子どもの読むものだった漫画を、大人も楽しめるひとつの文化に高めた漫画家・手塚治虫。彼の少年時代、１１才の夏休みをフィクションでドラマ化し、創作の原点とも言える体験を描く。◆昭和１４年。小学校５年生の治は漫画に夢中。その度が過ぎて、彼の将来を案じた父母に漫画を書くのも読むのも禁止されてしまう。生きがいを失った治は、風来坊の時計職人・中田に、宇宙の神秘や昆虫の不思議な生態を教わる。昆虫採集の手ほどきを受けて熱中するものの、つかまえた虫の絵を描くことさえ許されない。思い余った治は家出を決意する。

神奈川県横浜市で昭和８年からジャズ喫茶を営んできた吉田衛さんが亡くなった。彼の追悼コンサートの模様を中心に、ジャズを通して生まれた人々のつながりを描く。◆横浜・野毛のジャズ喫茶「ちぐさ」は、音楽業界で活躍する多くのジャズメンたちが若い頃に通った店である。ジャズを愛した“オヤジさん”吉田さんを偲んで、今日も常連客が集まる。そして吉田さんの追悼ライブの準備が進む。この日のために作曲された「ちぐさ」の曲が演奏され、会場の参加者たちに感動を呼ぶ。

名もない庶民から天下人に上りつめた豊臣秀吉の波瀾の生涯を描く１２時間ワイド時代劇。◆浅井・朝倉攻めの功績で藤吉郎は小谷城を与えられ、名を羽柴筑前守秀吉と改めた。正月の宴で生き延びた市と再会した秀吉は、亡き夫・長政のどくろの杯を口元に運ぶ市を複雑な気持ちで見つめるのだった。ねねの希望で新たに築いた長浜城に母たち家族を迎えた矢先、おみねが秀吉の子だという男の子を連れてやってくる。

「村や家に伝わる民間伝承の多くが消えようとしている。ＮＨＫでは放送７０周年を期に、地域を見つめて今も暮らしの中に生きている伝承文化を記録するシリーズを組んだ」◆第１回は、石川県奥能登の農村の「田の神」を迎える行事を取材。田の神をごちそうしてもてなす『饗の事』、豊作祈願の『万歳楽土』、先祖の霊を迎える『精霊さん』など。田の神との深いつながりの行事で、「能登はやさしや土までも」と豊作を願う農民の姿を描く。◆【重要無形民俗文化財】奥能登のあえのこと〔石川県〕◆【その他】万歳楽土、精霊さん〔石川県〕

愛知県設楽町田峯地区の、新盆に行われる『念仏踊り』と２月に観音堂で行われる『田峯田楽』を見る。◆標高１０００メートル、９６戸の田峯地区に３００年の伝統を持つ念仏踊りは、初盆供養に地区の念仏衆が働く。『田峯田楽』は豊作祈願や悪魔払いのため行われ、神楽や能の原型が残る。十一面観音像を本尊とする観音堂で催される田楽には、役を世襲する６人の田楽衆の大地の活力を引き出す５つの舞いが奉納される。◆【重要無形民俗文化財】三河の田楽〔愛知県〕◆【その他】念仏踊り〔愛知県〕

神奈川には稼働している水族館が大小８つあり、全国でも例を見ないほど水族館の多い県である。日本初の水族館（油壺臨海実験場水族館）跡をはじめ、各水族館を訪ね、その歴史と現状を紹介する。また、水族館の果たしてきた生物学研究に対する影の功績やスタッフの努力も紹介する。

江戸・神田界わいで「宝引（ほうびき）の辰」と名の通った岡っ引きの辰親分が、名推理と人情味あふれる裁きで難事件を解決していく痛快娯楽時代劇。原作：泡坂妻夫。（１９９５年３月３１日〜８月１８日放送、全２１回）◆第一回「自来也小町」。岡っ引きの辰（小林薫）は、貧乏長屋で恋女房・お柳（萬田久子）や一人娘のお景、隠居した先代の鉄五郎（小林桂樹）と暮らしている。ちまたは「怪盗自来也」のうわさで持ちきり。吉祥画と評判の蛙の掛け軸が次々と盗まれ「自来也」の文字が残されるのだ。その吉祥画最後の一枚を競売にかける書画会が、辰の縄張りで開かれた。絵は大坂屋の娘・お秀が落札するが、張り込んだ辰の目の前で盗まれてしまう。

東京から北海道・富良野に移り住み、地に足のついた生活の中から人生を学んでゆく子供たちの成長を中心に描く家族の物語。１９８１年１０月９日～１９８２年３月２６日放送（２４回）の連続ドラマのその後を描く、単発６作目のドラマスペシャル。◆間もなく還暦を迎える黒板五郎（田中邦衛）は、麓郷で一人で暮らしている。息子の純（吉岡秀隆）は東京から富良野に戻り、ごみ収集の仕事をしている。ある日、純はシュウ（宮沢りえ）という女性と出会う。二人は急速に親しくなっていくが、シュウには純に話したくない過去があった。一方、札幌で看護婦として働いていた蛍（中嶋朋子）は、つきあっていた勇次（緒形直人）と別れ、妻子ある医師と根室へ駆け落ちする。