ルネッサンス芸術を拓いた二人の巨匠は、全く対照的な運命をたどった。１４７５年にミケランジェロが誕生した時、２３歳年上のレオナルド・ダ・ヴィンチは若き日の代表作「受胎告知」を完成させ、すでに天才の名をほしいままにしていた。しかし、ダ・ヴィンチはその誇り高さの故にメディチ家の当主たちとの折り合いが良くなく、晩年はフィレンツェを去り、１８年間のミラノ滞在の後フランス王の居城で６７歳の生涯を閉じた。同時代に生きた二人の巨匠の生涯の光芒、作品を参照し、その芸術を追求する。◆副音声は英語

茶道の大成者・千利休の生きざまと人間的魅力を、最大の理解者である妻・りきと、父を愛するがゆえに厳しい批判者となる娘・加奈の２人の女性の視点を通して描く。毎日放送開局４０周年記念特別企画。◆物語は１５６８年、信長の矢銭強要で、自由商業の場・堺の茶湯が危機に見舞われた混乱から始まる。堺の商人として、ある意味では俗人として、茶も遊芸のひとつと考えていた宗易（のちの利休）を、信長との出逢いが大きく変えていく。一方その混乱のなか、りきとの出逢いもあった。信長の死によって秀吉の茶頭となり、天下一の茶の湯者に登りつめる利休に、栄達を捨ててほしいと訴える加奈、心を痛めるりき。利休の心は揺れ、秀吉との対立は深まる…。

坂の街・長崎の、坂の途中にある小さな八百屋を舞台に、この街の人間関係を描く。◆長崎は坂の多い街である。斜面にびっしりとはりついた家々、住居は狭く車は通れず、年寄りが目につく。ある長い長い階段の途中には小さな八百屋がある。坂を上り下りする人はこの八百屋で一息入れたり、座り込んで世間話に興じたり、いわば溜り場になっている。日常の何でもない会話や人々の営みから、けなげでしたたかでやさしい、そんな生き方や人とのかかわりが伝わる。

１９４５年（昭和２０）に厚生省派遣の看護婦として満州へ渡り、今も中国で生きる女性を通し、年老いて望郷の思いも深まる中国残留婦人の問題を探る。◆彼女の出身は山口県。敗戦後も病人の看護を続けるうちに帰国する機会を失った。同じくソ連国境に近い黒龍江省訥河県に住む女性は、義勇隊開拓団の花嫁だったが、病気で動けなくなり中国人男性のもとに売られた。この２人は戦後になって偶然再会し、励まし合って生きてきた。１９８８年（昭和６３）２人は一時帰国することになる。

地球規模での環境汚染がクローズアップされるなかで、ふるさとの自然環境がどうなっているのかを検証する。無計画な植林、伐採による森林荒廃の実態やリゾートブームによる水質汚染などを各地で取材。動物や植物が発しているシグナルから自然界に忍びよる危機が見える。

アジアの人々が“何をどのように食べてきたか”を各地の食生活と風土の中に探り、食べものがいかに民族の精神を形づくり、文明に影響してきたかを紹介するシリーズ。（１９９０年１月５日〜１０日放送、全５回）◆第１集「麺（めん）」。麺文化は中国・山西省を中心とした半径５千キロ圏内のアジア各地に見られ、その源流はヒエ、アワ、キビなど雑穀しかできない不毛の黄河流域・黄土高原といわれている。村々では祝いの日や大切な客をもてなす時だけ、めんを打つ。大切な小麦をおいしく、食べやすく、その理想の追求が数十種に及ぶ麺を誕生させた。村の一家を取材しその生活と風土を紹介する。

岡倉大吉・節子夫婦と５人の娘たちの暮らし振りを追いながら、それぞれの世代が抱える問題や悩みを主人公たちと一緒に考え、語り、何が本当の幸せなのかを問いかけていくホームドラマのシリーズ第１作。（１９９０年１０月１１日〜１９９１年９月２６日放送、全４８回）◆第一回。東京・四谷のラーメン屋「幸楽」に嫁入りした五月（泉ピン子）は、姑・キミ（赤木春恵）のいびりに耐えながら店で働いている。２人の子供を連れて１日里帰りする五月。ハワイ帰りの義姉・珠子（森光子）とハワイに留学中の妹・葉子（野村真美）を迎え、五月の実家・岡倉家は久しぶりの家族の再会で賑わう。五月の姉妹・弥生（長山藍子）と文子（中田喜子）は五月に姑問題の忠告をしながら、自分の夫の前で自分の忙しさをぼやく。そんな時、珠子が葉子を養女に欲しいと、五月の両親である岡倉大吉（藤岡琢也）・節子（山岡久乃）夫妻に申し出る。

アメリカ・オハイオ州クリーブランドは、かつて製鉄で栄えた町。鉄の財力で１９１６年、アメリカ屈指のクリーブランド美術館を建てた。平安中期の『日光菩薩像』や『熊野曼陀羅』、狩野山楽の『雁図屏風』など、日本美術の名品が多数展示されている。終戦直後の混乱期に、日米の美術愛好家たちの国境を越えた友情が人類の遺産を救った。◆日本美術をこよなく愛するクリーブランド美術館関係者の情熱と、異国文化へ寄せる理解を紹介する。日光菩薩坐像、薬師如来像、伝・宇佐八幡神像、役行者坐像、日光菩薩像、熊野曼荼羅図、雁図屏風（狩野山楽筆）〔クリーブランド美術館〕