日本各地を訪れ、受け継がれる伝統工芸の技と心を紹介する。◆安芸の宮島は全国一のしゃもじの産地。機械による量産が進む中にあって、木上勇治さんは手作りしゃもじを受け継ぐ職人。選挙やスポーツの応援などに使われる大きなしゃもじ作りにも、その細かい技が生かされている。大しゃもじ作りに精を出す職人夫婦の姿を、神の島・厳島神社とともに描く。

１９８３年登録。◆インカ帝国は、南米ペルーのアンデス山脈を中心に栄えたが、１６世紀、スペインによって滅ぼされた。奇妙なことに、その記録に都市マチュピチュの名はない。◆１９１７年になって、アメリカ人のハイラム・ビンガムによって発見され、発掘が行われた。標高２４００ｍの山頂に築かれた、石積みの都市である。その細部をさまざまに見る。◆まだ何も解明されない謎の都市だが、近年、ペルー政府の発掘調査で、新しい事実が出てきている。

脚本家で、直木賞作家の向田邦子が亡くなって１５年。親交のあった４人の女優が向田の代表的なエッセーを朗読し、かつて一緒に仕事をした３人の演出家が競作するシリーズ。ゆかりの地でのロケや、かかわりの深かった人たちへのインタビューも織り交ぜる。◆大山勝美が演出する『渡辺美佐子が読む「手袋をさがす」』は、向田と渡辺の母校である実践女子大学を主な舞台とする。

「朝寝、朝酒、朝湯が大好きで」と民謡「会津磐梯山」にも唄われる人物「小原庄助さん」のモデルは誰か。その正体を探るドキュメンタリー。案内人は梅沢富美男。ＫＦＢ福島放送開局１５周年記念特別番組。◆「それで身上つぶした」という太平楽な人物として描かれている小原庄助のモデルとして流布する説は、「元禄時代の材木問屋」「幕末の戊辰戦争で勇敢に戦った会津藩士」「白河の酒好きの塗師」の三つがある。そこへ現れた１枚のＳＰレコード、その名も「端唄会津磐梯山」。その作詞家、長田幹彦の交遊をたどっていくと、意外なところに「小原」氏があらわれてきた。果たしてモデルは彼なのかを検証する。

四国各地のさまざまな祭りを紹介するシリーズ。（１９９６年４月２７日放送開始）◆藩政時代に狼煙場があったと言われる竹ヶ島。国常立命を祀る竹ヶ島神社は、昔から近郷近在の漁師達に厚く深厚されてきた。また祭礼は小さな島に似合わず盛大なものである。祭りの当日は、主役を務める若者１２人が神社に集まり、ご神体が神輿に移される。クライマックスは、神社の石段を一気に神輿が駆け下る。そして、人々の間を練り歩き海に飛び込み、２−３度神輿を海に沈めていく。

１９９１年登録。◆「王妃の城」という意味。１６世紀に国王ヨハン３世が王妃カタリーナのために建てた。スウェーデン・ストックホルム市の西郊の湖にあり、今は王家が居住。１７世紀に火事で焼け、王妃ヘドビック・エレオノーラが再建。１８世紀にまた火災にあい、王妃ルービッサ・ウルリカが再建した。それらによって変遷した建築様式や装飾を見る。◆ウルリカは宮廷劇場も建てたが、これも火事。その子グスタフ三世が再建、発展させた。現在も、オペラの公演が市民に開放されている。

東京都多摩市に清明窯をかまえて半世紀、辻清明さんは、ろくろを手でまわし信楽の土に挑む。扱いにくい土だが、焼きあがったときの力強さにひかれる。作品は年に一度、登り窯で焼きしめる。その色は「明る寂び」と呼ばれる。◆訪ねてきた東京教育大学名誉教授の西山松之助さんを、茶会でもてなす。西山さんは、気に入りの茶碗を「黄河」と命名し、清明窯のおかれた風土が凝縮している、と話す。◆作品と対話し、毎日を楽しむ中で、辻さんの自然なやきものは生みだされる。

日本各地を訪れ、受け継がれる伝統工芸の技と心を紹介する。◆別府の竹細工が健在なのは、近くで採れる竹材の良さもあるが、それを上手に生かしてきた職人たちの技術の高さも見逃せない。岩尾勝太郎さんの家は三代の竹職人が腕を競う「竹一族」である。祖父と父の会話を聞きながら、息子たちは新しい竹の生かし方を考える。