁栄し、現在はイタリアのベネチア市だ。平均５０ｃｍの浅瀬にある１１８もの島々や、本島のサンマルコ大聖堂など昔ながらの数多くの建物を見ていく。潟に石の建造物を建てるかくし技も紹介。◆交通は運河と船だけで、それが独特の街の姿を作り出す。共和国時代をしのぶ祭りが珍しく、呼びもののボートレースも取材している。

下北半島の野生のニホンザルを追ったドキュメンタリー。１９９２年１月に放送された「北限に生きる」の続編。◆青森県の下北半島に生息するニホンザルは、国の天然記念物に指定されている。人間以外の霊長類の中で、地球上最も高緯度の地域に生息していることから、「北限のサル」と呼ばれている。１９９１年の冬以来、「Ａ２・８４」と名付けられた２４頭のニホンザルの群が撮影されている。ボスザルの「シャチ」を中心に必死に生き抜くニホンザルの姿を描く。

昭和２０年（１９４５）、父親が戦死し、ひっそりと暮らす母と娘三人の女世帯の日常の暮らしを丹念に描く。◆東京・目黒の朝比奈家に壇吉と名乗る男が現れた。絹江は亡夫と同じ部隊にいたという壇吉を歓待するが長女・真琴は戦地のことを語らない壇吉に不審の念を抱く。

年令・職業不詳の女性リョーコを主人公にして、４人の監督（利重剛、阪本順治、天願大介、緒方明）が演出を競い合うドラマ。開局５周年特別企画。（１９９６年４月～１９９７年１月、全４回）◆第２話「たまっているのよ、なにもかも」監督：阪本順治。ある日、リョーコ（室井滋）は、コンビニで立ち読みをしながら泣いている男（佐藤浩市）を見た。そしてレンタカーを借りていたリョーコは、その男と車を乗り違えてしまう。車のトランクには、若い女性の死体が入っていた…。

徳島県の東祖谷山村は平家伝説で知られる。険しい山々に張り付くように集落が点在する。各集落には平家にちなむさまざまな風習や伝説的な遺物があり、平家の影を見ることができる。正月、盆、秋祭それぞれに落人にからむ伝説と風習が生きつづけ、独自の文化を生んでいる。◆平家屋敷〔徳島県〕、十二所神社春祭〔徳島県〕、かずら橋〔徳島県〕、栗枝渡八幡神社〔徳島県〕

北海道のアイヌの人々は自然を神と考え感謝しながら生活していた。その民族の伝統的な精神を復興しようという動きが始まった。復活した生活習慣や祭礼を見る。「アイヌモシリ」とは「人間の静かな大地」のことで、人間と自然の共生をアイヌの人たちは何よりも大切にしてきた。人々は忘れられたアイヌ語の復活から始め、農耕、儀式、家屋の再現まで、先祖の心を引き継ごうと努めている。

仏と修行僧たちの食事を調える、大庫院（だいくいん）はいわば永平寺の台所。行鉢（ぎょうはつ）と呼ばれる朝昼２回の食事の前には、仏に感謝しお供えをする僧食九拝（そうじききゅうはい）という儀式が行われる。禅では食事を作るのも摂るのも修行のひとつである。