恩師の死をきっかけに学童疎開の頃を回想する一人の男。その思い出を通して戦争の悲惨さを訴える。◆昭和天皇の大喪の礼の日、公一は恩師・手島の死を知らされる。１９４４年（昭和１９）公一ら１５人の生徒は手島にひき連れられて東北の山村に疎開、手島を兄のように慕っていた。ある日、公一は寮母の原が手島に“日本は負ける”と話しているのを聞いてしまう。その話がいつの間にか広まり、原は東京に帰されることになった。公一の友・三平も抜け出して東京に帰るが、原も三平も東京で爆撃にあい死んでしまう。彼らを守り切れなかった自分の非力を悔やんで手島は涙を流す。

仮面劇・能楽における面の重要性、能と装束の関係、面の種類と性格などを説く。◆面が表現する喜怒哀楽について説明する。能面は７０〜８０種もあるが、直面といって演者の素顔も大事な面の一つである。能装束も登場人物を説明する上で大きな要素。面と装束を選ぶのは演者である。

日本経済新聞紙上で１９５７年３月に始まった「私の履歴書」テレビ版の新シリーズ。一時代を築いた人物が出演し、自らについて語る。（１９８８年１０月５日〜１９９１年３月２６日放送、全１２７回）◆萬屋錦之介：俳優。１９３２年東京生まれ。歌舞伎俳優を経て、１９５４年東映に入社。主な出演作は映画「笛吹童子」三部作（１９５２）や「柳生一族の陰謀」（１９７８）、テレビドラマ「子連れ狼」（１９７３〜７６）など多数。

“楽しい・おもしろい・よくわかる”をモットーとする科学番組。この回は「卵・タマゴ」がテーマ。◆卵そのものを科学的に分析し、いろいろな実験に挑戦する。また小学生たちが卵をヒナにかえす過程を追う。授業中はふ卵器に卵を入れ夜は子どもたちがそれぞれの知恵をしぼって卵を温める。およそ２０日間かかって卵からヒナが誕生、生命の誕生を身をもって体験する子供たちの感動は大きい。

「鬼平」こと江戸の火付盗賊改長官・長谷川平蔵の活躍を描く時代劇のスペシャル。◆岡場所で盗賊・火間虫の虎次郎一味が仲間割れで殺し合い、生き残った参次が捕らえられた。しかし、首領の名を尋ねても参次は口を割らない。首領が新たな盗賊を雇うとにらんだ平蔵は、自ら「殿さま栄五郎」という盗賊になりすまし、密偵の粂八を盗賊仲間を斡旋する口合人に仕立て、虎次郎の一味に潜入する。主題歌：ジプシー・キングス「インスピレーション」

剣豪・宮本武蔵の半生、関ケ原の戦いから巌流島の戦いまでを描く時代劇。（全６部・１３巻）◆吉岡流の門弟たちを叩きのめした武蔵は、当主吉岡清十郎を翌年再訪すると伝えて奈良へ向かい、槍で名高い宝蔵院の僧たち、さらに般若坂で浪人たちと戦う。そして、柳生の石舟斉を訪ねるが、己の小ささを悟って石舟斉には会わずに去る。

藩祖前田利家が町を作って以来４００年、独自の伝統文化が根付いた金沢。創業百年を誇る店は多く、金沢老舗百年会会員の看板を掲げる。俵屋あめ、大鋸豆腐、石川県特産「青かぶら」のかぶら寿司など、のれんを守り頑固に製法を継承し、加賀百万石の味は風土にとけこんで現代に生きている。工芸品の世界にも伝統は息づく。加賀友禅の型紙彫刻の職人は少なくなり、友禅流しも室内の風景に変わったが、匠の技は伝統に支えられ受け継がれている。旅人は貴本亜莉紗。◆第１０２６回　◆武家屋敷跡（長町）金沢城兼六園

謹厳実直な父と軽佻浮薄な息子が恋愛問題で対立するが、ふとしたきっかけで父は若い頃の苦い日々を思い出して自分を責め、息子は父の古傷を知って親近感を抱く。男の胸底にある心情を、地方色を生かしてロマンチックに描く。◆時計の展示会の準備に追われる公造に、息子の有一が結婚相手を引きあわせたいという。前の恋人を傷つけて平気な有一を、公造は許せなかった。ところが古い柱時計の出どころを追って浜名湖へ、越前大野へと旅するうちに、公造は３０年も昔に必ず迎えにいくと誓った女性のことを思い出す。訪ねてみると、彼女は待ち続け苦労の末に亡くなっていた。