マリの中央、ニジェール河の内陸デルタにジェンネはある。街を代表する泥づくりのモスクは高さ２０メートル、世界最大である。◆摂氏４０度を超える日々。月曜の朝は、市の広場へ人が集まる。主役は女性。情報の交換、社交、そしてファッションを見せびらかす。以前は、金と岩塩の交換で繁盛した。◆細い路地の奥には生活の場がある。しかし最近、働きざかりは街を出ていき、ジェンネは抜けがらになってしまった。ニジェール河でとれる魚も少ない。砂漠化が迫りつつあるのだ。◆ジェンネ旧市街

不器用な物書同心・藤木紋蔵をめぐる人間模様を描く時代劇。原作：佐藤雅美。（１９９８年４月３日～９月４日放送、全２１回）◆第１話「手柄捨てます」。藤木紋蔵（舘ひろし）は町奉行所例繰方（れいくりかた）に３０年勤める物書同心。過去の判例整理などをする地味な内勤で、所構わず居眠りするため「いねむり紋蔵」と呼ばれている。ある日、お奉行の特命で旗本の跡取り息子・恒之助が何者かに奪われた刀を取り返すことになった。紋蔵の調べで、１０歳の恒之助が自ら金に換えていたことがわかる。報告すれば事件は解決し、自分の手柄になる。しかし、恒之助は労咳で暇を出された乳母のお藤を養うために金を必要としていたのだった。

北京の東、山西省の平遥。昔のままの城壁が残る四つの街の一つで、高さ１２メートル、全長６キロの壁の中で、４万人が暮らす。◆中心は市楼。眼下には明や清の時代の商店街が続き、素朴なオペラも見られる。銀行もあり、清朝末期には、力を無くした政府に金を貸していたという。城外の寺には、１５５６体の彩色仏像が並ぶ。◆旧暦１月１５日の元宵節は、１０万人の見物客で賑わう。翌日、朝日の昇らぬうちに、城壁の上を街の人が歩く。全部を歩ききると、また一年、元気でいられるという。◆平遥古城

無外流の達人でありながら風雅な隠居生活を送る秋山小兵衛と、剣一筋の堅物息子・大治郎が様々な事件を解決する活躍を、江戸情緒を織り込んで描く時代劇。原作：池波正太郎。（第１シリーズ／１９９８年１０月１４日～１２月１６日放送、全１０回）◆「剣術は世渡りの道具」と語る小兵衛（藤田まこと）は、道場を大治郎（渡部篤郎）に譲り、江戸の町外れで孫ほど年の離れた妻おはると暮らしていた。時の老中は田沼意次で、彼が側室に生ませた佐々木三冬と、旗本の息子・永井右京の縁談が進んでいた。三冬は女剣士で、自分より強い人が夫の条件だという。しかし右京は剣が苦手で、困り果てた永井家の用人が大治郎に相談にやってくる。

全国各地の商店街をはじめ、温泉街、学生街、神社参道など身近な町並みや通りの素顔を紹介する。◆関東大震災や戦災をまぬがれ、長屋や路地に戦前の下町のたたずまいが残る墨田区京島。この町の生活を支えているのが京島ただ一つの商店街、橘銀座通りだ。交通の便が良くないにも関わらず商店街は元気がいい。通りで目立つのはプリントにフリルにアップリケ、色とりどりのエプロン姿で通りを歩く女性たち。この通りではエプロンはおしゃれ着だという。そんな彼女たちの姿を通して、下町のパワフルであたたかい人情を描く。

狂言「花子」は恐妻家の浮気をコミカルに描いた狂言で、「花子」とは花のように美しい女性のことである。「花子」の趣向の中心となるのは、シテの謠う小歌である。この狂言の台本が出来上がった江戸時代は小歌が大流行していて、流行に敏感な狂言が小歌を取り入れ、それを見せ場とする構想を作り上げたのである。狂言は流派によって演出が変わるので、それぞれの役の性格も若干異なることがある。◆狂言『花子』（和泉流）（大蔵流）／野村万作、茂山千作（人間国宝）、野村万蔵（人間国宝）、茂山千之丞、山本則直、野村又三郎。◆副音声は英語

「ふるさと紀行」は放送３５周年を迎えた。このシリーズは懐かしい唱歌、童謡など心に残る歌のふるさとを訪ねて日本列島を縦断する。◆およそ１３００年前に僧・行基が発見したと伝えられるいで湯の里・長野県野沢温泉村。この里を愛し、晩年を過ごした国文学者がいた。「朧月夜」や「故郷」の作詞者・高野辰之である。また、辰之は作詞者として活躍する一方で、日本の伝統音楽や国文学の研究、そして童話の創作にも力を注いだ。野沢温泉村の南にある、豊田村は辰之の生まれ故郷。少年時代、辰之は、隣村の高等小学校まで、毎日７キロの道程を歩いて通った。小川を渡り、菜の花畑を抜けて歩く道。そののどかな風景は、少年の心に深く刻み込まれた。

夕刊紙の編集局を舞台に、本当のジャーナリズムを求めて紙面作りに情熱を傾ける記者たちを描く。“ｔａｂｌｏｉｄ”。（１９９８年１０月１４日～１２月１６日放送、全１０回）◆１ｓｔ。片山咲（常盤貴子）は中央新聞社会部の新人記者。つっこんだ取材で問題を起こし、系列のタブロイド紙「夕刊トップ」に左遷される。そこは中央新聞とは全く違う、ふきだまりのような編集局だった。編集長の桐野卓（佐藤浩市）は、咲を契約記者の白河くるみ（ともさかりえ）と組ませる。ことごとく意見が対立する二人は、競うようにアイドルのヘアヌード写真集の取材に走り回り、咲はスクープをものにする。力量を認めた桐野は、タレント殺害事件で懲役８年の有罪判決を受けた被告・真鍋敏彦（真田広之）の取材を任せる。