東西を代表する落語家、柳家小さんと桂小文枝による長講一席の２夜。東西の芸風・言葉・個性の違いを生かした二人の芸を楽しむ。（２夜連続）◆１回目は東の柳家小さんの「長者番付」。二人連れが旅の途中、造り酒屋で酒を求めようとするが断られてしまう。そこで思わず「うんつくめ」と悪態をついたが、この言葉を巡って話はおかしな方向へ転がっていく。

岩手県の北、古代最果ての寺・天台寺や東北経営の前衛だった胆沢城の北にある成島毘沙門堂。そこに残る、民と共に生きた素朴な「みちのく」の仏たちを、土地の風土と照らし併せて考える。◆明治の廃仏毀釈で外に放り出され、目鼻も定かでない荒廃した仏たちへ変わらぬ信仰を寄せる人々。都から遠く離れ、装飾を拒み土地の人々の顔を刻んだ仏。仏教流布の足跡と民心とのつながりを描く。◆【重要文化財】天台寺仁王門、本堂、毘沙門堂、聖観音立像〔天台寺〕、十一面観音立像、毘沙門天立像〔毘沙門堂〕、地天女、吉祥天立像

湾岸戦争はクウェート復興だけで１０００億ドルという甚大な破壊をもたらした。石油高騰のツケに悩む途上国、景気後退が加速した米国など戦争の後遺症は大きい。世界的資金不足の中で中東復興をどうするのか、戦後の世界経済の課題と日本の役割を考える。

自衛隊の合憲・違憲を争った長沼ナイキ訴訟や水害の損害賠償を求めた長良川安八町訴訟を通し、司法界を検証する。◆これらの訴訟に関わった裁判官や関係者の証言により、日本の裁判が行政に追随しているという現実をほりおこし、国の検察官だった人が裁判官になるケースが増加しているなど司法の独立が危機にさらされていると訴える。

東京・白金台にある東京都庭園美術館の本館は、旧朝香宮邸。フランスのデザイン様式アール・デコの装飾美術を取り入れた、昭和初期の質素で華麗な建造物である。朝香宮がフランス留学中社交界で知り合いになった芸術家を招き、３年の歳月をかけて完成した。機能的な中に優美で官能的な装飾を施した室内と調度の数々。奇跡的に戦災を免れ完全な姿で現存するわが国唯一の旧皇族の邸宅は、昭和モダニズムの造形を緑深い武蔵野に残す。◆香水塔〔東京都庭園美術館〕、ガラス扉（ラリック作）、バッカントの巫子、スザンヌ、勝利、壁画（ラパン作）、レリーフ（ブランショ作）

東京・洗足池のほどりの古びた洋館「花屋敷」に、涙を流す観音像を守って暮らす母娘三人の生活に一人の男が侵入したことから、その奇怪な秘密が露呈する。◆昭和初期。花屋敷には母・笛と９歳の桜子、５歳の桃子の姉妹がひっそりと暮らしていた。奥の間には左目から涙を流す不気味な観音像が安置されている。ある夜訪ねてきたソフト帽の男が、母と奥の間に入っていった。姉妹は二人を覗き見るが、何を見たのかはお互い口にしない。翌朝男の姿はなかった。◆２４年後。同じ三人が暮らす花屋敷に、仏像研究家だという龍という男が観音像を見せて欲しいとやってきた。仏像だけでなく姉妹に興味を示す男に、笛は娘に手を出さないでくれと頼む。

東欧の変革に始まった激動は第２次大戦以後の世界を支配した冷戦に終わりを告げ、世界の枠組みが音をたてて動き始めた。ある意味で世界秩序の安全装置だった東西冷戦構造が崩れた後、世界はどう変わろうとしているのか。（１９９１年４月６日〜１２月８日、全６回）◆世界のマネーの動きが大きく変わろうとしている。ソ連・東欧、湾岸地域などでは多額の資金を必要とするようになったが、一方で世界へ資金を供給してきた日本とドイツが急速にその力を低下させた。世界が資金不足に直面する中で、新しい経済秩序はどう作られるのか、世界の識者の分析を含めて問題の所在を探る。

脳死状態からの臓器移植という新たな段階に入ろうとする日本の医療。しかし脳死状態に至るまでの救命救急医療はどうなっているのか。救急病院の医療ミスやたらい回し、対応の遅れなどの現状を見据える。◆日本医科学大学付属多摩永山病院の救命救急センターに勤務する小井土雄一医師は救急専門医だが、以前いたオーストラリアでは肝臓移植チームの医師として活躍していた。その小井土医師が日本の救急医療の遅れを指摘、その現実をカメラが追う。