１９９１年（平成３）のスポーツ界の話題を振り返る、年末のスポーツハイライト。◆この年はスポーツ選手たちの新旧交代にあたる年であった。オーストラリアのパースで行われた水泳の世界選手権では、１５歳の千葉すず選手が銅メダル、１７歳の司東利恵選手が銀メダルを獲得、新しい時代の到来を予感させた。大相撲は若花田、貴花田人気で盛り上がった。また南アフリカの国際スポーツ界への復帰、韓国と北朝鮮の合同チーム実現など、時代の中でのスポーツの一年を伝える。

福岡県飯塚市の嘉穂劇場。昭和６年創業、畳敷の枡席や桟敷席、両花道や回り舞台など、江戸時代特有の歌舞伎小屋様式を残しながら、現在まで途切れることなく興行を続けてきた。筑豊の歌舞伎座ともいわれている嘉穂劇場の６０年間の歴史と、現劇場主の伊藤英子さんの波瀾に富んだ人生を振り返る。◆創業者の次女として生まれた英子さんは、戦争やテレビの普及、エネルギー革命による筑豊炭田の没落など、幾度となく経営の危機にさらされながらも、女手ひとつでこの劇場を守り続けた。その人生と劇場の歴史、この舞台を踏んだ人々の思い出話を折り込みながら重ね合わせてつづる。

狂言の代表的な女性のキャラクター「わわしい女」の登場する狂言をいくつか見て、狂言の本質を説く。手話狂言も見る。◆わわしい女とは、男勝りの肝っ玉のすわった女とでも言えようか。狂言では男女平等の精神が題材になっているものが多く、これがおかしみを誘っている。狂言の面と装束も能とは違っている。ほかに手話狂言に援助を行う黒柳徹子をゲストに迎えて、援助を始めた動機などを聞く。◆副音声は英語

ベルギー北東部に広がるフランドル地方で農民たちを描きつづけた１６世紀最大の画家、ピーテル・ブリューゲル。怪奇と農村風景を描いた、謎と伝説の画家である。中世と近世の狭間で、列強近隣諸国の侵略と支配によって、ベルギーの農民は悩まされていた。彼は農民社会を克明に観察し、人々の絶望の表情と苦しみの姿を、恐怖とユーモアを渾然と同居させて描いた。農民画家ブリューゲルと呼ばれ、親しまれた彼は、時代の目撃者であり真実の記録者でもあった。◆ピーテル・ブリューゲル（１５２５／３０〜１５６９）「農民の踊り」１５６８、「子供の遊戯」１５６０、「謝肉祭と四旬節の戦い」１５５９、「反逆天使の転落」１５６２、「イカロスの堕落」１５５８〜６６、美術史美術館（ウィーン）、

日常生活から生まれる素朴な疑問を、独自の実験・体験で解き明かすファミリーサイエンス番組。（１９８６年４月１４日〜１９９１年３月１９日放送）◆今回は「卵」を取り上げ、健康志向の日本人と卵との正しい付き合い方を学ぶ。卵は「栄養のカプセル」。必須アミノ酸、鉄、カルシウムを多く含む。加工用の卵は殻を外して売られているが、実はこの殻が卵のすべてを語る指標である。殻で卵の鮮度を見分けるにはどうするのか、殻は厚いほうが良いか薄いほうがいいか、卵を長持ちさせる方法などを数々の実験で探る。

身近な生活の中にある家電製品から軍事用ミサイル、宇宙ロケットなどの超ハイテク製品までの心臓部を構成する“魔法の石”半導体。日本の半導体産業は世界に先んじて隆盛を極めている。歴史から現状を再現映像も交えて紹介、この産業の全貌を描き出すシリーズ。（１９９１年１月２７日～９月２９日、全６回）◆機械製品の知能部分はマイクロプロセッサーと呼ばれ、その中心部分はたった一つのシリコンチップからできている。このわずか数ミリ角の石の中には複雑なコンピューター回路が組み込まれている。半導体の分野ではアメリカに大きく水をあけられていた日本が、激烈な電卓戦争を経て急速に追い付き、世界初のマイクロプロセッサーを誕生させていく。

日ソ間に横たわる問題をテーマに、５回にわたって特集する。（１９９１年４月１〜５日放送）◆日本軍に強制連行され、今もサハリンに暮らす韓国・朝鮮人サハリンスキー・カレーエツの人生模様を、夫婦生き別れのまま鉱夫として働いてきたユ・ホジョンさん、大学教授のパク・スホウさんの体験を通して浮彫りにする。また極東新時代における国境や民族の在り方を考える。

チャールズ・ダーウィンが進化論を唱えるきっかけをつくった、帆船ビーグル号の航海を追体験し、その後の地球がどう変わったか、どう変わってゆくかを問う全１１回の番組。第５回は、第４回に続いて作家の椎名誠さんがパタゴニアを旅する。人口は２０００人ほど、生息する海鳥は数百万羽という島の楽園・フォークランド諸島からビーグル水道をアルゼンチンへ向かう。かつてヤーガン族が住んでいたフェゴ島に、もうその子孫はいない。彼らが暖をとっていた火は、いまや石油コンビナートの火となっていた。